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精神疾患で傷病手当金を申請したいけど会社に言い出しにくくて困っています

ミニチュア女性と給与明細書


傷病手当金の申請を考えている方、傷病手当金の申請を会社に言い出せなくて困っている方へ


こんにちは。

名古屋で社会保障制度の調査代行をしている社会福祉士の稲山です。

一周回って、成功とは「挑戦すること」とであると肌で感じている今日この頃です。




傷病手当金とは


傷病手当金・・健康保険(国民健康保険を除く)の被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されるお金。




申請に必要だけど手に入れにくいもの


傷病手当金の申請には本人、会社、医師それぞれが記載した申請書が必要です。今回の内容は会社が記載する申請書についてです。会社に申請書を記載してもらうには

本人「傷病手当金を申請したいので申請書を書いてください」

会社「いいよ」

という会社とのやり取りが必要です。しかし、タイトルにもあるように、「精神疾患を患ったので傷病手当金を申請したい」と会社には言い出しにくいものです。精神疾患の原因が会社でのストレスだった場合、会社との関係が気まずくなってしまう可能性があるからです。精神疾患の原因が会社でのストレスでなかったとしても、どこの会社でも大なり小なりのストレスはつきものなので、「精神疾患になったのは会社の責任?」と会社が考えないとも限りません。

そして会社によっては申請書を記載してくれないこともあります。その理由としては、不慣れで申請書の記載が面倒くさい、初めてなので申請の仕方を調べるのが億劫、傷病手当金の申請をすると精神疾患の原因が会社にあることを認めることになる(と会社が勝手に考えてしまう)etc

弊所の相談者でも多くの方が会社とのやり取りに悩んでいらっしゃいます。




あなたは申請できる!


健康保険料を毎月納めてきた(お給料から毎月天引きされ続けてきた)のであれば、(精神疾患での)傷病手当金の申請を躊躇(ためら)うことはありません。

躊躇(ためら)うことはない、と言える根拠がこちらです。

健康保険法施行規則第三十三条(以下、三十三条)

(証明書の発行等)第三十三条 事業主は、保険給付を受けようとする者からこの省令の規定による証明書を求められたとき、又は第百十条の規定による証明の記載を求められたときは、正当な理由がなければ拒むことができない。

e-gov


もし理由をつけて会社が申請書の記載を拒んできた場合は、その理由が「正当」なものかどうかを加入している健康保険の保険者に確認してください。

デメリットは三十三条に違反をしても罰則がないことです。会社が申請書の記載を拒否することは法律違反にはなりますが、それに対する罰則はありません。

しかし、ほとんどの会社は罰則がないからといって法律違反をすることはないでしょう。三十三条を盾にすることで会社は申請書の記載をしてくれると思います。

三十三条の他、保険者(協会けんぽ等)が事業主に対して○○させる(報告をさせる、文書を提示させる、申し出をさせる、届出をさせる)ことができることを定めた条文、それに違反した場合の罰則を定めた条文も紹介しておきます。困った時は保険者(協会けんぽ等)に相談することも一つの方法です。

健康保険法(報告等)

第百九十七条 保険者(厚生労働大臣が行う第五条第二項及び第百二十三条第二項に規定する業務に関しては、厚生労働大臣。次項において同じ。)は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者を使用する事業主に、第四十八条に規定する事項以外の事項に関し報告をさせ、又は文書を提示させ、その他この法律の施行に必要な事務を行わせることができる。

 保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。)又は保険給付を受けるべき者に、保険者又は事業主に対して、この法律の施行に必要な申出若しくは届出をさせ、又は文書を提出させることができる。

第二百十六条 事業主が、正当な理由がなくて第百九十七条第一項の規定に違反して、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書の提示をせず、又はこの法律の施行に必要な事務を行うことを怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

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さいごに


健康保険料を納めた方が傷病手当金の申請をすることは法律上保護された権利⇒権利とは義務を果たした上で獲得ができるもの⇒いままでの給料明細を確認し健康保険料が天引きされていれば義務を果たしているということ

今回のnoteが、あなたが権利を行使し心身ともに健やかに自立した生活を送るための一助になることを願っています。



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