記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【ネタバレあり】バジーノイズ感想。実写化する意味のある作品。

先日2024年5月3日に公開された映画、バジーノイズを観てきた感想をまとめます。

バジーノイズは原作漫画があり、漫画家むつき潤による音楽と若者の青春をテーマにした群像劇作品です。
映画はJO1川西拓実(映画初出演かつ初主演)と桜田ひよりがW主演を務め、ドラマsilentで話題になった風間大樹が監督です。※敬称略

と、一言で概要をサラッと言ってしまうのは惜しいくらい、まず原作が良いです。
私はJAM(JO1のファン)ですが、映画視聴前に原作を読み、原作のファンにもなったので、原作を読んでからでも十分楽しめる、むしろ読んでから見るのをおすすめしたいくらいでした。
この感想noteはガッツリネタバレも含むため、ご了承のうえ読んでいただくか、映画を観てから読んでいただけると幸いです。

原作の見どころ

1.作画がシンプルで読みやすい

作画、絵柄がシンプルです。漫画の描き方まで詳しくないので恐縮なんですが筆一本で一貫している作画というか、背景含めごちゃごちゃしてなくて個人的に好きな作画でした。作画がシンプルだと自分はストーリーや設定がスッと入ってきやすくて物語に集中できるし、セリフも淡々としていてキャラクター設定もよく、愛着が湧く作品でした。(近藤聡乃作品系が好きな方は好きかと思います)

2.好きを仕事にする楽しさからグロさまで描かれている

私も過去にバンドをやっていたのですが、好きを仕事にする(できる)人への羨望はすごく共感できたし、その大変さや、音楽業界・レコード会社のシビアな面がリアルに描かれているなあ(私は知らない世界なので想像含むけど)という感じでした。デビューを目指すみたいな漫画はよくあるけどデビューしてからも燻って契約切られそうなバンドのこととか細かく描いているのが面白いなあと。

3.ヒロイン(?)潮がヤバいのに必要不可欠で面白い

人と関わらず音楽をやっていた清澄を人と関わる世界に引きずり込んだのは潮だし、引きずり込み方もヤバいのに途中で自分は不要と勝手に思い込んでいなくなるのもヤバい。人に迷惑をかけることを全く気にしていない。でもそれがすべて他の人物の行動のきっかけになるというか起爆剤というか、まあヤバい。でも面白い。(へーおもしれー女、とかではなくヤバい女です。)

4.映画への期待値が膨らむ

他にも登場人物のキャラクターが良かったり、舞台(神戸)が良かったり、清澄の音楽が流れるシーンの描写として泡のようなものが空間を漂うシーンがとても好きで、きっと良い曲が流れているんだろうなと想像を膨らませながら読むのがとてもよき(by潮)な漫画でした。
映画化することを知ってから原作を読んだので、「清澄のつくる音楽がどういうものなのか?」を映画で実際に聴ける期待が膨らみ、より映画が楽しみになりました。映画を見る前に読んで良かった点はここでした。
通常、音楽をテーマにした漫画や小説を実写化する場合は実際の楽曲や演奏面などは不安視される点にもなりますが、今回清澄の楽曲制作はあのYaffleが担当ということで私は期待しかないくらいでした。
※藤井風、iri、小袋成彬が好きな人はもちろんご存知の楽曲プロデューサーです。

映画の良かった点

1.構成

まず総じて良かったです。(すみませんね、偉そうに)
物語を2時間に収めるにあたって、原作よりも少しライトな構成になるのはしょうがないかなと思ったのですが、そのライトな点は人物の相関図の部分を深く描き込まないことだったり(生い立ちがどこで〜学校の同級生で〜等)、恋愛要素をカットしたりという点だったのかなと思います。私は原作を読んで、清澄と潮は付き合っていないけど恋愛の好きもある関係と捉えていたのですが(同じく原作を読んだ友人は恋愛要素なしの捉え方だったのでこれはあくまで私の個人的意見です)、その部分がなくても十分清澄と潮の二人の信頼関係や愛(not恋愛)が描かれていて満足でした。

2.キャラクターに体温を足す役作り

原作があると、原作の人物に似ているかなども比較されがちになってしまうのが実写化あるあるだと思うのですが、良い意味でキャラクターに肉付けをしたというか温度を足した実写化だったなと思いました。
特に陸は清澄への愛(溺愛)が栁俊太郎さんの演技を通してより明確化して伝わってきて、陸の人間味が感じられてとても良かったです。恋人に対しても優しい感じがあったな。ベストバジーノイズ賞を差し上げたい。(勝手なことすな)
航太郎の短パン具合と、タバコの似合わなさも絶妙で超良かった。喫煙似合わな〜〜と思いながら見てたけど、やっぱり無理してたんだ(笑)でホッとしました。
清澄を取り返しに行く3人の図が堪らなく良かったです。愛せました。(そか)陸ってこんなに可愛い人だったっけ?の連続。というかもう私は陸が好きなんだな。
あとマザーズデイ(陸が元々いたバンド)の楽曲も絶妙、新曲ミスってデヘヘヘヘってしているところも嫌な感じで絶妙。でもギタボの人が漫画よりも良いやつだったな。

3.実写化で聴けたメンバー加入のメリット

漫画を読んでいると、途中でベースとして陸が加わって、ドラムとしてミサキも加わって・・という展開がやってくるのですが、彼らが加わることを清澄は「音の厚みやライブ感が出て良い(ニュアンス)」と言っていて、でも実際漫画だとその「メンバーが加わる良い部分」って読み手の想像に委ねられるんですよね。なんなら、一人が良いと言っていた清澄にそう思わせるくらい、曲が良くなるってどういうことだ?と、私は想像が難しいなと思ったのですが、実写化されることで、陸がこうやってアレンジして、面白い!ってなったり、ミサキがドラムに青さを出せという無茶振りを受けてそれってこういう叩き方なんだと分かったり、自分が想像できなくて空いていた部分にピースがハマる感覚があって、実写化ありがとう〜〜〜〜の気持ちになりました。音の厚みってバンドの課題になったりするんだけどただ音量上げればいいわけじゃないし難しいよね。

4.ひよりちゃんにMVPを

突然ですが私昔映画のエキストラに応募して出演したことがあって、その時桜田氏(急に呼び方何)も出演されていたんですよね。
その時彼女は12歳くらいだったんですけど、後に推し(JO1)と共演するなんてびっくりだなあと思ったのを今思い出しました。(そか)
今回超絶人見知りの川西拓実を相方に、関東出身ながら全セリフ関西弁で、かつセリフ量も一番多い役どころで、現場ではムードメーカーで、役所としては起爆剤で破天荒でってそれはそれはもうひよりちゃんの消費カロリーの多さたるや・・・関西弁が自然だなあと思ってなんの違和感もなく見れたけど、その分たくさん努力したんだろうなと感じました。潮みたいに華奢なところもぴったりで可愛くて、ファッションも似合ってた。

5.今の川西拓実だからできる演技

清澄って音楽以外何も興味なくて、だから純粋で何も知らなくて…という演技ができるのって今の川西拓実しかいないと思うんですよ。数年後にやってももちろん良いだろうけど、5年前までは一般人で、オーディション番組からデビューして、まだ芸能界での経験が多いわけではないで・・というこの時期にやるべき役だったなと思いました。清澄の、初対面の人への目線とか表情が最高でしたね。(普段の川西拓実も人見知りなのでこれは拓実の素質なのかもしれないけど)これは今しかできない役だったなと。推し贔屓ありきで見るだろうなと思っていたけど、もう途中から清澄役をやっている拓実がJO1であることを忘れて映画に没頭できたし、清澄が沖さんに連れて行かれるところはハラハラしたし、ここまで素朴さを出せる拓実って凄いなと思いました。拓実の清澄としての役作りや演技、演奏シーンも、ピアノ未経験ながら全部川西拓実本人がやっていて改めてストイックさを実感しました。

6.エンディングのライブシーン

映画を見る数日前に、映画主題歌である「surge」の音源がリリースされました。もちろん私もサブスク解禁とともに楽曲を聴いていたのですが、Aメロ歌い出しの部分のキーが高く、ボコーダー(声をロボットみたいな音に加工したりする機能)を使っていてちょっと面食らってしまってたんですよね。
まあ清澄が歌うまいという設定は無いし、むしろ得意分野としてボコーダーは使うよなあと納得してたんですが、spotifyで配信されているコメントでも拓実は「キーが高くて苦労した」と言っていて、えー加工入っているとキー通りに歌ってなくても修正されてるだろうし何だかなあという感じだったのですが、映画のラストでAZURのライブシーンがあって清澄がsurgeを歌い出した瞬間、劇場でひっくり返るかと思いました。
バリバリ生歌やんけ!!!!!(by関東人)
はい、バリバリ生歌でした。え?聴いてきた音源と違うけど??え??
カーーーこっちで音源配信して欲しいけど、もしかして私のように大勢の人間を劇場でひっくり返らせるために敢えて配信する音源の方は加工強めのものにしたのかなあ・・マジでビビった。音程が完璧にハマっているわけじゃ無いところ含めて、生歌感が強くて急にまた川西拓実が恐ろしくなりました。(JAMは川西拓実の才能が怖すぎる時がたまにあります。)
とりあえず配信されている方のsurgeを貼る。でもこれは映画で見てほしい。そしてひっくり返ってほしい。

あと清澄が奏でる曲自体が良いんだけどDTMとか詳しくないし言語化難しい。誰が聴いても「この曲良くない?」ってなりそうな曲が至るシーンで流れてきてとても良いんです。本当に。(ゴリ押し)
私はsilent見てないんですが、映像も綺麗で静かで穏やかで見やすくて、セリフも良くて。急に雑な感想放り込んですみません。

映画で気になったところ

総じて良かった映画ですが、気になったところとして挙げるならば舞台を神戸ではなく横浜にした点ですかね。これはロケのスケジュールや予算の都合などもあるのかなあ。私は神戸の街並みを通した映像を見てみたかったなと思ったのと、関西出身のキャラクターたちが今横浜にいる理由がぼやけてちょっと気になりました。あれ、でも陸さんは同じ大学出身って設定に変わっていたのだっけ?
原作で清澄だけ新幹線に乗らずに関西に帰らないシーンが結構好きだったので最初舞台が横浜と聞いた時は沖さんのところに行く描写はどうなるんだろうとか思っていました。
あと、潮も古着屋店員の方が「らしかった」かなと。
潮ってめちゃめちゃサブカルミーハー女なのでカレー屋のバイトはなんでだ?になってしまった。
すべて原作通りにするのがベストというわけではないので、いろいろな理由は目的があってこの設定なのだとは思っています。

終わりに

今回原作を知らない夫(ひよりちゃん目的、Yaffleファン)と一緒に見に行ったのですが、窓ガラス割って入ってきたシーンは潮がやばすぎて引いたそう。笑
初見で一番びっくりするのはやっぱりあのシーンだと思う。是非原作も読んでもっとたくさんのヤバさを目撃して欲しいです。

どんな風に実写化されるんだろうと全体を少し俯瞰して見てしまった部分もあるのでまた見に行って、もっとセリフや小ネタに注目して見たいな。
あー満足感の高い映画でした。まだ原作を読んでいない方はぜひ原作を読んで、その上で映画も観てほしいなと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?