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そら豆 ✴ チェンマイ俳句毎日

【チェンマイ俳句毎日】2024年5月18日

莢付きの焼きそら豆のきうと鳴く

昨日はzoom句会だった。約10名のメンバーがいるチェンマイ句会は、日本、チェンマイ、アメリカと住む場所がばらばらなので、対面での句会はできないが、最初にオンラインによる句会「 夏雲システム」で7句提出&選句をして、後日行われるzoom句会で、お互いに質問や意見交換をしている。
zoom句会は、進行役の先輩がとても上手に流れを作ってくれ、メンバーも良い方ばかりで、暖色の明かりが灯る部屋のようなあたたかな場だ。

noteで毎日俳句を作るようになってすごく良かったのは、句会の投句に余裕ができたことだ(苦笑)。それまでは、いつも提出日ぎりぎりに7句作っていたので、仕事の締切と重なると出せないことがあった。実は、去年の後半は締切に追われる日々が続いて、ほぼ半年間句会に参加できず、正直もう句会には戻れないだろうと半ばあきらめかけていた。

それが、年末に友人の遺句集をまとめることになり、友人の遺した俳句と向き合う中、同じタイミングでnoteに俳句を毎日発表している方がいることを知った。私も、この限りある日々を大切にしたいと思い、俳句日記を綴ってみることにしたのだった。

正直、この句をnoteに出すのか…といつも嫌になるが、おかげで今年に入ってからは、句会は休まずに参加できるようになった。

句会には、自分が作った句の中で、この句は他の人が読んで意味が通じるだろうか?という句も出してみる。今回は【放課後の三ツ合橋に逢ふ海月】を出したら、案の定、通じない句だと分かった。自分では思い入れがあっても、ひとりよがりな表現では人には伝わらない。

【麻服の彩雲めける貝釦】の句は気に入っていたので出してみた。句会の先生である坂本茉莉先生が、【更衣ふ彩雲のごと貝釦】と添削してくださった。私も、どちらも物である麻服と貝釦とが句の中であまり強弱がついていないことが気になっていたので、「 季語を動詞の 更衣ふ にしたら?」と茉莉先生に教えてもらった瞬間に貝釦がきらりと光ったように感じた。

  昨年亡くなった句会の友人は、生前、チェンマイで服作りをしていた。茉莉先生は、彼女に仕立ててもらった麻のブラウスにも貝釦がついていたと話してくださった。そんな話を聞いたからだと思うが、その夜は亡くなった彼女の夢をみた。

  そら豆の句は、先生が共鳴にとってくださって嬉しかった。帰国中に莢ごと焼いてみんなで食べたそら豆。フライパンに並んだそら豆の莢は小動物のような存在感があった。この句を見るたびに春に帰省した時間を思い出すと思う。俳句毎日に出していなかったので、本日の句とさせてください。

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