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4月30日の図書館記念日にとある問い合わせを受けた思い出

こんにちは、古河なつみです。
本日4月30日は「図書館記念日」です。
これは日本で図書館法が公布された日を記念して設けられています。
ある年の図書館記念日にたまたま受けた問い合わせ(レファレンス)を思い出したので、ご紹介します。
※細かい部分の会話は少し変更を加えてお送りします


「これってコラボポスターだよね?」

私が図書館内で書架整理(本棚の並び順を直したり、本が少なすぎたり多すぎたりしないか調整する作業)をしていると、男性に声を掛けられました。
彼が指差していたのは、図書館の壁にある張り紙です。

「図書館戦争のアレだよね? 随分前の映画作品だし、そろそろ剥がした方がいいんじゃない?」

図書館戦争シリーズは有川浩(現在は有川ひろ)さんの人気小説で、図書館で働く司書たちが国の検閲に立ち向かうために実際に武装して戦っていくお話です。その作品の冒頭で語られている「司書たちが戦う根拠」が書かれた文書が私の勤める図書館にも貼ってありました。
かなり古びているポスターだったので親切に教えてくださったようです。

「図書館の自由に関する宣言」は実在している

「実は、映画が先ではなくて、これが元となって図書館戦争のあのお話になったんですよ」
「え? あの文章って小説のオリジナルじゃなかったの?」
「はい、確か1970年代に決まった本物の宣言を元に図書館戦争では若干アレンジを加えていると聞いています」
私が答えると、男性はちょっと笑ってこう尋ねてきました。
「じゃあこの文章の解釈次第であなたみたいな人も武器を取る事に?」
「それは……どうでしょう(笑)現実には銃刀法とか、他の法律が絡むと思うのでこのままの文章では実現は難しいと思いますが……ただ、戦火から守るために図書館の本を庭に埋めて退避させたり、検閲や焚書を避けるために本を隠した司書さんは実在しているので、そういう事は起こるかもしれませんね~」

やっぱり平和が一番だね、と納得したように男性は頷いて本選びに戻っていかれました。

開館当初から貼られていた「図書館の自由に関する宣言」はかなり古びていました。念のため「利用者さんから指摘がありました」と上司に報告すると「あれはあのままがいいよ」という返事だったので、多分、今でもあの真っ茶色に古びた「図書館の自由に関する宣言」のポスターは貼られたままになっていることでしょう。

ここまでお読みくださりありがとうございました。
それでは、また。

古河なつみ


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