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2024年4月の七ならべ

※ここでは、七音のフレーズのみで構成された詩形式を「七ならべ」と呼んでいます。

4月はほとんど書いていませんでした…



駅舎が淡く
光り出すころ
遠い記憶が
近づいてくる
あの頃ぼくは
海賊王に
なれないことを
自覚していて
瑕疵ひとつない
紙ふうせんを
作ることだけ
考えていた
それが何かの
役に立ったか
ポストはいまも
赤らんだまま
(2024年4月2日)

どんよりとした
日々が続けば
白い音楽
聴きたくもなる
晴れないけれど
雨も降らない
午後の窓辺で
風もないのに
揺れるカーテン
均衡を得た
うたた寝のなか
とどく手紙が
沈黙を断つ
開いてみれば
八分休符が
ただ一つだけ
記されていた
(2024年4月23日)

誰も知らない
道をさがして
ただ闇雲に
歩きたかった
ぼくの地図には
色とりどりの
抜け殻だけが
記されていて
どの方角に
進んでみても
空虚な風に
吹かれるばかり
それでも星は
輝いてるし
羽さえあれば
なんとかなると
音の鳴らない
ウクレレ持って
人差し指の
旅をはじめる
(2024年4月29日)

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