ふるいはさみ

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    文字どおり、散文をまとめたものです。

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記事一覧

七ならべ 火薬のにおい

声にも影が 出来るんだねと あの日あなたは 笑っていたね その影のこと ぼくがどれだけ 愛していたか それは誰にも 言えないことで 五月の風は なにも言わずに 有象無象を …

30

どの街も長く住むには狭すぎてぼくは彼の地の夢をみてるよ

26

七ならべ 不可抗力

風の強さは 意志の弱さと 比例していて 忘れたはずの あの人のこと 思い出しても それは結局 不可抗力で いつかは風も 落ち着くけれど いくら待っても 黙ることない 動脈た…

29

散文集 2024年4月

主にBlueskyに書いたものをまとめました。 この世界はほんの少しの設定と膨大な妄想でできている。のぞき穴によってものがたりはつくられる。 (2024年4月9日) 誰よりもぼ…

36

お気に入りのピアニストをみつけたはなし

 4月27日のこと、Elmo Hopeというピアニストを知った。  昼下がり、DeNA vs 巨人のデーゲームをネット配信でみていた。今年の横浜は打てないなぁなんてあれこれ思いなが…

36

七ならべ 鳩

中途半端な 季節の中で 降らせたがりの 雨雲だけが やる気に満ちた 顔をしている キジバトが鳴く 朝を駆け抜け 迷わぬように 電車に乗って それでも降りる 駅は選べて ため…

30

五五二二五

連休最終日の5月6日。ハマスタでの筒香選手の逆転3ラン、感動しましたね。全ベイが泣いたことと思います。当然、ぼくも泣きました。 さて今回は、筒香選手の復帰に合わせ…

28

七ならべ 夜の長さ

夜の長さは 不可分だから 思い出せない 衝動もある 遊び疲れた 東の空に 流星群が 唄い出したら 北の島にも 夏の予感が 匂いはじめる 手帳に描いた パラパラまんが 結末だ…

30

【詩】共有

空が小さくて 悲しい記憶ばかり 芽吹くこの街で あの日と同じ ホームから 電車に揺られ 人混みが苦手な ぼくの身体は 透き通ってゆく 戻らなくてもいいと 決めてしまえば …

ふるいはさみ
2週間前
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七ならべ 夜の駅舎

寂れた町の 夜の駅舎は 孤独な星の 軌道のようで 今、離れたら 二度と会えない そんな気持ちが こみ上げてくる 電車が闇に 消えてしまえば 照らす相手も ない電灯が 視線の…

ふるいはさみ
2週間前
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2024年4月の七ならべ

※ここでは、七音のフレーズのみで構成された詩形式を「七ならべ」と呼んでいます。
 4月はほとんど書いていませんでした… 駅舎が淡く 光り出すころ 遠い記憶が 近づい…

ふるいはさみ
2週間前
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短歌 2024年4月後半

Blueskyで書いていたものをまとめました。 ※二首漏れていたので加えました(5/4) 目覚めたら週の真ん中水曜日ベッドの海に溺れても朝 金曜の雨は優しい顔をして本音を…

ふるいはさみ
2週間前
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2024年4月の二の字

二の字とは文字数を揃えた(同字数を基本とした)二行詩で 
 雪の朝二の字二の字の下駄のあと 
の名句から、勝手にそう名付けています。 見上げても帰る丘がない 欲…

ふるいはさみ
2週間前
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4月のベイスターズ短歌

毎試合というわけではないですが、書き残したいと思った時に書いています。 上茶谷大河という名の神がいて何かお布施をしたくなる春 (4月6日) ツイてない夜が続いてい…

ふるいはさみ
2週間前
28

昨年春に改名した時、Twitterのアカウントは作り替えたけどnoteはアカウント名を変更して引き継いだ。
次改名する時はどうするんだろうな。ということを考えていた。改名したい症候群の兆しなのか、いろいろ手放したくなってきている。

ふるいはさみ
3週間前
32

ここしばらく目が痛かったり痒かったりで充血したり瞼が腫れたりしていたので、昨日眼科を受診しました。目薬と軟膏を処方されて、今日はかなり落ち着いてきました。
目から溢れた目薬が頬を流れてゆく時の感覚が好きです。なぜか優しい気持ちになるという。

ふるいはさみ
3週間前
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七ならべ 火薬のにおい

七ならべ 火薬のにおい

声にも影が
出来るんだねと
あの日あなたは
笑っていたね
その影のこと
ぼくがどれだけ
愛していたか
それは誰にも
言えないことで
五月の風は
なにも言わずに
有象無象を
飲み込むだろう
だけどそれでは
あなたの蒔いた
種の行方に
気づけないから
途方に暮れた
季節のなかを
歩き続ける
仮に夏なら
火薬のにおい
纏ったままで
空虚なぼくを
笑って欲しい

どの街も長く住むには狭すぎてぼくは彼の地の夢をみてるよ

七ならべ 不可抗力

七ならべ 不可抗力

風の強さは
意志の弱さと
比例していて
忘れたはずの
あの人のこと
思い出しても
それは結局
不可抗力で
いつかは風も
落ち着くけれど
いくら待っても
黙ることない
動脈たちが
歌い出すなら
ぼくの意志など
こっぱみじんに
朽ちてゆくから
箍が外れた
記憶をどこに
仕舞えばよいか
迷いつづける

散文集 2024年4月

散文集 2024年4月

主にBlueskyに書いたものをまとめました。

この世界はほんの少しの設定と膨大な妄想でできている。のぞき穴によってものがたりはつくられる。
(2024年4月9日)

誰よりもぼくを知っているぼくのスマホは情報の一部をクラウドに預けている。ぼくの知らないところでぼくのバックアップはつくられる。
(2024年4月10日)

一度だっておなじ夕焼けに出会ったことがない。いつかとおなじ夜を繰り返すこと

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お気に入りのピアニストをみつけたはなし

お気に入りのピアニストをみつけたはなし

 4月27日のこと、Elmo Hopeというピアニストを知った。

 昼下がり、DeNA vs 巨人のデーゲームをネット配信でみていた。今年の横浜は打てないなぁなんてあれこれ思いながらふと頭に浮かんだのがビバップ/ピアノというキーワード。こういうときは運転中とかでない限り間髪入れず検索することにしている。ビバップのピアニストといって思い浮かぶのはバド・パウエル。もちろん彼の名前が真っ先に出てくるの

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七ならべ 鳩

七ならべ 鳩

中途半端な
季節の中で
降らせたがりの
雨雲だけが
やる気に満ちた
顔をしている
キジバトが鳴く
朝を駆け抜け
迷わぬように
電車に乗って
それでも降りる
駅は選べて
ためしに降りて
歩いてみたら
キジバトはなく
ドバトなら居る
鳴き方なんて
個性でもなく
窓を覗けば
行くあてのない
ネジが並べて
置いてあるだけ

五五二二五

五五二二五

連休最終日の5月6日。ハマスタでの筒香選手の逆転3ラン、感動しましたね。全ベイが泣いたことと思います。当然、ぼくも泣きました。
さて今回は、筒香選手の復帰に合わせて五五二二五という詩型で遊んでみたはなしです。五五二二五。ゴーゴーツツゴーと読みます。いや、読んでください。

筒香が
塗り替えた
この

わすれない

一夜明け
興奮は
まだ

震わせる

連休は
儚くて
また
あさ
鞭を打つ

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七ならべ 夜の長さ

七ならべ 夜の長さ

夜の長さは
不可分だから
思い出せない
衝動もある
遊び疲れた
東の空に
流星群が
唄い出したら
北の島にも
夏の予感が
匂いはじめる
手帳に描いた
パラパラまんが
結末だけを
書き換えたなら
前頭葉に
捨ててしまおう
迷子の山羊が
泣き止むまでは
夜は固定値
揺るぐことない

【詩】共有

【詩】共有

空が小さくて
悲しい記憶ばかり
芽吹くこの街で
あの日と同じ
ホームから
電車に揺られ
人混みが苦手な
ぼくの身体は
透き通ってゆく
戻らなくてもいいと
決めてしまえば
楽になるのは
わかってるけど
あの場所にある
大切な星々と
途切れたくなくて
優柔不断なまま

ミルト・ジャクソンの
ヴァイブが好きで
それはぼくにとって
夜そのもので
でも誰ともその音を
共有してこなかった
この不愉快な雑踏を

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七ならべ 夜の駅舎

七ならべ 夜の駅舎

寂れた町の
夜の駅舎は
孤独な星の
軌道のようで
今、離れたら
二度と会えない
そんな気持ちが
こみ上げてくる
電車が闇に
消えてしまえば
照らす相手も
ない電灯が
視線の先を
泳がせたまま
永い時間を
ただ持て余す
寂れた町の
夜はこうして
ひとつの星を
守りつづける

2024年4月の七ならべ

2024年4月の七ならべ

※ここでは、七音のフレーズのみで構成された詩形式を「七ならべ」と呼んでいます。

4月はほとんど書いていませんでした…

駅舎が淡く
光り出すころ
遠い記憶が
近づいてくる
あの頃ぼくは
海賊王に
なれないことを
自覚していて
瑕疵ひとつない
紙ふうせんを
作ることだけ
考えていた
それが何かの
役に立ったか
ポストはいまも
赤らんだまま
(2024年4月2日)

どんよりとした
日々が続けば

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短歌 2024年4月後半

短歌 2024年4月後半

Blueskyで書いていたものをまとめました。

※二首漏れていたので加えました(5/4)

目覚めたら週の真ん中水曜日ベッドの海に溺れても朝

金曜の雨は優しい顔をして本音を吐けと追い込んでくる

早朝の身体は少し透けていて邪悪な雲に同化しやすい

週末のぼくら浮き輪になりたくて貪りもせず抱き合っている

春風に堕ちてはいけない恋だけどおなじ鏡に映りたかった

失った恋を数える指だけが器用になっ

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2024年4月の二の字

2024年4月の二の字

二の字とは文字数を揃えた(同字数を基本とした)二行詩で


 雪の朝二の字二の字の下駄のあと


の名句から、勝手にそう名付けています。

見上げても帰る丘がない
欲望は眩しくてさみしい
(4月2日)

足元にご注意ください
諦めた昔話が蘇ります
(4月4日)

それを希望と言うのなら
世界は半熟のままでいい
(4月5日)

ぼくの窓は春に奪い取られたままで
ことばより大切なものが消えてゆく
(4

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4月のベイスターズ短歌

4月のベイスターズ短歌

毎試合というわけではないですが、書き残したいと思った時に書いています。

上茶谷大河という名の神がいて何かお布施をしたくなる春
(4月6日)

ツイてない夜が続いていようとも中川颯は浮かび上がるさ
(4月11日)

希望とは横浜の空高く舞う球の行方を疑わぬこと
(4月14日)

この夏の横浜には筒香がいて汽笛は何度鳴らしてもいい
(4月18日)

トンネルを抜けたら京田の誕生日戦う顔はもう曇らない

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昨年春に改名した時、Twitterのアカウントは作り替えたけどnoteはアカウント名を変更して引き継いだ。
次改名する時はどうするんだろうな。ということを考えていた。改名したい症候群の兆しなのか、いろいろ手放したくなってきている。

ここしばらく目が痛かったり痒かったりで充血したり瞼が腫れたりしていたので、昨日眼科を受診しました。目薬と軟膏を処方されて、今日はかなり落ち着いてきました。
目から溢れた目薬が頬を流れてゆく時の感覚が好きです。なぜか優しい気持ちになるという。