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【Y2K】仕事における時給と昇給とやる気のバランス

晴れてFIDMを卒業した私。

学生時代の様子を生で綴った懐かしのブログはこちら↓

ユダヤ系米国人のジェームスの下で、セールマンのアシスタント業を始めた。

セールスマンになったお話しはここ↓

アシスタントセールスレップとして、私が学んだことは、セールスマンのイロハはもちろんだが、それ以上に「給与と昇給と仕事へのやる気」がいかに密接な関係なのか、という人生とビジネスの教訓だ。

私がジェームスのアシスタントを始めた当時、私の時給は10ドルだった。マクドナルドの時給が8.5ドルくらいだったので、ホワイトワーカーとしての時給は可もなく不可もなくな値段。

私はとにかく、ファッション業界のど真ん中で仕事をする経験が積みたかったので、10ドルでも最高にハッピーだった。ファッションディストリクトのショールームを歩くだけでも毎度勉強になったし、何よりもここで働いていると思うだけで価値があると思っていた。

そんな私が週に3日アシスタントの仕事を始めて1ヶ月が経とうとしたある日、ジェームスに声をかけられる。

「来月から、時給を12ドルにするね」

マジか。
いきなり昇給ってほんとにいいの!
私にとっては天にも登る思い
何よりもいきなりそんな風に昇給の話しが出てくること自体が衝撃だった。

「君の働きには感心している。これからもよろしく」

ネゴするわけでもなく、お願いしたわけでもないけれど、自分が一生懸命仕事をしていることを、昇給ということでちゃんと評価してくれたことが何よりとても嬉しかった。時給+2ドル。一日5時間くらいなので、1日10ドルアップ=千円くらいしか上がらない。それでも私のやる気へのインパクトはハンパなかった。

そして、それ以降も少しずつ昇給をしくれて、特に彼の日本のクライアントからのオーダーが増えた時を機に、昇給を繰り返し、1年ほど働いた間に、時給は15ドルになったと記憶している。

ジェームスの昇給術については、彼の個人的な経験値から培われたセンスなのか、それともビジネスに長けていると言われるユダヤ系故なのか、と最初はわからなかった。だがジェームスのお父さんが職場に顔を出した時にお話しさせてもらい、彼が「仕事をしっかりしてくれる従業員を大切するのは当たり前」という話しを聞いた時に、改めてこの親にしてこの子ありといいうことに気づいた。

そしてこれがユダヤ人のビジネスマンたちが成功している理由なのかもしれないと感じたのだ。ユダヤ人は「お金が成功の尺度」と考える。その人の価値を金額で表すことは、ビジネスにおける人間関係において、必要不可欠な要素だ、ということを感じた。だから、単純に「よく仕事してくれているな」と思った気持ちを言葉にするだけでなく、「昇給」という形で表現していたことは、シンプルな行動だったのだ。特にこういう個人の事務所は匙加減はいくらでもできる。

私がアシスタントをする中で、彼のコミッションがどのくらいになるか、実は簡単に計算できてしまうので、そこからこれまでのよりもオーダーを多く取れるようになったということを数字にしてくれたに過ぎないとはいえ、お金を払って人を雇う時の重要なポイントみたいなものを学んだ気がした。

この経験は、その後私にとっていろいろな場面で指標になっている。だが、実際に給与に見合った価値ある仕事をこなしてくれている、と評価することの難しさは計り知れない。これまで私のアシスタントをしてくれた人たちに、私はちゃんとした値段を払ってきたのだろうか。同時に、彼らは見合った仕事をこなしてくれていたのだろうか。

たった1年の経験だったけれど、ジェームスが私に叩き込んでくれた独立系セールスマンの大変さと面白さは、私が米国で生きていくために事業を始めるにあたり、一番手っ取り早くそして成功する可能性がある仕事としてショールームビジネスを選ぶきっかけを作ってくれた。

アシスタントを初めて約10ヶ月後、私は独立することを決意。

自分のショールームをオープンすることになる。

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【雑記】
アシスタントセールスレップをしていた当時、英語のセールストークに少々自信がなかったこともあって、なんとなくまずはFaxとメール、郵便でラインシートや資料のカタログを送る仕事を最初にやらせてもらった。

ジェームスも、私にいきなり電話でセールスができると思っていなかったし、逆にそこは彼の得意分野でもあったので、私は彼の苦手な「書類整理」を中心に仕事をこなしていったワケだ。

今の人たちからしたら、Faxや郵便で仕事にならないでしょ?って思うかもしれないけれど、当時はめちゃくちゃ重要な営業ツール。ちなみにemailに対して、snail mail(¥=カタツムリみたいにのんびり届く郵便)なんて言葉も、米国でセールスマンしている中で覚えたらスラングだ。

"Can you send me your catalog via snail mail"

こんな言い方で、バイヤーやオーナーさんにお願いされたのだった。


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