星井ふなみ
すぐどっかに登る5歳の1人娘、チビコ。(6歳になりました!)自転車好きの夫くん。陰気な極楽とんぼの私の珍道中。
優しい宇宙人か宇宙人に優しくされる呑気な日常の物語がなんだか多いです。だいたい短めです〜!
お風呂上がりのチビコはパジャマに着替えた後、ふらりとどこかに遊びに行くのが常だ。 ウォーターサーバーで一杯引っ掛けてたり、おしゃべりあいうえおタブレットに『ままだいすきだよ100まんてんだいすきだよ おしり』とか言わせてくれていたり、静かだなと思ったら私の携帯で犬犬さんの新作をチェックしたくてロックと格闘してたり。(やめて) 本当はそのまま歯磨きに直行して欲しいんだけれど、このふらりの時間が1日で一番リラックスしてるみたいから、ちょっとスキンケアでもして待つ事にしている。
仲良しのsちゃんと私は、何かというと水筒を持って待ち合わせて、ちょっとした景色のいいところでお茶をするのが好き。 釣り人に紛れて堤防に座り熱いほうじ茶を飲んだり、どこまでも歩いて神社の木陰でチャイを、雪の海でホットワイン、夏山の駐車場でいちごサイダーetc.......。 私達のお茶飲みは、出会った時から10年間でどんどんこなれていったが、10年全く変わらずに好きだったのは帽子と大風とおしゃべりだ。スキーゴーグルやサイクリングサングラスがあれば無問題!ダウンのレッグウォー
ある夜。 「ママ〜!仕上げ磨きお願いしま〜す!」 ってチビコが言ったから、はーい!と洗面所に行った所、サングラスをかけたオチビが椅子の上に立ってニヤッニヤしながら、私を待ち構えていた。 「かっこいい〜!」 と言って、歯を磨いてやろうと口を覗いたら、むっっっちゃくちゃに歯磨き粉を使いまくってあって、あり得ない泡…カニとしか言いようがない泡! 「うわあああ〜っ!」とかって私が驚いてバランスを崩したもんだから、チビコはもう嬉しくて嬉しくてっ!という感じで椅子の上でキャッキャッキ
休日の昼下がり。 生理で逆毛を立てて丸まっていたら、夫くんが温かい汁ビーフンと春巻きをささっと出してくれた。朦朧としつつ器を抱えたら、なんてことだ…庶民の神さまみたいなキラキラした汁麺で、香りもスープもフッ。と口から全体に染み入り、温泉上がりみたいにぽーっとなって、力付けられた。 こんなに長く付き合ってて子どもまでいるけど、彼って何者なんだろう。。前世で料理界から追放でもされたのかな?(笑)等、ずっと毎日ふしぎに思う。。。 緩んでソファーでひっくり返っていたら、暇なオチ
暑さが落ち着いたのと、チビコが大きくなったのとで、チビコのクローゼットが毎日爆発してるから大整理する。 改めて見る夏服は、色褪せて伸びて千切れてて、1年ぶりに出した秋物は見るからにちっちゃい。 つまり、まともに整理たらほんとにスッカラカンになってしまい、チビコとお買い物に行く事にした。 …だけど、なぜだか猫プリントのスカートがぽわんと大きく膨らんでいる「猫ドレス」だけを買って帰る事になった… 「いや、こういう事じゃないんだチビコ!秋の幼稚園にどんな服で行きたいの?」 「う
『しまい込んでたものも一旦全部出して片付けましょう。全部出すんですよ、現状のままちょこっと整理するくらいじゃなく!奥まで風を通そう!!』 ってな感じのムーブメントを家中、ひいては身体中から感じる。 秋風や〜。 あれよあれよと、悪化しちゃってた物事の多さよ。 薬棚よりも守備範囲広く我が家を支えてくれてる衛生用品チェストは魔境の趣が匂ってきちゃったし。チビコのクローゼットは季節とサイズの変化に大混乱で、毎日ポップコーンみたいに爆発してるし! そしてなんと言っても私の咳。
昨晩は夜中に、急速に、急激に冷え込んだ。びっくりびっくり。 慌てて窓を閉め、寝ぼけながらその辺にあった布をミノムシみたいに集めたが夏物をいっくら重ねてもダメ。ああ寒さってこうだよね、布団の膨らみにぼふっと包まれたい。。。と思いつつ、埃っぽい布団を今ひっぱり出したら喘息で死ぬなと思い、ペラペラ布まみれでチビコと抱き合ってしのぐ作戦で行く。 「ねえママ、寒いよ。どうして?」って目をまん丸くしてびっくりしてるチビコを、ハトのお母さんみたいに自分のペラペラ布の中にしまって寝かす。
れもんの花が咲いて、とてもいい匂いだ。 この檸檬の木は、のびのびよく茂ったオリーブ達に若干埋もれるように生えている小ぶりな木だ。人通りに面した目立つ場所だが上手く存在感を消していて、可憐というより骨太で、用心深いけど自由闊達な枝ぶりは元気そのもので。そして、大きな実をたくさんつける。 木にも色々性格があるんだろうけれど、私はこのれもんの木は、男所帯で育った女の子みたいだなと思う。 檸檬の花に鼻を寄せて嗅ぐとき、自分の場違いさに愕然とする事がある。 Zoomで天とれもんが
幼稚園では運動会の練習が始まったらしい。チビコがいつも以上によく走っている今日このごろ。 私がソファーに座ったら、汗でしっとりしたチビコが大急ぎで隣にやって来て、コテンと転がった。 ちっちゃくて柔らかい、肩も背中もおしりも、おもしろいことしかできない性格も。なんてかわいい生物なんだろうなっ。。と、いつもの如く信じられない気持ちになっていた時に突然めちゃめちゃ臭い匂いが!目の前にはちっちゃい人の足がのびのび。ピンクのぷちぷちした足指を動かしておる。 …このオチビはお気に入り
いつだって喉が弱い私だが、これはついに寝れない喘息の域だ。 人に感染らない咳なので、咳しながらも海で泳いでる位に元気なのだが、なんていうか家族全体の健康の曲がり角を感じる。 (これが夏の疲れってやつか〜。少し休養するかな。) と思いつつ、みんな送り出してからアマプラで『白河夜船』を発見し、まだ見ていなかったから大喜びで見る。 ……ああ…そうだった。眠りの話だった…。 夏を駆け抜けてる間に、からだのずっと奥底に溜まっていたのであろう、沈殿物のような重みや暗さが、寺子ちゃ
チビコと一緒に夕飯を作っていたら、 「ねえママ。アタシきょう発見があったの!わかったのっ。」 と嬉しそうに言ってきた。 調理場前に置いた椅子の上に立っているオチビは、料理人の気合の証でピンクのキティちゃん三角巾とエプロン姿 でキメている。スポットライトに丸いおでこを照らされて、眉毛をキュッと上げて。 「なになに?」 と聞くと、チビコはマイ包丁をコトッとまな板に乗せて、長いまつ毛を優しく斜めに伏せ、記憶をたぐるように話した。 「何になりたいか聞かれる事がまあまあ多いからさ
チビコはもしかしたらフルーツを思う存分に食べたくてこの世に生まれてきたんじゃないか?と私は少し思っている。 言葉をろくに喋れないヨチヨチ歩きの頃から『クワ、クワ。』って言って脱走して、ちっちゃな桑の木まで行って桑の実を食べようとしてたし。 梨事件っていうのもあった。それは何年か前。 「ママ、ピンポンってなった!」 とすごくすごく喜び勇んでチビコが駆け寄って来たのだ。でも鳴っていなかったので、聞き間違いじゃない?と私は言った。するとチビが身悶えして、 「ううん!!!あのね!
チビコ年長さんの夏休みが、なだらかに終わって行く風味の日々。 台風がずっとウロウロしてて、いつもなら気が滅入るけど、こういう時なら意外とナイス。嵐があれば流石に、新学期という人間社会だけの異様な衝撃に気が行かなくなるからな。あと、涼しくなってシソ達が蘇った! 半日幼稚園が始まったが、早速1日休んで実家に泊まりに行って甥っ子達と嵐直前の浜で遊びまくってみたり。チビがやりたがった幼稚園の体操クラブが始まったけど、早速台風で中止になったからヤバイ扇風機を2人でむっちゃ掃除したり
長野へ〜。夫くんのチャリレース(乗鞍であるやつ)のために来ることになったのだけど、今回私とチビコは松本に残る計画だからプチ2人旅気分だ♪ 松本の夜散歩では芸大生のカエル神輿を懐かしく見て四柱神社に行って、なんて素敵なおきな堂!では、美味しい美味しい美味しい…‥と100回くらい言いながらロースとんかつ食べて幸せ。。。。 松本の早朝『行ってきまーす』ってチャリな格好で出ていった夫くんを、チビコと私はこっそり付けてホテルを出て、市街地のパーキングまで尾行して楽しんだ。(ずっとバ
『舞台』 市民会館に白雪姫の舞台を観に行く。客席は日焼けした子供連れで一杯。 開演待ち時間は客席の所々で親御さんガクッと気絶してて、ポンと肩を叩くような気持ちで『わかる。お前さん頑張ってる。』と心で語りかける。 私達は午前中に海で泳いでシャワー浴びてそのまま来たから、チビコが寝ちゃうかもしれないと思ったけど全くの杞憂だった。 チビッコ達の没入エナジーが凄すぎて、舞台に本物のおとぎの魂が宿って行くようだった。白雪姫さんなんてラストシーン、涙をダーダーと流しながら、しゃくりあ
「今年海で泳ぐのはこれが最後かなあ〜っ」 と海に浮かびながら夫くんが気持ち良さそうに言った。 彼はそうかもしれないけど、まだまだ秋風も吹かないし、私とチビコはあと5回くらいは来るかもー。と思ってから、だけど何がどうなるかはわからん事だ、振り返ったらほんとに今日が最後になるかもしれないんだよな〜と、なんとなく大きく夏を思った。ギリギリ足がつく浅瀬で、ちょいちょいジャンプしながら。 チビコを見ると、ナマケモノ形の浮き輪がこっちを向いて笑っていた。今年私が見つけた信じられないよ