2022年、大谷翔平の脅威、再び


昨年、日米の野球界においての主役ともいえる活躍を見せたのが、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平です。投打の「二刀流」がメジャーリーグを席巻し、先発投手として9勝、打者としても46本塁打でタイトルを最後まで争いました。オールスターへの出場や、極めつけは満票での選出となったアメリカンリーグMVPなど、米球界に、近年にないインパクトを与えたシーズンとなったと言っても過言ではないでしょう。

また、プレーはもちろん、大谷選手のキャラクターがこれまで以上にフォーカスされた一年だったことも間違いありません。スケールの大きな打撃、160㎞を超える剛速球を繰り出しつつも、試合中は穏やかな表情を崩すことはなく、時には相手チームのファンからも声援が送られる場面もありました。一方で、シーズン終盤、チームの敗戦が続いた状況においては、ベンチで激しいアクションを見せるなど勝利に対しての貪欲さも隠そうとせず、自チームやマスコミに訴えかける姿勢も見られました。

これらはメジャー4年目となった昨シーズンに、初めて見られる光景だったとも言えるでしょう。そしてそれは、MLBの舞台で初めて「二刀流」を1シーズン通してやり遂げたことが大きな理由の一つです。投打での躍動、大谷選手の個性、すべて発揮できたことで、これまでにない景色が見えたのだと感じます。

それでは、来るべき新シーズン、大谷選手はどのようなプレーを我々ファンに見せてくれるのか?「二刀流」へのさらなる挑戦は?想像するだけで、すでに胸の高鳴りが聞こえてくるようです。

●驚異的な投手、野手としての成績

昨年の大谷選手の成績を振り返ってみます。主な打撃成績として、打率.257、46本塁打、100打点、26盗塁の数字を残しています。投手成績では23登板、9勝2敗、防御率3.18、156奪三振と、いずれもハイレベルな記録であることは明らかです。

打撃成績ではやはり、タイトル獲得まであと2本と迫った46本塁打、そして打点の100という数字が突出しており、「スラッガー・オオタニ」を強烈に印象付ける記録となったことは言うまでもありません。ただ、本塁打、打点数そのものはもちろんですが、いずれも打席に立ち続けることで到達できる記録であり、やはり常時出場したことが真っ先に讃えられることであると言えます。

因みに、昨シーズン大谷選手は、日米での8年間のプロ生活を通じて初めて規定打席に達しています。野手として155試合で633打席はほぼフル出場に近い打席数ですが、よもや、メジャーの舞台で先発投手としての活躍を披露しながら規定打席をクリアするとは、今振り返っても信じられない出来事のように思えてなりません。また、リーグ5位となる26盗塁や、8本を記録した三塁打は両リーグを通じてもトップ(タイ)など、走力の面においても高いパフォーマンスを発揮し続けました。

反面、投手成績においては、偉業の裏で口惜しさが脳裏を掠めます。チーム最多の9勝、そして最後までローテーション通りに投げぬいたことはもちろん賞賛される内容ですが、数字を振り返ると、もっと勝利数が上積みされていてもおかしくありませんでした。勝利投手の権利を得る5回以上を投げ、失点が2点以内でマウンドを降りた回数は実に7度に上っています。特に、シーズン最後の2度の登板ではいずれも二桁奪三振を記録する力投をみせたものの、白星には繋がりませんでした。味方打線の援護は当然のことながら、試合展開次第では勝ち数が大きく変わっていたことも十分に考えられる、それだけの投球を続けていたシーズンでもあったのです。

●「ショウヘイ・オオタニ」の今後は?

大谷選手のこれまでの活躍により、日米の野球界に大きな変化をもたらしています。2020年には選手登録のカテゴリーとして「2-Wayplayer」が創設された他、昨シーズン終了後にはメジャー・NPB両球界で二刀流への「転向」を目指す選手の存在が伝えられています。間違いなく、大谷選手の影響であり、今後さらに増えていくことも考えられるでしょう。

何から何まで、野球界の歴史を変える大きなきっかけとなったことは確かであるのですが、もちろん、大谷選手の躍動は新たなシーズンでも見られるはずです。そして、そこにはまた新たな「偉業」を成し遂げていく可能性も少なくない気がしてなりません。

すでに囁かれている、外野守備も常時行う「三刀流」でのプレーや、打者での規定打席に加え投手での規定投球回到達の他、何よりも大谷選手の活躍によるエンゼルスのプレーオフ進出など、まだまだ夢は大きく膨らみます。

さらに昨シーズン中、聞こえてきた「先発登板の翌日はよく打てる」とのエピソードは誰もが耳を疑いました。とあるTV解説者は驚愕の声を上げたほどでしたが、実際に登板の翌日には打席に立ち、安打を記録した試合もあり、超人的な身体能力を発揮しています。

果たして2022年シーズンも、より進化を遂げた大谷選手のパフォーマンスは見られるのでしょうか?そしてそれがどんなものになるのか、想像は広がるばかりです。ただ、「ショウヘイ・オオタニ」は我々の想像さえも大きく超えていく、そんな気がしてなりません。新時代を築き続ける、大谷選手のプレーに期待しましょう。(佐藤文孝)

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