日記: 日々と娘と映画と
桜がヒラヒラと散る様をみたら、2000年代の岩井俊二映画を思い出した。
松たか子主演で北海道から上京した大学生一年生の瑞々しい姿を捉えた『四月物語』。制服似合ってないね、などといいながら桜並木を駆けながら高校に進学する2人の可笑しくも美しい映画『花とアリス』。どちらも何度観たか数えきれない程に偏愛している作品である。
昨日、初めて生後5ヶ月になった娘を連れて地域の子育て支援センターという場所に行ってみた。
当たり前のことだけれど人間は行動あるのみなのだなと、些細なことながらも実感をした出来事だ。
子を授かるまでそういう場所があることすら知らなかったが、そこに行けば助産師さんがいて子供が安心して遊べる空間があるそうだ。
初めての場所で緊張したのも束の間、助産師さんやそこにいる同じ境遇の母親達も皆良い距離感を保ちながらもとても親切にしてくれて心がほぐれた。
娘も同じような小さな人間たちにはじめて出会ったことが嬉しくて、いつになく大喜びだ。
以前よりも出かけることにハードルが上がるようになったのに、行く先々では温かな視線や温かな声掛けを受けるようになったことにとても驚いている。
心なしか自分が以前よりも社交的で明るい人間になったような気がしてもいるし、どこにいても自然体で過ごしていればいいと娘は私に教えてくれるような気もしている。
育児中は以前と比較すると生活に変化があまり起き辛い。きっと同じ境遇の多くの人がそうなのだと思う。
実家と自宅、あるいは近くの公園や商業施設に行くぐらい。週末の映画館と月一の美容室。(書いてみたら結構外出してるが…)
確かに忙しさもあるけれど、気持ちが晴れずに他の誰かと話すのが億劫で面倒になってしまってもいた。
とにかく以前とは心身ともに状況がなにもかも違っていて、それに慣れる事に精一杯だったのだと思う。
でも、新たな季節の四月は変わらずにやってきたのだ。
桜も咲き、もうまもなく新緑の季節になるのだから、今は新しいことを早くはじめたくなってきている。
妊娠期から産後、必然的にこれまで出来ていたこと(仕事や趣味)に全力では向き合えなくなったと思う。それだけでなく、私の場合はこれまで親しくしていた友人と疎遠になったりなど人間関係にも大きく変化があり、今振り返ると良いことばかりではなかった。
だが今は、この変化こそがまた新たな暮らしや価値観を知っていけるチャンスなのかもしれないと思えるようになってきた。変わること自体がむしろ楽しみだ。
出産して子育てをする世代の女性のそういった変化は、世の中的にネガティブに捉えられがちだけれど、ぜったいそんなことはない。
積み上げたものからいったん離れてしまう、あるいは全くなくなっててしまう、という悔しさを味わうシーンは確かにあるけれど、だからと言って別に過去に執着する必要はないのだとも考えられる。
毎日成長し変わっていく娘には本当にいつも教えてもらってばかりだ。
久々にあのフレッシュな気持ちを思い出して、2つの映画も観てみようかと思う。
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