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不幸せの黄色い信号。

信号機を発明した人は偉いと思う。

歩行者、自転車、自動車、バイク。それぞれに関する交通ルールを整備した人たちも大した秀才だけど、やはり驚くのは信号機だ。なにがすごいって、黄色信号である。赤でもない、青でもない、「そろそろ赤になるぞ、気をつけろよ!」の黄色信号。これがあるおかげで防げた事故は、数えきれないほどあるだろう。というか、仮に信号が赤と青の二色で、点滅という妙技もなかったとしたら、あらゆる場所で事故が起きまくるに違いない。


いま、わりと大きめの口内炎が、口のなかに3つできている。

子どものころに口内炎ができると、ハチミツを塗るように言われていた。そして口内炎は、胃が悪いからできるのだと説明された。民間療法であり、家庭の医学である。けれども子どもである自分に口内炎ができるときは、決まって口のなかを切ったあとだった。転んだり、ケンカをしたり、ボールがぶつかったり、さまざまな理由で口のなかを切ると、傷がやがて口内炎になっていった。

胃薬を常用する大人になった現在も、なんの脈絡もなく口内炎ができることはない。できるときにはやはり、口のなかを切っている。転ぶことも、殴り合いのケンカをすることも、ドッジボールが顔面を強打することもなくなった現在、どうして口のなかを切ってしまうのか。

噛むのである。

ラーメンを食べているとき、頬の裏側を噛んでしまう。パンを食べているとき、唇を噛んでしまう。そういう不随意な不注意によって口腔内を噛み、それが口内炎に育っていく。

そして口のなかを噛む理由を調べると、疲れなのだそうだ。心や身体が疲れていると、自律神経の働きがおかしくなり、噛み合わせるべき歯がズレてしまう。そうして前後左右に歯が(顎が)ズレた状態でものを咀嚼するから、頬や舌や唇やを噛んでしまう。さらにそれが口内炎を育ててしまう。

要するに口内炎は、「お前ちょっと疲れてるぞ」の黄色信号なのである。


「ネオビタBBプラス」なるチョコラBBのジェネリック品を飲みながら、もうちょっとやさしいかたちで黄色信号を出してくれてもいいんじゃないかなあ、と人体の創造主を恨んでいるところだ。