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身体の声

本当は気づいていたんだ
うっすらと
でも確実に
わたしの中にある思い

その思いは
日毎にどんどん大きくなって
風船みたいに膨らんでいった

まるではちきれんばかりになった風船は
それ以上膨らみきれなくなって
縮まることもできなくなって
やがてわたしの呼吸を圧迫し始めた

苦しい
息ができない
ぎりぎりと自分の首を締め上げていく

苦しくて首が回らない

首と足首は繋がっているから
やがて足首も回らなくなり
股関節が固まり
足の動きも悪くなっていく

誰か助けて!

これ以上このままにしていたら
やがてわたしは息ができなくなる

とんとん
扉を叩く
ここは身体さんの声を届けてくれるひとのお家

ゆっくりと身体さんをスキャンしていく

この痛みはどこからきているのか

ひとつずつ
ゆっくりとほぐしていく

ああここだ
すべてはここから始まっている
そこは沈黙の部屋

沈黙の部屋から
たくさんの声が出ていた

それはわたしの心の声

他の誰にも
他の何かのせいにもできない
わたし自身の声

身体さん ごめんね
本当は気づいていたよ

だけどこわかった

それを認めてしまったら
わたしは大きな大きなフラグを立てることになる

そのフラグに描かれていることは
今ここでわたしが見ている世界とは
全然違うから
未知の世界だから

やってみたいけれど
こわいよ
不安だよ
足がすくみそうになるよ

認めてやり過ごすこともできるよ
それだってありだし
何が正しいかも
何が正しくないかもない
すべては空の世界

ただ
わたしが
何を選ぶか
それだけなんだ

わたしは選ぶよ
こわいけど

こわいよね
だって未知なんだから

わたしが未だかつて
体験したことのない世界なのだから

だけど
フラグに描かれている絵は
あまりにも美しくて
色鮮やかで
すべてが生き生きとしている世界なんだ

わたしはその世界を見たい
この目で見たいんだ
味わいたいんだ

だからやってみるよ

ほんのりと甘酸っぱいレモンティーを飲んで
わたしは扉を開く

新しい世界への扉を

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