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夏の名残り

 10月に入るまでほとんど夏の格好をしていたのに、数日雨がぱらついたと思ったらぐっと冷え込み、突然暖かいものが恋しいようになった。慌てて布団を変えたり衣替えをしたりと冬支度をしたものの、今日はまたいいお天気で初夏のような陽気になっていた。この週末は確か雨の予報だったのでは・・・?つくづくローマは、気候に恵まれていると思う。

 グリーンパス(ワクチン接種または陰性証明書)の導入により、一部スタジアムなどの人数制限を除いては行動や移動がかなり自由になり、ローマでは観光客もずいぶんと増えてきた。それでもまだまだ最盛期に比べれば半分どころか、おそらくまだ一割にも満たないのだろうけれど、週末はもちろん平日も含めて外国人観光客をたくさん見かけるようになった。

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 この週末、北九州市で開催されている体操世界選手権で、イタリアのニコラ・バルトリーニ選手が男子種目別ゆかで金メダル、との情報が飛び込んできた。日本では優勝を期待されていた南一輝選手が銀メダル、ということで少しガッカリというところなのだろうが、イタリア代表としては、1966年フランコ・メニケッリ選手の銅メダル以来のメダル、金メダルはなんと史上初の大快挙で、驚きと喜びを持って伝えられた。
 イタリアの初優勝といえば、忘れられないのがこの夏のオリンピック。男子100メートル走でヤコブス選手がまさかの金メダルを獲得すると、そのほんの数十分前に走高跳びで優勝したタンベリ選手と抱き合い、讃えあう姿がイタリアのメディアからSNSを飛び交った。ヤコブス選手はその後、400メートルリレーでもイタリアを金に導いた。
 バレーボールや水球、フェンシングなど期待された競技が振るわず前半はヤキモキした大会だったが、その後競歩でも男女でメダルを獲得するなど、これまで比較的実績の少なかった陸上でメダルラッシュを迎え、「イタリアの夏」と盛り上がった。
 サッカーの欧州選手権(ユーロ2020)優勝に始まったイタリアの夏は、夏が過ぎても衰えを見せず、9月に行われたバレーボール世界選手権は男女ともに優勝、さらにはテニスや自転車競技でもイタリア選手やチームが続々と朗報を届けている。・・・と思ったらなんと、現在開催中のトラック世界選手で、イタリアチームの自転車が丸ごと盗難にあったとのニュースが。早急な解決を願うばかりだ。
 イタリアの夏はスポーツだけではなかった。5月に開催されたヨーロッパ歌謡祭「ユーロビジョン」では、イタリアのバンド「Måneskin」が優勝。1956年に始まって以来、イタリアが優勝したのはわずか3回めというのだから、すごい。
 ヴィジュアル系ロックバンド「マネスキン」はさておき、スポーツ界におけるイタリアの快進撃の理由はなんだろう?多かれ少なかれ、コロナウィルスの影響を受けていない選手は皆無と言っていいだろう。逆境に強い、という側面はあるかもしれない。また、意外に思えるかもしれないが、イタリア人は一般的に集中力がある、と思う。厳しいロックダウンの1年を過ごしたイタリアで、ほとんどの娯楽が制限されたことが彼らに、(ストレスにもなったとは思うが)ストイックに競技に向かわせたのか。

 それにしても、今年はいろいろありすぎて、サッカー欧州選手権とか、もう忘れてたわ・・・と思いきや、あっ!と思い出させてくれたのが、イタリア郵便局のCM。サッカー代表監督のマンチーニ氏が、選手権が始まる前から出演していたのだが、今月に入ってからの新しいスポットは、住宅ローンの宣伝で、選手数名がマンチーニ家にお呼ばれする(招集される)という設定。玄関の前で、中央に立つヨルギーノ選手が抱える大きなデザートの箱の中身は?
・・・「ズッパ・イングレーゼ」。イタリアで(なぜか)「イギリス風スープ」と呼ばれる、カスタードクリームとスポンジケーキを重ね、リキュールで風味づけしたお菓子。スープに浸した・・・水浸しのイギリス人・・・その心は・・・(笑)。

https://www.youtube.com/watch?v=c8fXsGmCIsQ
 そういえばオリンピックの400メートルリレーでも、銀に甘んじたのはイギリスで、「イタリアにうんざり!」など英国紙の見出しを賑わせていたのだった。
 さて、この秋・冬のスポーツ界はいったいどうなっていくことやら。

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24.10.2021


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