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「ギリシア思想とアラビア文化 初期アッバース朝の翻訳運動」 ディミトリ・グタス

山本啓二 訳  勁草書店

読みかけの棚から
読みかけポイント:第1章冒頭のみ。あとはざっと。

どのような古典が誰によっていつ翻訳されたのか、はここ一世紀の研究によって明らかになってきた。ここでの問題意識は「どうしてこのアッバース朝初期に翻訳運動が起こったのか?」というところ。
ウマイヤ朝の本拠地シリアでは、ギリシャ語が公用語だったが、地理的に近いビザンツのキリスト教に影響された社会であって(例えば、キリスト教以前の古代ギリシャ文明を見下すなど)、ギリシャの古典研究は進んでいなかった。
アッバース朝になって本拠地がバクダードとなり、非ギリシャ語圏になったところで古代ギリシャの思想が翻訳される。
著者はカイロ生まれのギリシャ人。カヴァフィスもそうらしいのだけれど、モハメド・アリの改革あたりからエジプトに移住するギリシャの人々が多くなった・・・という感じがする。
(2010 08/29)

アッバース朝のギリシャ古典の翻訳活動の本を読む。ことの発端はペルシャ方面を本拠地にするアッバース朝が、ゾロアスター教徒を取り込む為に(ゾロアスター教の始祖は世の中全ての本を授かったという…それがアレキサンドロスによって散逸させられたという)伝説にのったことにある、という。
(2010 09/04)

図書館で久しぶりの再貸出。
(2020 09/27)

第1章冒頭からメモ
アラブ=イスラームの征服は大きな意味を持つ。通商は元より、インド辺りから西南アジアへ農産物が流入し一種の「農業革命」が起きたこと。
ビザンツ帝国のカルケドン派ギリシア人とは異なるギリシア人(ネストリウス派とか)が、イスラーム帝国内に流入し、ビザンツ帝国内でのギリシア文化嫌いの風潮に関係なく交流した(言葉もこの人達は既に通じ合う)こと。それから唐との戦いで紙の製法が伝わったこと。などなど…
(2020 10/06)

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