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「イタリアの旅から: 科学者による美術紀行」 多田富雄

新潮文庫  新潮社

免疫学者として著名な、多田氏のイタリア紀行。
第1章だけつまみ読み。さすがに新作能まで作っているだけあり文章もなかなか。モザイク技法のルーツはアフリカだという。
(2013 06/29)

死者の入口


ということで、今日は第2章。主にウンブリア州の古寺巡り。この辺りの家々は、普通の入口とは別に、独特な中世以来の死者の入口というものを持っている。今は煉瓦で塞いでいるところも多いが、これは死者を送り出したところで、死者が帰ってくるのを防ぐ為、かなり狭くなっている、のだそう。
(2013 07/01)

ピエロ・デラ・フランチェスカ


前に少し読んだ多田氏のイタリア紀行を持ってきました。今回はピエロ・デラ・フランチェスカ。ルネサンスには疎い自分だが、前見たDVDのキリストの笞打ちの画家みたい。画面奥の方でキリスト笞打ちのテーマがあって、その右手前にはフランチェスカの当時代らしいの3人の人物がいる。なんだか不思議なパラレルワールド…

このフランチェスカという画家、ほとんどを自分の出身地の田舎で過ごし制作をしたということと、まあこの時代の画家には珍しくないかもしれないが、数学にも造詣が深い(著書もある)というわけで、素朴さと緻密さが同居した作風になっているのかな。とにかくこの画家の名前は覚えておこう…
(2013 09/09)

免疫学者は防犯ベルを鳴らす


多田氏のイタリア紀行も昨夜で半分弱くらい。ナポリの章まで。サヴォナローラのところなど、歴史的なことも自分はあんまりというかほとんどわかってないが、この本は(いろいろ名著があるルネサンス関係でも)入門というか取っ掛かりとしていいかも。歴史と美術両方で。
ナポリからは南イタリアへの旅となるらしい。サルディニアとかもあるのでその辺も期待。
で、多田氏はケースに入ってしまわれていた絵画を無理やり見ようとして美術館?の防犯ベルを鳴らしてしまったことがあるらしい。そういう人なのか(笑)
(2013 09/10)

古代ローマとの断絶


イタリア紀行後半は南イタリアへ。ポンペイ・アマルフィ・パエストウムのギリシャ神殿・レッツェにある海から引き揚げられたギリシャ人物像などなど。その中で、古代ローマの精神を「明らかにメカニカルなテクノロジーの社会」(p151)と書いているところが気になる。この文自体はわからなくはないけど、それが現代のイタリアとは断絶しているとも言う。
イタリア以外も含めて現代社会は古代ローマとは違うのかな?
(2013 09/11)

シチリア島のギリシャ神殿


なんだかちょっと読みの進みが悪くなってきた感の多田氏のイタリア紀行、シチリア島のところを昨夜読みました。この紀行文はもともとは免疫学の専門雑誌の読み物として書かれたらしいのだが、これまでは特別に免疫学を絡めた記述はなかった(同行する人とかは除く)。でも今回はギリシャとカルタゴとの闘いでペストの免疫があったかなかったかという記述もあり、そういう面もちょっと垣間見れる。

前のローマに関する記述もギリシャに関しても、他と断絶したまるで突然変異の如く現れた人々や文化みたいに書いてあるのもちょっと気になるところ。
で、今回はシチリア島のギリシャ神殿訪問が特に印象的。同じギリシャ入植地といっても、もとがどこから渡ってきたのかでいろいろ違うらしい…という視座は今までなかったなあ。今の移民社会見ればまあ当たり前なのだが…
(2013 09/12)

エトルリアからサルディニアへ


多田氏のイタリア紀行「イタリアの旅から」昨夜読み終えた。最後の2章はルーツ巡り。
エトルリアはイタリアの古代ローマ以前の文明。ギリシャなどと交易して栄え今各地に残っているギリシャの壺とかいろいろは、じつはこのエトルリアの墓から出てきたものが多いという。ティレニア海とかトスカーナとかいう地名もエトルリアからきているらしい。墓の壁画はロレンスが激賞したらしい。

エトルリアがイタリアの源境というのは知っていたけど、サルディニアがヨーロッパの源境かも…という多田氏の説には驚いた。サルディニアの(用途とか不明)遺跡の形が、例えばアルベルベッロのトゥルッロ?の形に継承されているとか言われると、ヨーロッパの深層奥深くにはこの最古の文明の流れがあるのかも。
(2013 09/13)

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