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美大受験ってどんな試験をするかについて【多摩美グラフィック】

わたしが美大を受験したのは、もう、10年前。
10年って…、体重も10キロ軽い頃…、遠い目。
だけどいまだに、入試について尋ねられることも。

最近の受験のことはよく分からないけど、
今年の問題文は、受けた時とほぼ変わらない印象。
なので、今さらながら書いてみようかなと思います💪

(TOPは入学して最初に描いたアクリル画の一部。)


わたしの受験の年の問題は2つ。

① 「紙(白)の建造物模型を持つ両手」を想定してデッサンをしなさい。
② 富士山と雲をモチーフとし、富士山の文字を配して美しい色彩構成をしなさい。

コピー用紙に印刷されたこれらの問題文をもとに、
B3ほどの紙を各5時間で仕上げる、ただこれだけ。

これの答えをどうやって作っていくか、
そんなお話をします✨


美大の中身

まず、美大と言っても、学科がさまざまある。
大きく分けるとデザインとファイン。

デザインだけでも、選択肢はいろいろ。
将来、車や電化製品を作りたいならプロダクト、
服や布の素材感や柄、色が好きならテキスタイル、
インテリアや建築っぽいのが好きなら空間、など。

わたしは広告や装丁、イラストなど平面全般を学ぶ、
多摩美術大学グラフィックデザイン学科でした。

卒業してからどうすんだい、と思って、
ファインアートは検討しなかった私ですが、
油絵科、日本画科、彫刻科、工芸科などもあります。


その学科ごとに、試験内容が違うので、
行きたい学科を決めたあとは対策を積んでいきます。

いずれも、デッサン力と色彩感覚は超大事なので、
試験対策が始まるまでの間は鉛筆でデッサンしたり、
絵の具を使って色彩感覚を養ったりします。

予備校では何人かが同じ時間と課題で作品を作り、
決められた時間になったら全員の作品を並べます。
時には良い順に並べたりしながら、
これはここがいい、これを直した方がいい、などと
講師の方がアドバイスをくれる形式です。
人の作品を見るのはめちゃくちゃ勉強になります。


わたしが美大を選んだ理由

わたしは中3の時、学校に文理選択を迫られました。
「それって、つまり大学で何学部に行くか、
 ぼんやりでも決めなきゃってことだよね?」

やりたい仕事なんて思いつきませんでした。
その中で、絵なら勉強しても楽しいんじゃないか、
そんな感じでした。


とりあえず、親に(本当に)無理を言って中3から
美大受験予備校に通わせてもらいました。
中学受験で国立に落ちて私立に行っていたわたしは、
また一人だけ出費ばかりの娘になってしまいました。
金食い虫と呼ばれていました、ええ。

ちなみに美大の同級生に中学から予備校に行った子は
ほとんどいませんでした。
大体が高校1〜2年からでしょうか。


試験の話

試験の話に戻ります。
わたしが受けた範囲のことしか分からないので、
多摩美術大学グラフィック学科の話。

冒頭のように、2題出ることが多いです。
デッサンと色彩構成のテストがあります。


[デッサンについて]

モチーフは指定されますが、全部想像で描きます。
手は見て描くことができますが、
指定のモチーフは自分の経験や記憶をフル動員。
案外右手も難しいし、練習必須です。

構成力や描画力はもちろんですが、
普段の観察力が問われるテストでもあります。
上手な人は本当に質感や温度やリズムも感じさせます。

紙の建造物模型と両手という課題に対してわたしは、
手も足も出なかったのを覚えています。
どちらかというと色彩構成よりデッサンの方が
得意だったわたしは、焦りが止まりませんでした。

建造物の模型が全く思い浮かべられず、
階段のようなものを折る手を描いた気がしますが、
ありきたりだったのでしょう、
点がとても低くてめちゃくちゃ落ち込みました。


[色彩構成について]

アクリル絵の具で色面を仕上げます。
アイデアがあり、意図が伝わるように
無駄なく洗練された画面を構成する必要があります。

また、文字のレタリングも超大事です。
問題文の文字と画用紙の上の文字を置きたい場所に
それぞれマスを付け、時間をかけて模写します。

実は、多くの受験生が使う色を予め決めています。
わたしも、これを使おうと決めていたものがあり、
その中の1パターンで作品を作りました。

富士山というテーマだったのですが、
富士山という文字を月に見立て、
山が月明かりで照らされているところを描きました。

マスタードの色で月と月明かりを作り、
背景は紺色、差し色でマゼンダを使いました。
色彩構成の点はまずまず良かったです。


[学科試験]

大学が作る英語と国語のテストを受ける一般方式と、
共通テスト(わたしたちの時はセンター試験)から
2科目選ぶ共通テスト方式があります。

勉強できなくても受かる、と思われがちですが、
学科で点を取れたという安心感があると、
実技試験も圧倒的に有利です。

実際入学してみると、かなり頭がいい子もいます。
稀に。笑

わたしはデッサンの点が良くなかったので、
学科試験の点が悪かったら落ちてたなーと思います。


試験の緊迫感

試験中って凄まじい緊張感が漂います。
こればっかりは、説明がつかないのですが…

ブルーピリオドという漫画がありますが、
それがまあ課題をこなしたり試験を受けたりする時の
あの独特の苦しみを表現してくれています。
ご興味ある方はぜひぜひみてください。
著者の方も藝大卒で、とびきり絵が美しい😍


人の絵が面白い

ただ受験のために絵を描いていたけど、
他の人の絵を見るのってとても面白いです。
性格や個性を表し、内面を覗いているような。

思い切りのいい人も、優柔不断な人も、
なんとなくシャープな印象だったり
タッチが優しくて繊細な印象だったり。

絵ってなんて説明していいかわからないけど、
とにかく魅力的な世界なんですよね。

またアートや美術についても思いついたら
描いていきたいなと思います⭐️

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