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もう"いい人"はやめる【#推薦図書】

「私、反対したのに。心の中で」

会議終了後、同僚がそうぼやいた。
どうやらミーティングで通った新ルールに、納得いかなかったようである。

彼女とは付き合いも長く、職場の中でも親しいと言えるだろう。
だが言いたいことがあるのにハッキリ言えない態度に、私は思わずムカっとして、
「心の中で言ったって伝わらない!」
言い返した。

私は女性ばかりの職場に勤務している。
チームには50名以上在籍しており、年齢も経歴もバラバラだ。
当然、考え方も人それぞれ。

最近、同僚たちに違和感を覚えることが多くなった。
私なら3分で済ませられる話を、延々20~30分やっている。
ハッキリ言って、ムダじゃない?と思う。

特にツラいのが、「自分の意見を他の誰かが察知して、代わりに意見を言ってくれないかなぁ」と考える"察してちゃん"が多いこと。

あぁ…。
女子がしんどい…。

最近、黒川伊保子・編著『女女問題のトリセツ  イラつく女への7つの対処法

を読んだ。

女同士がイラつき合うのはなぜ?
という疑問を、脳科学の視点から解説している書籍である。

女性にイラつく時、腹を立てる一方で、こんなことで感情的になるなんて、私ってなんてイヤ~な女なんだろうと思う。

と同時に、思ったことをポンポン言う私に対して、内心イラっとしている女性がいるだろうことも、容易に想像できる。
私は、自分自身をもて余していた。

この書籍は、子がいるいないに関わらず、女性は生存するために群れる性だから、『群れの「一番大切な存在」でありたい』という本能から逃れられないことが繰り返し述べてある。

本能!
なんて勇気の出る言葉だろう。

問題点を瞬時に洗い出し改善策を考えたいのは、生き残るための私の本能。
意見を言えないあの子にイラつくのをやめられないのは、決して異常ではないのだと肯定してくれる。

意見を言わない彼女の生き方は、群れで生き残るため、敵をつくりたくない処世術だとわかる。

女性たちは危機を回避するため、情報を共有する「しゃべりたい欲求」と「共感されたい欲求」に支配され、話が長くなるらしい。
それを知ると、私と彼女たちで価値観が違うだけなのだと割り切ることができる。
イラつく女のトリセツなるものを読みながら、「あー、こんなことあるよね」とうなずき、「そーだったのか」と学びを得られる読書となった。

思えば、子どもの頃から周囲の女子を理解できないことが多かった。そのもやもやを長年、そんなものだと心に蓋して口をつぐんで生きてきた。
なぜ今になって、こうもしんどくなるのだろう。

平均的な学校を出て、親が喜ぶような就職をした。
若い頃は、親が望むいい子だったと思う。
だが結婚せず、子を持たない人生を歩むうち、親が評価するようないい子でいられなくなった。

職場でも気のきく部下、優しい先輩と呼ばれ、「敵を作らない女」なんて言われてきたけれど、本当は自分がいい人間じゃないことを私が一番知っている。
いい人のフリをして自分を隠して生きてきたけれど、もう限界だったのだ。

限界だった私がこの本を読んで、他者へのイラつきの芽は自分の中にあるという気づきを得ることができた。

もう、いい人はやめよう。

でも私も変わっていかなくちゃいけない。

私だって、女子がキライな訳じゃないのだ。
つらい時に寄り添ってもらったり、共通の楽しい話題で盛り上がることもある。
愛すべき女子たち。でもたまにイラっとする存在。
女心は複雑だ。

自分をうまく飼い慣らしていけるよう、本に記載されている、
・自分が夢中になれるものを見つける、
・多様性を認める、
・話法を変える、
を実践していこう。

そして。
身近な女子に、心ひそかにイラっとしているそこのアナタ。
この書籍で、解決策が導けるかも知れません。

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