2度目となる「ふくしデザイン」は、28名の学生と若手社会人が、東京八王子、伊豆大島、滋賀高島、長崎諫早の4地域にフィールドを広げ、それぞれ「福祉をひらくアイディア」を考えています。
このnoteでは、4つの個別ゼミの概要をご紹介します!
1.小松ゼミ(東京・八王子/社会福祉法人武蔵野会) 〈「ただ、いる」を浮遊しながら考える〉 小松ゼミは、社会福祉法人武蔵野会が運営する「八王子福祉作業所」でフィールドワークの2日間を過ごします。初日は「滞在」の時間です。とくになにもしません。「ただ、いる」の実践です。2日目は、自分の体験や思いを言葉にしておしゃべりしましょう。まちづくりのプランを考えるとか、自分だけの作品をつくろうとか、創造性を発揮するの「前」にこそ、私たちは全力で取り組んでみたいと思うのです。 目的地はありません。福祉の現場で浮遊しながら、「福祉をひらく」の意味を考えてみましょう。すべては変幻と即興の中にあります。
◉ 講師のプロフィール
小松 理虔(こまつ りけん) 地域活動家/ヘキレキ舎 代表 1979年福島県いわき市生まれ。地元いわきで「ヘキレキ舎」を立ち上げ、商店街でオルタナティブスペースUDOK.を運営しながら、食や観光、医療福祉、文化芸術など幅広い分野の企画、情報発信に携わる。いわきの地域包括ケアの取り組み「igoku」でグッドデザイン金賞、初の単著『新復興論』で第18回大佛次郎論壇賞を受賞。『地方を生きる』『新地方論』など、ローカルに関する著作も多数。
◉ 法人・施設の紹介
社会福祉法人武蔵野会 「自分を愛するようにあなたの隣人を愛せよ」という理念を掲げ、東京・静岡 26 の拠点で、100 を超える福祉事業を展開する法人です。2022年に「ふくしデザインゼミ」を立ち上げ、『武蔵野会に関わる人図鑑をつくろう 』を作成しました。八王子福祉作業所 武蔵野会は、本部を置く八王子に複数の拠点をもっていますが、今回主なフィールドにするのは「八王子福祉作業所 」という施設です。障害をもつ人が、安心して社会参加し、地域で暮らし続けられるような支援を行っています。
◉ ゼミ生
大橋拓真(放送大学教養学部1年)/大平悠斗(関西学院大学人間福祉学部4年)/大山健太(法政大学社会学部2年)/川嶋香苗/清水万悠子(日本大学文理学部3年)/堀はぐみ(国際基督教大学教養学部2年)
2.影山ゼミ(東京・伊豆大島/社会福祉法人武蔵野会) 〈半福半X 〜地域と福祉のつなげかた〉 東京からジェット船で2時間足らずの東京諸島最大の離島・伊豆大島。荒々しくもある力強い自然と繊細な人の暮らし・営みの感じられる地で、武蔵野会は「大島恵の園」という2つの障害者施設を運営しています。 住み慣れたまちでの暮らしを支えたり、多様な人と入り混じって生きることを後押ししたり、「地域に根づく福祉」を模索しつづける日々。しかし、新型コロナの影響で一度「閉ざす」選択をせざるを得なかったこともあり、福祉と地域、施設と地域との関係・距離は、大きく揺らぎました。 そんな背景のなかで、昨年大島では「半福半X」を掲げた「Work in Local×Social」という新たなプロジェクトも立ち上げました。影山ゼミは、離島の障害者入所施設を舞台に、地域にひらかれた福祉、そして、福祉にひらかれた地域に向き合い、未来志向でありながら、現実的で実践的な事業プランを考えます。
◉ 講師のプロフィール
影山 裕樹(かげやま ゆうき) EDIT LOCAL ディレクター/千十一編集室 代表 1982年、東京生まれ。編集者、千十一編集室代表。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社勤務などを経て独立。著者に『ローカルメディアのつくりかた』(学芸出版社)、編著に『あたらしい「路上」のつくりかた』 (DU BOOKS) 、共編著に『新世代エディターズファイル』(BNN)など。WEBマガジンEDIT LOCAL、ワークショップLOCAL MEME projectsなどを運営。大正大学表現学部専任講師。
◉ 法人・施設の紹介
大島恵の園/第2大島恵の園 社会法人武蔵野会は、東京都大島町において、1989 年に「大島恵の園 」、1995 年に「第 2 大島恵の園」、2 つの障害者支援施設を開設しました。主に知的に障害のある方の生活・暮らしを支えつづけています。
◉ ゼミ生
阿部秀飛(大正大学表現学部2年)/岩岡知里(筑波大学人間学群2年)/加曽利峻佑(東洋大学経営学部4年)/叶谷凜生(東京学芸大学教育学部3年)/佐藤佳弥(大正大学表現学部2年)/髙城玲奈(東洋大学経済学部4年)/成瀬響之(東洋大学社会学部2年)
3.田中ゼミ(滋賀・高島/社会福祉法人ゆたか会) 〈福祉拠点をまちにひらく〉 【背景】 ゆたか会は、琵琶湖北西の滋賀県高島市で、高齢福祉や障がい福祉を軸に、地域のゆたかなくらしを支えてきた社会福祉法人。1973年の法人設立以来、誰もが安心してくらし続けられる地域づくりの一翼を担ってきました。しかし、人口が5万人を切り、高齢化率37%を超える高島では、これまで通りの取り組みでは立ち行かなくなってきています。 【課題】 地域包括ケアの最前線の役割を期待されている、湖西総合在宅サービスセンター「ほろん」。この場所が本当の意味でまちにひらかれ、何か困りごとのある人が気軽に相談しに来れるようにしたい。 高島で生きる人々を支えるため、誰もが暮らし続けられ、暮らし続けたくなる地域を残すため、制度やサービス、分野や世代の壁を越えたアイディアを考えます。
◉ 講師のプロフィール
田中 悠介(たなか ゆうすけ) design と 代表/デザイナー 1985年大阪生まれ。大学院まで建築を学ぶも、建物を建てるだけでなく、あらゆる領域の課題に対してニュートラルな視点を持って解決できるようになりたいと、デザイナーになることを決意。数社のデザイン事務所を経て、2016年に「designと」を設立。デザインの枠にとらわれず、さまざまな領域の課題に取り組む。SWLABでは、プロジェクト全体のアートディレクション、デザインを担当。
◉ 法人・施設の紹介
社会福祉法人ゆたか会 琵琶湖の北西・滋賀県高島市で、制度・サービスの枠を越えて、誰もが安心して暮らしつづけられる地域づくりに取り組む法人です。湖西総合在宅サービスセンターほろん 制度と制度のあいだにできる「つなぎめ」をすくっていきたい。そんな思いで2015年に、地域包括ケアの最前線として立ち上げられたのが「ほろん」です。
◉ ゼミ生
安澤優那(大正大学表現学部2年)/大友裕也(早稲田大学創造理工学部4年)/城戸口智也(豊中市社会福祉協議会)/小杉真由(東洋大学福祉社会デザイン学部1年)/佐々木夏帆(武庫川女子大学文学部4年)/林加津葉(NATSUKI HOSOKAWA DESIGN)/横田亜弥佳(慶応義塾大学看護医療学部3年)
4.竹端ゼミ(長崎・諫早/社会福祉法人南高愛隣会) 〈福祉に余白をつくりだす〉 入所施設を解体し、障害者が地域で暮らせるように支えるなど、日本の障害福祉における先駆的実践を続けてきた南高愛隣会。地域支援のニーズは多様で、様々な社会的課題に先駆的に対応する中で、法人規模は大きくなり、関わる範囲も広がってきました。その一方、地域とのつながりは徐々に薄まり、「地域における余白(遊び)」を生み出せていないのではないか。そんな問題意識も出てきています。社会資源を活かしきれていないのではないか、そして、障害当事者の思いや願いを十分に聞けているだろうか、南高愛隣会の持ち味である「当事者主体」を活かせているか、と。 時代の転換期であり、法人の転換期であるいま。ふくしデザインゼミは、南高愛隣会の理念から学びながら、障害当事者や支援者のみなさんとともに、地域と面白くつながり直すアイディアを考えてみたいと思います。
◉ 講師のプロフィール
竹端 寛(たけばた ひろし) 福祉社会学者/兵庫県立大学 環境人間学部 准教授 1975年、京都市生まれ。大阪大学人間科学部、同博士課程修了。博士(人間科学)。専門は福祉社会学、社会福祉学。山梨学院大学法学部教授を経て2018年から現職。主著として『家族は他人、じゃあどうする? 子育ては親の育ち直し』『「当たり前」をひっくり返す―バザーリア・ニィリエ・フレイレが奏でた「革命」』(現代書館)、『枠組み外しの旅―「個性化」が変える福祉社会』(青灯社)など。合気道弍段。
◉ 法人・施設の紹介
社会福祉法人南高愛隣会 障がいのある方たちの「~したい」にともに挑戦し、障がい者福祉の新たなモデルを築いてきた社会福祉法人です。現在は長崎県5地区で事業を展開し、ボーダレスな社会づくりに挑戦をつづけています。
◉ ゼミ生
居城柚那(有限会社親和 鞆の浦・さくらホーム)/大原日和(宇都宮大学地域デザイン科学部1年)/大和田奈津(早稲田大学大学院教育学研究科修士2年)/古藤田温子(東洋大学社会学部4年)/小森佳歩(名古屋大学教育学部4年)/永井煌(筑波大学理工学群1年)/吉成麻唯(東京福祉大学心理学部3年)
お知らせ ~公開プレゼンを開催します!~ 3月3日(日)には、正解のない世界を漂流した2ヶ月のプロセス、そしてアウトプットを共有し、みなさんとともに思考と対話を深める、公開プレゼンテーション〈「ふくしをひらく」をひらく〉を開催します!
各ゼミはどんなアウトプットになるのでしょうか。 ぜひお楽しみに!