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はじめてのモヤモヤ|林加津葉|2023-24 essay 06【田中ゼミ】

所属や分野・領域の垣根を超えて多様な人たちが集まり、対話し、実践的に学び合う「ふくしデザインゼミ」。2度目となる今年は、28名の学生と若手社会人が、東京八王子、伊豆大島、滋賀高島、長崎諫早の4地域をフィールドに「福祉をひらくアイディア」を考えてきました。正解のない世界を漂流する2ヶ月のプロセスのなかで、若者たちは何を感じ、何を思うのか。

このエッセイでは、ゼミ生一人ひとりの視点から、ふくしデザインゼミを記録します。essay 05, 06は、1月に終えたキックオフからフィールドワークをむかえるまでのプロセスの記録です。

モヤモヤの幕開け

1月に行われたキックオフキャンプ。私はすごく、モヤモヤしていた。

講義や対話をするうちに、「効率的に回るように管理された思考」から外れることの大切さや、わたしに刷り込まれていたいろいろなバイアスに気付かされた。

今までなら、なにかを進めるときは逆算して、「こうしてこう進めよう」とすぐに答えを出すようにしていたが、ふくしデザインゼミではその進め方は求められていなかった。

その状況に戸惑い、どんなふうに話を広げればいいのかわからず、モヤモヤしていた。

福祉ってなんやろ? 答えを出さないミーティングってなに…?

そんなふうに感じているのはわたしだけではないようだった。ゼミのメンバーも疲れが出ていたり、自分の意見をなかなか発することができていなかったり。

1月キックオフ、距離を感じた田中ゼミ

正直いってキックオフの段階では、ほかのゼミと比べても1番、ゼミ生どうしの距離があったと思うし、重い空気が流れていたと思う。

モヤモヤ、モヤモヤ…。

解消されないモヤモヤ

その1週間後。キックオフの余韻を残しながら、再びオンラインで集まり、テーマ「福祉拠点をまちにひらく」について話し合った。

メンバー同士の距離感を掴めないまま、オンラインで話すのはとても難しかった。沈黙の時間も多く、話している人は限られていた。

わたしはどうしても時間を効率的に使いたくて、なるべく質問や会話をつなぐようにしていたが、あまり議論は進まず、その日のゼミは終了した。

もう少しゼミ生同士の距離を縮めるため、アシスタントの瀬川くんと協力して、少人数でざっくばらんに話す「個別で話そう会」することになった。最大4人くらいのグループで、ゼミ参加の経緯とかふだんどんなことをしてるのか共有しあった。でもなんかまだ、お互いに緊張してる感じがあった。

ちょっと動き出した気がする2週間目

「今日何話します?」からスタートした2回目のミーティング。

テーマのことやフィールドワークの予定など決めることはたくさんあるけど、どこから手をつければいいのか、そもそもどんなコミュニケーションをとればいいのかわからず、わたしはやっぱり戸惑っていたままだった。

この日のミーティングでは田中さんのアイデアで、「福祉拠点をまちにひらく」ための「レシピ集」を作ることが決まった。レシピ集という形にすることで「ひらく」を具体的に考えやすくなる。

「さすが、ナイスアイデア!」と思ったと同時に、「そもそもひらく方向でいいの?ひらくってなんだっけ?」またモヤモヤが始まった。

動き出した、田中ゼミ

そんな時、ゼミ生メンバーの1人が、レシピ集づくりを一緒にやろうと、LINEのグループ通話を始めた。この、ちょっとしたきっかけで、ゼミ生同士の距離がぐっと近くなることに。

わたしがやっていた「個別で話そう会」はまだ緊張感があった。今思えばわたしも緊張していたし、どこか「ちゃんとやらなきゃ」みたいに思っていた。でも、今回のグループ通話はいい意味で肩の力が抜けていて、話しやすい雰囲気だった。

それはきっと、発起人の子自身が「ひらいていた」状態だったからだと思う。ポジティブもネガティブも自分の意見も、飾らずにさらけ出す。そんなあり方が、みんながリラックスして話せる雰囲気につながっていたのかな。

このグループ通話のおかげで、今まではモヤモヤを自分ひとりでコネコネしていたけど、今はみんなでコネコネしてるかんじ。ちょっとちぎってみたり、投げてみたり、丸めてみたり。なんか楽しい。

みんなの笑顔がまぶしい24時。
グループ通話のおかげで、定例zoomの雰囲気も変わっていった。

まるで冬眠から覚めたように動き出した田中ゼミは、いよいよフィールドワークを迎える。

何ごとにも前のめりなメンバーから、どんなものが生まれ、どんな化学反応が起こるのか、楽しみだ。

あまり気を張らずに、ただただ漂ってみようと思う。

|このエッセイを書いたのは|

林 加津葉(はやし かづは)
デザイナー1年目

お知らせ ~公開プレゼンを開催します!~

3月3日(日)には、正解のない世界を漂流した2ヶ月のプロセス、そしてアウトプットを共有し、みなさんとともに思考と対話を深める、公開プレゼンテーション〈「ふくしをひらく」をひらく〉を開催します!
エッセイを綴るゼミ生たちがみなさんをお待ちしています。ぜひご参加ください!


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