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オイラーの多面体定理の初等的"ではない"アプローチ【毎日投稿5日目】

中学や高校の教科書の隅に書かれている「オイラーの多面体定理」。

すべての凸多面体について
(頂点の数)-(辺の数)+(面の数)=2

個人的には中学・高校に出現する定理や考え方のうち最も好きなものです。
なぜなら、オイラーの多面体定理は私が大学生のときに取り組んでいた「代数的トポロジー」の重要な考え方につながるからです。

しかし、その証明の多くは初等的な方法が多く、大学で学ぶ数学を知らない方からすると「一発芸」的な定理に見えがちです。
そのため、コラムということもあり厳密な証明や定義はおいておき、より専門的なアプローチでの定理の導出について紹介しようと思います。

凸多面体と球面は同相

ざっくり言うと凸多面体と球面は空間の構造がほぼ同じ(厳密には同相)です。
イメージになってしまいますが、立方体とその外接球の中心を重ねてしまえば立方体を膨らませて球が作れます。


同相な空間のオイラー標数は等しい

空間の構造が同じということで、各空間に定義される「量」が等しくなることがあります。
オイラー標数はそのひとつです。

球面のオイラー標数は2

オイラー標数は「単体複体の構造」「ホモロジー群」をもとに計算できますが、厳密さを置き去りにするなら、球面を地球に見立てて
頂点…赤道上の1点A →1個
辺…赤道からAを除いた線分 →1個
面…球面から赤道を除いて得られる面(北半球と南半球) →2個
とみなすことで
(頂点の数)-(辺の数)+(面の数)=2
と考えることができます。

以上により正多面体の場合も

以上により正多面体の場合もオイラー標数が2
つまりオイラーの正多面体定理が導かれます。

繰り返しになりますが、今回の方法は厳密さや定義などを一切無視しています。
より詳しく知りたいという方は「代数的トポロジー」の専門書を読まれることをお勧めします。

まとめ

今回はガチガチな数学の内容をふんわりと紹介しました。

普段はサイトで大学入試レベルや大学入門レベルの数学の記事を書いたり、気が向いたときにYouTubeに動画を投稿しています。
ぜひ、そちらもご覧いただけましたら幸いです。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。


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