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【小説】おいしいものを、すこしだけ

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現役図書館司書が書いた、図書館司書の登場する小説です。 (全20回連載予定)
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記事一覧

【小説】おいしいものを、すこしだけ 第18話

 最初は私も腹を立てていたけれど、二、三日すると、何もあんなにむきになることもなかったよ…

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1日前
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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第17話

 休日に図書館でボランティア活動をしてみようかと思う、と言ったところ、亜紀さんはいい顔を…

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2週間前
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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第16話

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3週間前
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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第15話

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1か月前
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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第14話

 元日の風邪以来、亜紀さんはあまり具合が良くない。寝たり起きたりしているうちに正月休みが…

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1か月前
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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第13話

 年末年始に何の予定もなくなったので、例年どおり帰省することにした。荷造りをしているとコ…

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1か月前
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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第12話

 思えばその日は朝からろくなことがなかった。    エスカレーターの故障であと一歩のところでいつもの電車に乗れず、ようやく乗った電車は異常信号で十数分停車した。車内は地獄のような混雑で、その間ずっと私は悪臭を放つ人の背中に押しつけられていた。遅刻寸前で会社に駆けこみ、ロッカーの扉を閉めたところでビッという嫌な音がしたかと思うと、スカートの裾をまつった糸が全部ほどけていた。仕事中も、前日ささいなミスをしていたことが発覚して、前から嫌いだった人に「あなたこの仕事向いてないんじゃな

【小説】おいしいものを、すこしだけ 第11話

 ジロの仕事が忙しいことはもともとわかっていた。それでも夏前までは一応日曜日の休みは確保…

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2か月前
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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第10話

「萩原さんは給料分の仕事だけしていればいいから」  そう言ったのは深谷さんだ。私と同じ契…

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2か月前
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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第9話

 卒業してから最初にサッちゃんと会ったとき「じつは今ジロとつきあっている」と打ち明けると…

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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第8話

 年が明けて、卒論も無事に審査を通り、私はめでたく卒業が確定した。卒論の文献集めには一部…

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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第7話

 ひさしぶりに学科の飲み会に誘われたので行ってみることにした。  最近は就職活動もやる気…

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3か月前
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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第6話

 亜紀さんはめずらしく日曜日が休みだ。なぜか自分の本棚から絵本を何冊か抜いて、悪戦苦闘し…

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3か月前
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【小説】おいしいものを、すこしだけ 第5話

「知ってる? ジロが栄養失調で倒れたって」  まったくどいつもこいつも、とテーブルの上に箸を投げ出しそうになった。何なんだ。流行っているのか。  その情報をもたらしたサッちゃんは、トレーを置いて私の向かい側に席を確保したところだ。学食は混雑していて、声を張りあげないと話ができないくらいだった。私が黙って食べ続けているので、探るような目で見た。 「いいの? 日向子、いっときジロとつきあってたでしょ」 「つきあってません。なんだかみんなそう思いたがってるみたいだけど」