バンコクでベスパ 紆余曲折からの購入
タイ・バンコクの渋滞は今も昔も変わらない。
私が勤める会社までの通勤は、その渋滞をすり抜けて走れるバイクである。
以前はBTSという高架電車と路線バスを乗り継いで通勤していたが、ひどい時は片道2時間もかかった。
今ではベスパが私の通勤の相棒となり、朝は45分ほどで快適な通勤ができている。
バイク通勤を始めて7年目、ベスパは3代目の相棒。
私がバンコクでベスパにたどり着くまで紆余曲折の話。
最初はヤマハの125ccのスクーターでした。
日本を離れてから16年ぶりにバイクに乗る「リターンライダー」として、しかも交通ルール無用のバンコクということで、小型のスクーターで恐る恐るバンコク街乗りデビューをした。
ヤマハの125ccはとても軽くて扱い易く、バンコクの交通事情を知るうえでとても役に立った。
しかし1年も乗るとそのパワー不足に不満を感じてしまうようになった。
「ソイ」と呼ばれる細い道や、路地裏通りなどは軽くて小回りがきくこいつがベストなのであるが、私の通勤経路は幹線道路をぶっ飛ばす車とともに走らなければいけない。
スクーターとはいえ、幹線道路の車の流れに乗って走るには80キロ前後で走らないと逆に危なっかしい。
幹線道路を走るには125ccではちょっと心もとなく感じるようになった。
そしてバイク通勤2年目に同じヤマハのNmax 155という155ccのスクーターに乗り換えた。
乗り換えた瞬間にその走行性能に驚いた。
前後ディスクブレーキはもちろん素晴らしく、アクセルを開けた瞬間に反応するパワー。
125ccとは明らかな差に満足した。
幹線道路の車の流れにも余裕でついていけるし、私は渋滞のすり抜け技術も上達してバンコク市内を縦横無尽に走り抜けることができるようになった。
そのNmaxも3年ちょっと乗って走行距離が5万キロに近づいた頃
「そろそろ乗り換えたい症候群」が私の心にフツフツと湧き上がってきた。
決してNmaxに不満があるわけじゃないけど、バイク市場に活気があるタイでは毎年各メーカーがニューモデルを発売して購買意欲を掻き立てる。
「やっぱりもうちょっとパワーが欲しいなぁ」
タイではここ数年、大型スクーターが大人気。
300ccのヤマハXmaxは、日本では250ccで発売されている。
ホンダはForza 350。同じく日本では250ccで売れてます。
しかし、昭和生まれで身長162センチ短足のワタシにはこれらの大型スクーターはちょっと大きすぎる。
乗りこなせないことはないけれど、バンコクのバイク乗りには
「渋滞の車列の間をすり抜けて少しでも前に行くのが義務」
という暗黙のルールがあるので、大型スクーターで車列の間に詰まってしまって後ろのライダーに迷惑をかけてしまいそうで躊躇してしまう。
そこで、突然乗り換え候補に上がったのがベスパ GTS 300
バンコクでは意外とよく見かけるベスパは以前から気になっていたバイクでもありました。
車格はそれまでのヤマハとそれほど変わりなく、すり抜けにも問題なさそう。
まぁシート高が高くなるので短足の私には足つきが心配なくらいだけど。
ネットで調べて動画も色々見まくって、ますますベスパが欲しくなる。
私はいつのまにか催眠術にかかったようにベスパの魅力に取りつかれていたのでした。
で、居ても立っても居られない私はついにベスパのディーラーへ。
いやはや、現物を見るともう我慢できません。
そしてその場で試乗もさせてくれるとのこと。
お目当てのGTS300を借りて、ディーラーのだだっ広い駐車場の中をぐるぐると。
スチールモノコックの頑丈な車体の重さを感じつつも、いざ走り出すと軽快な動き。
エンジンもスムースで低速での安定性も抜群。
もう、一目惚れでした。
その日は一旦帰宅。
頭を冷やして冷静に考え直す時間も大事ですからね。
なんせ80万円オーバーな買い物ですから。
そして翌週の週末(頭冷やし期間は6日間)
私はディーラーの開店と同時に突撃してGTSの契約と相成ったわけでした。
グレーか白か、はたまた黄色かブラックもあるぞ….
目の前には各色実車が並んでいるので最後まで迷いに迷いました。
しかし、ベスパと言えば子供の頃見てたTVドラマ「探偵物語」でオンボロの白いベスパを駆る松田優作師匠の勇姿に憧れたことが決めてとなってこいつに決めたのでした。
私が契約した当時、プロモーションの最中でなんと、ハーフバイザーとリアキャリアが無料でついてくるという特典付き。
久しぶりに、というかタイに来てから初めてこんな高額な買い物をした。
あの日から2年が過ぎた。
3年目に突入したベスパは今日も快適にバンコクの渋滞を走り抜けています。
さてこの次は?
3年目の浮気な心を抑えつつ、場合によっては増車しちゃうか?とか色々考える今日この頃なのです。
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