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販売経験の無い男が「販売員の為のメディア」を運営するワケ

「正直な話をすると”優秀な販売員”以外欲しく無いんですよ。」

某ブランドの方とお話している時、そんな本音が漏れ出していた。一部のブランドの人事担当者はこれを否定するが、現在のアパレル求人の割合を見れば、表現こそ極端ではあるが概ね間違いでは無いのだと思う。僕がファッション教育の現場で確認する限り、アパレル販売員の求人比率は、

販売員:その他の職種 = 9:1

程度だ。しかし、企業の状況と現場にいる学生の思惑は大きく乖離している。何故なら、学生の多くは販売員を本部勤務の為の通過点としてしか認識していないからだ。

ファッション業界を目指した事がある人の中で「販売員やりたくねぇ…。」と思った事がある人はどれくらいいるだろうか。かくいう僕もそのうちの1人なのだが、それがそのうち、

「販売経験が無い事がコンプレックスになる」

とは予想もしていなかった。

・現物を触る機会が少ない。
・何が売れているのか肌感覚でわからない。
・ちょっとしたお客のニーズや求めているものがわからない。

など、挙げればキリが無いのだけど、新卒で違う職種に就いた事で販売の重要性を理解するのは皮肉な事だと思う。


○Topseller.Style(トプセラ)というメディアについて

お知り合いなら大体知っているのだが、僕は「販売員の為のメディア」というものを仲間内数人で運営している。これは3年半前にスタートしたもので、もう初期メンバーはほとんど残っていないのだが、7人執筆メンバーを集めて日替わりでブログリレーしていき、一人週一回執筆するというのが大まかなスキームだ。販売員向けに知識やスキルを提供していく、それだけを愚直に続けていくしか当時のヴィジョンは無かった。

「このメンバーで将来的に仕事を回せたら面白いよね。」

なんていうマネタイズプランとも呼べない構想くらいはあった。しかしそれは、マイルドヤンキーが地元で「将来みんなで会社設立しよう」と言って99.99999%実現されない淡い夢物語と似ていたのかもしれない。

不思議なもので3年間継続すると業界内での認知もそれなりに上がってくる。僕自身には経験が無いが、執筆陣の中には売り場に行くと「見てますよ」と声をかけられる事があるようだ。

僕個人としては、将来的に「ファッション教育の充実」の為の入り口になればと思い参画していたところもある。ここでは割愛するが、ファッション教育の現場は腐敗が進んでいて、本質的に教育の場と呼ぶにふさわしくない状況だ。お金を払い、「専門卒」という資格を買い、企業に入社する際の待遇面が少しばかり良くするものに成り下がっている。


○偶発的に起きた理想的な循環

変化は2019年の年末に起こった。

トプセラではもう珍しくなくなってしまったが、新メンバーが不定期に入り、また卒業していく人間も出てくる。どこぞのアイドルグループのように、戦略的に新陳代謝を促し、コミュニティを飽きさせないようにしている訳ではない。トプセラの活動に共感してくれる者も増えれば、環境が変わってしまって継続が難しくなる者もいる。非営利でやっている以上、無理に引き止める事もできないのだ。

問題は今回加入してくれた新メンバーについて。

3名ほど入ったその若者たちは、元トプセラ読者だ。驚いた事に、トプセラに出会い、掲載されている内容を読み解き、実践する事で現場で結果を出しているのだと言う。そして、実践した内容を今度はライターとして拡散していく。偶然の産物に過ぎないのだけど、理想的な循環が生まれた瞬間だった。

僕の知る限り、販売員は人それぞれ勝ちパターンが存在する。売上を手っ取り早く上げたければ、同じショップにいる一番売上の良い販売員の勝ちパターンを模倣するのが良い、と教えているブランドもあるくらいだ。トプセラはまさにそれをインターネット上で実践している事になる。経験値の高い販売員が、それぞれの勝ちパターンを惜しげも無く公開する。それを見た不特定多数の販売員が、そのスキルを模倣し、自分に合ったものを採用する。

しかし、ここで1点問題が発生する。それは、今回結果を出した3人が、そもそも自助努力ができるスタープレイヤーの卵であるという事だ。トプセラは勝ちパターンを知るには効率の良いメディアだが、彼ら彼女らはいずれにせよ、何かしらで結果を出した人材なんではないかとも思う。そこで今回、偶発的に起きたこの事象を再現できないかと考えた。


○人為的なスキルの継承

それはトプセラというメディア自体をマニュアル化していくという計画だ。これに関して詳しくは書かないが、カテゴリーやタグを見直す事で、よりわかりやすく、そして検索しやすいサイトにしていき、執筆陣の知見をもっと知ってもらうといった動きも必要になる。その上で、トプセラが企業に働きかけ、人為的に今回起こった変化を巻き起こしていく。つまり、スキルの継承だ。

新しく加入したメンバーの1人は、トプセラのスキルを今度は売り場の部下たちに実践させる事により、チーム全体の売上を伸ばそうとしている。このスキームをそのまま実行していくつもりだ。

先述した通り、スタープレイヤーは自助努力ができるし、行動力がある。しかし、多くの人間はそんな風にできていないから、少しばかりの強制力が必要になる。トプセラが企業に働きかけ、マニュアル化した勝ちパターンを継承していければ、今回のような理想的な循環が人為的に起こせるのではないか。そんな風に考えている。まだ粗い構想だが、実際に成長した人間が既にエビデンスになっている。

昨今、インターネット上には様々なコミュニティが存在しているが、その中身は玉石混交。ユーザー自身のリテラシーが低い場合、時間やお金を搾取され続ける事も珍しくない。役に立たたない自己満足のマーケティングコミュニティや、ファンクラブと化したビジネスインフルエンサーのオンラインサロンが蔓延る中、本当に役に立ち、人が育っていけるコミュニティの形成を愚直に目指していきたい。それが2019年末に起こった変化から突き動かされた、2020年の僕の抱負だ。


現在、販売面で課題やお悩みがある方へ。こちらはトプセラの主宰である四元氏が運営するLINEグループ「Seller'sRoom」です。今回の新メンバーもこちら出身の方で、参加者は70名前後。現場の方々が壁打ち相手になってくれる無料のコミュニティですので是非参加してみてください!(僕は販売出身では無いので入ってません。)

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アパレル販売員を全力で応援するメディア

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日本で一番アパレルのWebスキルを育てるメディア

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