深川岳志

ショートショートを書く人。毎日、一作ずつ書いて、夜にClubhouseのルーム「ショー…

深川岳志

ショートショートを書く人。毎日、一作ずつ書いて、夜にClubhouseのルーム「ショートショートの朗読と雑談と」で朗読しています。よかったら、聞きに来てね。本職はフリーライター。好きな著名人は筒井康隆、色川武大、草彅剛、壇蜜など。

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■なにをするサークルか 「ショートショートの朗読と雑談と」の打ち合わせをしたり、記録を残したり、ショートショートに関する知見を蓄積するサークルです。 ■活動方針や頻度 「ショートショートの朗読と雑談と」はClubhouseで毎日19時から21時まで開いています。ショートショートを通じて交流が図れればいいなと思っています。 ■どんな人に来てほしいか ショートショートを書きたい人、朗読したい人に参加してほしいと願っています。ショートショートの定義は人によって異なると思いますが、ここでは100字から2000字程度の長さの小説を想定しています。 ■どのように参加してほしいか ショートショートを書いたら、どこに書いたか、URLを教えてください。面白い本や朗読があれば、メモを残していってもらえると助かります。また、ショートショートのお題も募集しています。 ■タイトル画像は、EATALK MASKのミムコさんによるものです。マスクケース文庫という面白いプロジェクトを運営されています。

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    自分でも毎日Clubhouseでショートショートを朗読しているのですが、朗読家の方に読んでいただくとまったく出来上がりが違います。このマガジンは朗読していただいた作品を紹介していくために作りました。

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    • 【ショートショート】幻覚社会

       街中を歩いていたら、同僚が街中華を指差して、 「この店、前はなんだっけ」  と言った。店舗がよく入れ替わる場所なのである。 「飲食だったね」 「ラーメンじゃなかった?」 「違うな。カレーだ」 「それだっ」 「じゃ、その前は」 「そんなところまで覚えているものか」 「ふふ。その前がラーメン屋だったんだよ」 「すごい記憶力だな」 「じつは治験薬を飲んでいてね」  私は記憶剤のことを話した。記憶剤を飲むと、急激に記憶が深くなる。頭に刻み込んだ記憶は、瞑想法ですぐに取り出すことがで

      • 【ショートショート】街ゆく部品

         パソコンの調子が悪い。  ときどき不意に落ちる。CPUが限界なのか、接触があまいのか、それとも記憶装置に不具合があるのか。  こんなときは部品を取り替えてみるに限る。  私は玄関を出て、大通りに出た。歩道をいくひとびとを眺める。  がしゃ。がしゃ。  ジャンクロボットが歩いてきた。  全身から部品がこぼれ落ちそうになっている。 「おーい、ジャンクー」  と私は声をかけた。 「へーい。ご主人様」  ロボットがステレオタイプな返事をする。 「こっちへ来てくれ」  ジャンクロボッ

        • 【ショートショート】ナイスアイデア

           オレはトマトだ。  まだ青いときに収穫され、コンテナと倉庫のなかでだんだん赤みを増していき、完熟したところでスーパーに並んだ。  そりゃあね。  オレだって人間に生まれてきたかったけど、まあ、なにごともそううまくはは運ばない。今回はトマトでいいだろう。次は人間になりたいな。  ああ、奥さん、はじめまして。  そうそう、水洗いは大事ですぜ。  で、オレをどう調理なさるんで?  ああ、サラダ。まあ、そうだよね。なんたってトマトだしね。  えっ。半分しか使わないの?  オレは半身

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        記事

          【ショートショート】夜の襲撃

           私は定年まで屋形船の船頭をしていた。  次の仕事をどうしようと悩んでいたときに声をかけてくれたのが、いまの会社だ。  隅田川に詳しいということで、夜にタグボートを運転する仕事を任されている。  川沿いにある小さな工場から平たい船に荷を乗せ、横浜港付近の倉庫まで曳航する。  荷物には覆いがかけられているし、無灯だし、自分がなにを運んでいるかはわからない。  なにかヤバいブツだったら困るが、給料がいいので、止めるに止められない。  ある夜、 「襲撃だ」  という叫び声が聞こえた

          【ショートショート】夜の襲撃

          【ショートショート】旅の不思議

           まなじりを決した侍がふたり、ススキ野に入ってきた。  入口のあたりで茅を刈っていた百姓の権兵衛が顔を上げて、 「お侍様がた」  と呼びかけた。 「なんだ」  若いほうの侍が振り返る。 「このあたりは奇怪ヶ原と呼ばれております。深くお入りになって、戻れなくなる方が多うごございます」 「なにをバカな。一本道ではないか」  ふたりはずんずんとそのままススキ野のなかに足を踏み入れていった。  すこし開けた場所に出る。 「ここらでいいか」  剣客風のしぶい男性が立ち止まると、ふたりは

          【ショートショート】旅の不思議

          先週のショートショート【24年05月12日~05月17日】

          ■2023年05月12日(日) 妻からのお題は「ベルト」。ベルトがよほど好きなのか、二回目の出題である。どうも既視感があると思った。前回は「ダイエットベルト」という直球の球を投げていたので、今回はシートベルトでいこうと思う。前半、家庭内シートベルトの話、後半猫の話と、描くものが割れてしまったので、なるべく前半を削る。妻に「シートベルトはおかしいから矯正ギプスにしたら」と言われ、なるほどと思う。前半後半の違和感がすこし解消した。「猫、ご機嫌」というタイトルでアップロードする。

          先週のショートショート【24年05月12日~05月17日】

          【ショートショート】長寿、ありやなしや

           私の知り合いに寿命占いを生業にしている人がいる。  どうやって占うのか仕組みはわからないが、よく当たると評判で、私もみてもらった。私の寿命は七十八歳だそうだ。  そこまで生きられれば十分だ。 「こんにちはー」  友だちのタロウがやってきた。 「ほら、お土産」  といって、へんな卵を一個、くれた。真っ黒な卵なんてはじめてみる。 「なんだいこれ」 「たいへんな温泉卵だ」 「なにがたいへんなんだい」 「一個食べると、寿命が七歳のびる」 「はは、なんてお気楽な」  と言いつつ、ぱく

          【ショートショート】長寿、ありやなしや

          【ショートショート】お手軽観光

           量販店をぶらぶら歩いていて、隅のほうに360度ビューロボットを見つけた。  説明書きによると、大きな頭にいくつもの光源があり、室内全体に風景を再現できるそうだ。ありとあらゆる情報にアクセスし、どんな場所でも再現するという。  出不精なぼくにぴったりのロボットかもしれない。  レジで精算を済ませると、ロボットは後ろからとことこと歩いて付いてきた。  すぐにも観光してみたい。ぼくたちはカラオケに入った。  ぼくは椅子に座り、ロボットにたずねた。 「どこでも再現できるの?」 「は

          【ショートショート】お手軽観光

          【ショートショート】彫刻パレード

           郵便受けに町内会からのお知らせが入っていた。  私の住んでいる街で彫刻パレードが行われるらしい。  彫刻?  コスプレではなく?  イメージが湧かず、私は首をひねった。  事前準備は必要なく、千五百円を支払えば専門家がパレードをできる状態にしてくれるそうだ。  当日、私は冷やかしのつもりで出かけてみた。  準備を行う会館がある。地下に彫刻部屋がいくつも用意されていた。千五百円を払うと、 「この液体をお飲みください」  と白濁した液体を渡された。  ごくんと飲み干して数分。

          【ショートショート】彫刻パレード

          【ショートショート】なくてもいいもの

          「あれっ。スマホを家に忘れたら、ただで歩けたぞ」  という書き込みに226万いいねがついた。  目から鱗だった。  国道の有料化は、スマホの位置情報と自動課金システムによって成り立っていたからである。  政府は維持管理費ばかりかかって税収を生まない国道を手放し、都道府県や市町村に払い下げてしまった。自治体としては、コストを回収するために当然、有料化する。すべての道には所有者がいるため、彼らも自分の道を有料化した。  その結果、近所のスーパーに買い物に行くだけで、チャリンチャリ

          【ショートショート】なくてもいいもの

          【ショートショート】自由研究

           その日の朝、ぼくは日本橋にいた。  これから始める冒険は、夏休みの自由研究だ。昔の東海道五十三次、いまでいう国道一号線を二週間で歩いてレポートを書くのである。  昼前には品川に到着した。  東京って案外狭いなと、昼食をとりながら思った。  川崎を過ぎるあたりから、だんだん道が荒れてきた。アスファルトが割れ、雑草が伸び放題になっている。人も車もほとんど見かけない。  そのうち、道がだんだん細くなり、やがてどん詰まりになった。  ぼくは玄関のベルを鳴らしてみた。  出てきたおじ

          【ショートショート】自由研究

          【ショートショート】猫、ご機嫌

           妻から誕生日プレゼントをもらった。 「なんだろうな」  わくわくしながら赤いリボンをほどき、箱の中から黒い紐のようなものを取り出す。姿勢矯正ベルトであった。  いつも座っている背もたれ付きの椅子に座り、右肩から左腰にかけてカチッとセットした。  オレは姿勢が悪く、すぐに腰が前に浮き出て椅子に寄りかかる形になってしまうのだが、いまはベルトが全身を締め上げているので、だらけられない。 「いいでしょ」 「健康のためにはね。ちなみに、解除はどうするの?」 「自分ではできない」 「え

          【ショートショート】猫、ご機嫌

          先週のショートショート【24年05月05日~05月10日】

          ■2023年05月05日(日) keikoさんからのお題は「マゼンタ」。まあ、赤でいいだろうと思い、出血の話を書く。人が倒れている。血が出ているというオープニング。展開はすごくくだらない。妻からは「ばかばかしくていい」という返事が来る。これに数時間かかったというと、人はバカだと思うだろう。「出血」というタイトルでアップロード。 ■2024年05月06日(月) 妻からのお題は「昼寝」。どちかというと私の得意そうなお題だが、面白い話を思いつかない。気がつくと19時半になっていた

          先週のショートショート【24年05月05日~05月10日】

          【ショートショート】八番入口

          「豪邸だね、アニキ」 「ああ」 「こういう家はセキュリティに金を使ってますぜ」 「そうだろうなあ」 「無理せず、もっと小さい家を狙いましょう」 「しかし、金持ちほど現物しか信用しないってこともある。純金とかな」 「純金。いいですねえ」  ふたりの盗人は、あたりが暗くなるのを待って、豪邸に近づいた。 「アニキ、表札の下になにか書いてあります。宅急便の方は一番入口へ」 「昔なら酒屋米屋肉屋八百屋魚屋なんかが出入りしていた勝手口だな」 「家庭教師の方は二番入口へ」 「子ども部屋に通

          【ショートショート】八番入口

          【ショートショート】缶詰考

          「明日はなんにも用意しなくていいからね」  とキャンプ友だちのタツヤは言った。  朝六時、俺は約束通り手ぶらでやって来た。  タツヤは車庫の前で待っていた。  SUVの後部座席になにかでかいものが積んである。  おれたちは出発し、二時間ほどで山奥のキャンプ場に到着した。すぐ横にきれいな渓流が流れるいい穴場である。 「おい、手伝ってくれ」  気になっていた円筒形の荷物を下ろす。ごろごろ転がして、平地でえいやっと立てた。 「で、このデカブツはなんだい?」 「ふふっ。これこそがキャ

          【ショートショート】缶詰考