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補選全滅リスクの岸田首相の訪米と手土産

2024/04/10

■  岸田おろしの風は吹くか

今回、「島根、長崎、東京15区」の三カ所で補選が行われる。三敗すると岸田おろしの風が吹くとも言われている。恐らく二敗でも少し危ないと自民党の党内の議員の方々の見方だ。

今回の裏金疑惑で、80人近い裏金疑惑議員の中で39名を選び処分を下した。当初の想定よりもかなり軽い処分で終える流れとなった。

当初は、もう少し重い処罰を考えていたようであるが、この動きを察知した裏金サイドの議員たちが、期待されている議員を担ぎ、党を割り新党を作って出て行くと息巻いていた。しかし、それにしても裏金新党と呼ばれるリスクもある。

岸田首相からすれば、党が割れれば自民党は確実に弱くなる。そこで岸田首相は、妥協をして軽い処罰を与え幕を引いた。

幕引きで犠牲になったのは、塩谷立氏と世耕弘成氏だ。萩生田氏は、役職停止と言われているが、すでに役職は辞めているので事実上無傷である。しかも、東京都連のトップの座は譲っていない。

萩生田氏は自分のポジションを維持したままで、ライバルだった塩谷氏、世耕氏という手強い敵を離党させたので、一石二鳥の取引であり、恐らく萩生田派を作り出そうと画策していると思われる。

岸田氏は、今回の補選で三戦全敗しても仕方がないと考えているのではないかと思われる。長崎では候補者を擁立できず、島根では前衆議院議員の細田氏が亡くなられたことで補選に入り、自民から新人の錦織功政氏が出ているが、裏金問題で、自民党が弱体化しており少し難しいと言われている。

東京15区は、当初から成り立ちがカオスだと言われていた。秋元司氏の事件があり、木村弥生前江東区長は逮捕されてはいないが辞任されたことで、江東区内の勢力図がガラリと変わる事態になり、東京15区は柿沢未途氏が辞任された事により補選に入った。

今回の15区は乱立が激しく、維新の候補者として4、5年くらい活動され一番事前準備が万端な金沢結衣氏、共産党の小堤東氏、立憲民主党の酒井菜摘氏、参政党の吉川里奈氏、日本保守党の飯山陽氏、無所属の須藤元気氏、逮捕された秋元司氏が獄中出馬、つばさの党からは、ナンパ師の根本良輔氏が出馬、そして乙武洋匡氏は、もともとは都民ファースト(以後、都ファ)から出馬をしていたが週明けには無所属になっていた。非常にバラエティー豊かな選挙区である。

乙武氏は、自公の推薦や支援を受ける話もあったのだが、公明党の婦人部が反発をしていた。自民党も決して都ファとの相性も良くはない。都ファ公認の形ではなく一歩引いた無所属での出馬となった。バックには小池百合子氏がいるとの謎の会見を開いていたが、小池氏も文春砲を喰らい、乙武氏も同時に不倫問題が再燃している状態で非常に厳しいと言われている。

■  訪米で支持率は回復するか

今回、岸田氏は国賓待遇で渡米をして、何となく良い話をしてバイデン大統領と仲良しアピールをして帰国すれば、恐らく支持率が上がるのを期待をして補選が始まる前に解散選挙に打って出ようと言われている。

今回の岸田首相の訪米では、色々な話をすると思われるが、その中で半導体に関する話し合いもすると言われている。米商工会議所主催のビジネス円卓会議で、次世代半導体の分野で日米が協力する機会が増える考えを岸田首相は示している。

今回、半導体に関する話もするが、日本側が考えている程のバラ色の展開になるのかと言えば、そうも上手く行かないのではないかとアメリカサイドでは言われている。

アメリカはTSMCを支援していると考えている人が非常に多く、TSMCを排除していない。だがTSMCは、いったい何処に半導体チップを納品するのか。

納品先を公開しろと散々言ってきた背景もあり、実はTSMCをウォッチする為にアメリカの中で工場を立ち上げさせたとの見方もありる。アメリカの議会全体で言えば、TSMCに対し好意的とは言い切れないと言われている。

中でもジーナ・レモンド商務長官は、台湾の半導体企業に対してかなり強硬である。彼女は、自動車メーカーがバックグラウンドの議員であり、自動車メーカーが半導体不足の時代に、TSMCや台湾の半導体事業、台湾の外交部にかなり翻弄され口先だけで弄ばれたと感じており、かなり不信感が高まっている。

特に最近の動向としては、中国のファーウェイや他の解放軍と関係の深い半導体企業が、半導体工場を建てる時に出てくる四社の会社の企業名があり、全てにTSMCが台湾で工場を作る時に使っている下請け会社だと報道されている。

しかも、中国に半導体関連の素材や材料を提供している会社も、今後エンティティリストに入るのではないかと言われている。それらの会社がTSMCとの深い関係があると言われており、アメリカはTSMCとファーウェイが密接な関係にあり、彼らは技術を中国に移転していることを察知しているとも言われているのだ。

先日、半導体アナリストの方とディスカッションをさせていただき数々の事を教えて頂いた。最近の動向を見ると、オランダの半導体製造装置メーカーのASMLという会社があるのだが、そこは世界最先端の半導体を製造する露光装置を作っている。

最先端の露光装置は、アメリカでは中国に対し輸出を禁止しているが、ASML側は最先端ではないが、準最先端の露光装置は輸出しても良いのではないかと言い、かなりの数を中国に輸出をしている。ただし、設定を少し変えれば準最先端から最先端に簡単に切り替わる代物で、アメリカの眼を掻い潜り抜けている状態なのだ。

数年前までは、中国が半導体の製造装置を買うパーセンテージから言うと市場全体の10%にも満たなかったのだが、昨年の第三、第四クォーターで、最先端とは限らないが露光装置の分野で中国が45%もの割合を購入している数字が出ている。

■  半導体は中国が世界一、日本は衰退

今後、1、2年もすれば、中国製造2025を実現して中国が半導体製造分野でも世界一。自動車の製造分野でも世界一の製造大国になり、中国の夢は果たされる事態が待っているであろう。

今後の日本で何が出来るのかと言えば、このまま行けば、かなり厳しいと思われる。誰かが本当のことを語り、誰かが今の日本政府の半導体政策が間違っているとキチンと発信して行かなければならない。

現在、台湾から日本に、かなり大量の数の半導体メーカー、半導体の素材メーカーが大挙してやって来ている。経産省とTSMCの間で約束事があり、経産省はTSMCに対し1.2兆円を差し上げる代わりに日本国内にある部品メーカーを使って下さいとお願いしている。

しかし、外資系企業が日本に来ても良いとの約束にもなっていて、日本国内にある外資系企業から部品を調達して下さいという抜け道を作ってでのお願いなのだ。

台湾から、日本の熊本に支店を出す企業が500社くらい押し寄せて来るであろうと少し前の日経新聞で報道されていた。台湾企業、外国企業を安易に招き入れればサプライチェーンが崩壊する。

環境コスト的に言えば台湾で作った方が確実に安く、安い物が日本に入ってくれば、日本の中小企業は競争力がなくなり、撤退もしくは、倒産に追い込まれる。そうなれば、本当の意味での半導体サプライチェーンの分断が始まり、日本企業は消え、どんどん中国系に乗っ取られてしまうことが起こるのは目に見えている。

私は別に預言者ではないが、すでに色々なところで徐々に予兆が見えてきている。この大事なことを皆さんと共有させて頂きたい。

岸田氏の訪米は、岸田氏が期待しているほど良い結果は出てこないと思われる。報道では「大成功したと報道してくれ」とお願いするであろう。

今後の展開は、岸田首相が帰国した後の世論がどのように評価するかであるが岸田首相が、もし解散選挙に打って出るぞと言うならば、その自信を打ち砕くことである。日本国民が断固として首相には自信を与えない姿勢を見せる事が大事だと思う。

 


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