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シャープが液晶工場閉鎖。国内ディスプレイ生産ゼロは有事の危機

2024/05.15

https://www.youtube.com/watch?v=6sj8oSj0pkQ&t=300s

シャープが液晶工場を全部閉鎖したニュースが出ている。

FNNプライムオンライニュース
『シャープテレビ向け液晶パネルの国内生産ゼロに 大阪・堺市の工場稼働を9月末までに停止へ』
「亀山モデル」で知られた、シャープのテレビ向け液晶パネルの生産が終了する。シャープは2001年、液晶テレビ「アクオス」を発表し、「液晶のシャープ」としての地位を築いた。
三重県の亀山工場で作られた液晶パネルは、「世界の亀山モデル」として爆発的にヒットした。
しかし、14日に公表した2023年度の決算で約1500億円の赤字となり、収益の改善が見込めないと判断、大阪・堺市の工場の稼働を9月末までに停止し、大型ディスプレイの生産を中止することを決めた。
シャープの生産中止で、国内でのテレビ向けの液晶パネルの生産はゼロとなる。

ディスプレイの生産を全部中止することはかなり危険なことだ。たかがディスプレイパネルと言えども、日本の防衛機器の中には、ディスプレイを必要とするものが結構ある。

ディスプレイなど民生品だから別に有事とは関係ないと思うかもしれないが、ディスプレイが国内で製造できなくなることは、防衛機器のディスプレイも国内で製造できなくなることを意味する。

トランプが大統領に就任した時すぐに行われたのが、ピーター・ナバロによるアメリカ国内の防衛産業に関わるサプライチェーンの調査だった。アメリカの国内の防衛産業の中で単一障害点ができ、サプライチェーンが分断されていると、アメリカ国内で製造できないものがあるとピーター・ナバロは指摘した。

パソコンの中に入っている緑のプリント基盤が、国内でほぼ製造できなくなっている。そのプリント基盤の上に半導体のチップを載せて初めてエレクトロニックス機器を動かすことができる。

もうひとつピーター・ナバロが分断されかけているサプライチェーン、単一障害になり得ると言われていたのがディスプレイなのだ。

中国はこの基盤とディスプレイをターゲットにして、いろんな企業を買収していた。今回シャープは赤字を理由にディスプレイ部門を閉鎖し、ディスプレイ製造をやめることになったが、その背景にディスプレイ技術を中国に移転し続けている者がいた。中国でシャープと同じクオリティのディスプレイを増産してその価値を下げたのが浙江財閥である。

ディスプレイを大量生産して価格を下げれば、日本の工場は潰れる。その結果国内のサプライチェーンからディスプレイを製造できる工場がなくなる。

防衛省が自衛 隊の装備品で新しく何かを開発して発注する時に、大企業が設計して国内のメーカーに発注しても、ディスプレイが調達できない。どのサイズのどのようなディスプレイが欲しいと発注すると、その発注が中国に行くことになる。そうすれば中国側は日本が何を作っているのかを知ることができる。

ジェイソンと私が何年も中国に通っているうちに、会議や打ち合わせから中国が何を作ろうとしているのかが透けて見える。世界を監視するデジタル監視システムを構築しようとしているのだと見えたのだ。

国内で全ての部品を調達できない代替品が他の国からも買えない。ディスプレイはほぼ中国が牛耳っているので、韓国もディスプレイ製造がかなり弱体化している。その原因を作ったのは、やはりシャープを買収したフォックスコンが技術を中国に移転し続けたからであった。

高品質のディスプレイ技術を中国に移転していたために、そのディスプレイ価格が下がって 韓国製のディスプレイも厳しい状態にある。そうなると防衛省が新しい防衛機器を作るのにディスプレイが必要になった時は、民間の大企業が設計したディスプレイが国内で調達できないから、他国から買わなければならなくなり、中国に開発内容が漏洩してしまうことになる。

今回このエレクトロニクス産業の中でサプライチェーンの一部であるディスプレイ工場がなくなってしまい、液晶パネルの生産がゼロになることは深刻な問題なのだ。

それだけではなく、OLEDと呼ばれる有機ELディスプレイも今後危機になるかもしれないと懸念している。ジャパンディスプレイ(JDI)の決算を見ると341億円の赤字で10期連続赤字なのだ。ニュースで『負け組JDI、年内量産立ち上げの次世代OLEDがわれわれの将来を担う』と言っているが、私はこれも懐疑的に見ている。次世代型の有機ELの工場をどこに建てるかが問題なのだ。

2023年10月3日のニュースイッチ
ジャパンディスプレイが開発した新型の有機EL技術「eLEAP」と呼ばれる技術があり、その工場が計画では2025年11月に第6世代、2026年12月に第8世代、第7世代の工場をそれぞれ立ち上げてディスプレイを量産するのだが、千葉県の工場は少量にとどめ、中国工場での生産能力を50倍に高めることにより、ウェアラブル端末、IT系、モニター、テレビ向けに世界で幅広く展開する。

ジャパンディスプレイは日本政府からかなりの支援を受けてやってきた。血税が注がれているのに、中国で量産をすると日本を捨てている。そのようなことを許していいのだろうか。

しかも中国に日本で作るものよりも量よりも50倍多く作るとなると、また同じことが起こる。日本の工場が立ち行かなくなり、中国の工場だけが儲かることになれば、3年5年10年経てば、結局この次世代型の有機EL工場も、千葉県のものは閉鎖しなければならない。そして倒産する。

そういうことを繰り返すのを、なぜこの国の政府は止めようとしないのか。しかも今回のシャープの液晶工場の稼働を停止させ、その後どうやらTSMCにその人材を流そうとしていると業界の中で囁かれている。

TSMCが熊本で立ち上げる第2工場の住所は非公開なので、経産省に問い合わせても秘密保持契約 で守られているため教えられないというふざけた回答が返って来る。TSMCの子会社に1.2兆円もの金を日本国民は払わせられて いるのに住所も教えられないなど信じられるだろうか。その教えられない理由が第1工場と第2工場が隣接している場合には、環境影響評価法における環境影響評価を逃れを行ったと糾弾されるリスクがあるから開示しないのだ。

そうして日本国民を騙し、日本人の企業を潰し、外資にお金を差し上げ、日本企業だと思って投資したら、その金で外国に投資をし、日本の工場を潰すということを繰り返されているのに、誰も何にも言わないのは、もうこの国は大丈夫かと心配してしまう。

しかも防衛関係の調達の時にどうするのだ。ディスプレイは中国製もよいでは情報が洩れる。何を作っているのですかと聞かれる。そうして日本の防衛産業の 情報が漏洩していく。この事態に政治家が何も言わない。それは絶対におかしい。

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翌日23日満席で埋まってしまいました。
22日の集会にもご参加いただければと思います。
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