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グローバリストだけじゃない!ロシア軍のウクライナ侵攻、割れる欧州連合

2022/07/28

https://www.youtube.com/watch?v=9vsXxQsabnc

■ ロシア産石油やガスに対する制裁

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、アメリカからロシアに対して制裁をするように言われていた欧州は、ロシアに対する制裁で、そろそろ自分たちがヤバくなってきたので分裂の様相を見せ始めた。

ロイターの7月22日ニュース
『EU、対ロシア制裁を調整 ロシア産原油巡り第3国と取引可能に』
世界のエネルギー安全保障を巡るリスクの抑制に向け、欧州連合(EU)が21日に合意した対ロシア制裁措置の調整により、ロシアの国営石油最大手ロスネフチとガスプロムは第3国への石油輸出が可能になる見通しだ。
EUは21日の声明で「世界の食糧およびエネルギーの安全保障に対する潜在的な悪影響を回避するとの観点から、EUは第3国との農産物取引および原油輸送において、特定の国有企業との取引に対する禁止措置の適用除外を拡大することを決定したとした。
石油メジャーはEUによる制裁を理由に第3者向けのロシア産原油の取引を停止していた。

これはロシアのウクライナ侵攻の後から、制裁でロシアの石油やガスを買ってはいけないという新ルールで、そろそろエネルギー価格が高騰し過ぎて、電気代も上がって、国民の不満が積もり積もって耐えられなくなったというモードになっていると見える。

ガスに関してはロイターの7月23日のニュース
『EU、ガス使用節減計画の妥協案を討議 来週までに着地点を探る』
欧州連合は22日、大使級会合を開き、欧州委員会が提案したガス使用量の15%削減目標を巡り妥協案を協議した。
欧州委員会は20日、加盟各国が8月から来年3月までのガスの使用量を、2016年から21年の同時期の平均使用量から15%削減することを目指す案を提示。しかし、これはスペイン、ポルトガル、ギリシャが公然と反対を表明したほか、デンマーク、フランス、アイルランド、イタリア、マルタ、オランダ、ポーランドも難色を示している。

欧州連合に入っている皆さんは、天然ガスの使用量を減らしましょうと言って、脱炭素の話をしているように見せながら、ロシアに対する制裁をやっていますということなのだ。


■ EUの対ロシア制裁は失敗

ロシアの天然ガスが入ってこなくなると、今ただでさえインフレで自分たちの国の足元、国民の不満が高まって、自分たちのポジションが危ないという状態にある政治家は、もうこれ以上制裁に付き合っていられないというムードが出てきた。

このロシアの制裁が失敗したということを、はっきり言ったのがハンガリーの首相だ。
ロイターの7月25日のニュース
『EUの対ロシア制裁は失敗、新たな戦略必要=ハンガリー首相』
ハンガリーのオルバン首相は23日、欧州連合(EU)の対ロシア制裁は効果が出ておらず、新たな戦略が必要という考えを示した。また、ハンガリーはウクライナ戦争に関与しないと再度表明した。
オルバン氏は以前、EUの金融措置やロシア産ガスの輸入制限を支持しないと述べている。ハンガリーは輸入ガスの85%をロシア産に依存しており、輸入を制限すれば国内経済に打撃を与える。
オルバンは欧米の戦略について
1、北大西洋条約機構NATOの武器でウクライナはロシアに勝利できる。
2、制裁はロシアを弱体化させて政権指導部を不安定にする。
3、制裁の打撃は欧州よりロシアの方が大きい。
4、各国が欧州を支持する。
この4本柱で成り立っていると説明。そして欧州の政権は「ドミノ倒し」のように倒れ、エネルギーは高騰し、戦略は失敗に終わったとして、新たなやり方が必要と述べた。

これはもうなかなか正直な首相だ。このNATOの戦略、欧米のこの戦略は基本的にアメリカがEUに押し付けた戦略だ。
ガスを使うのを止める。ロシアのガスを買うな。ロシアの石油を買うななど、いつまでも言うことを聞いていられない。

欧州よりもロシアの方の打撃が多いから、ちゃんと制裁をしろと言ったが、けっきょく打撃が大きかったのはこちらだ。欧州の政権はドミノ倒し状態で、こんな事をやっていたら、自分たちの政権がもたないと正直にお答えになったということだ。

確かに最近多い。ジョンソン英首相が辞任を表明したり、イタリアのドラギ首相も辞任と、次々と欧州の政権で閣僚や主首脳クラスが退任する事態になっている。

■ BRICSがグローバリストに対抗

エネルギー問題、今回のロシアのウクライナ侵攻で明確に見えてきたのは、脱炭素利権グループはなぜ脱炭素利権をやっているのかとずっと見ていて、石油の中東が狙いなのかと思っていたら、どうも中東だけではなく、ロシアなどの資源国、産油国などが連合して、グローバリストに対抗してくるのを先に止めたかったのかと見えてくる。

このエネルギー問題だが、脱炭素と言って欧州は頑張ってきたが、フランスは77%が原発なので、今回のガスや石油の問題は電気代にはそこまで跳ね返って来ていない。

欧州全体ではだいたい半分ぐらいが火力による発電なので、ガスや石油の安い物が入ってこないと、電気代がすぐに高騰する。

ガソリン代、ガス代、電気代が上がると、民主主義国は国民の不満が政権を突き上げるので勝てない構造になっている。

グローバリスト、ダボス会議に集まっている人たちは自分たちが世界的なエリートである。世界のルールを決めるのは自分たちなのだ。しかし産油国や資源国が集まって、歯向かって来たら嫌だ。そこでもう石油やガスは使わない。世界は気候変動問題でこれ以上気温が上がったら人類は滅亡するのだから、みんな炭素を吐いてはいけないというルールを課して、ガスや石油を買ってはいけないと、世界をリードしようとした。

しかし、今回の負けの要因は脱炭素技術、炭素を出さずに安く電気を作る技術がまだ仕上がり切る前に、ロシアが仕掛けてきたというタイミングが、ロシアにタイミングの運があったと見える。

今回ロシアが、欧州が買わなくなった分のガスや石油を安く売ると言い出したら、インドも中国もサウジアラビアも喜んで買っている。

BRICSはもっと強くなろうと、BRICSに参加したい国がどんどん集まって、世界がロシアを制裁しようと躍起になればなるほど、BRICSのメンバーが増えて強くなっていくという皮肉な展開になっている。


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