見出し画像

円安地獄を救うリパトリ減税とは?

2024.04.30

https://www.youtube.com/watch?v=4EcQrJOHThU

円安地獄、リパトリ減税とはについてお送りする。

34年ぶりの円安水準に達成したことで、いま結構金融業界ではこの円安地獄が話題になっているが、昨日ドル円相場がなんと160円近くまで行った。昨日の4月29日のちょうど1時に急に大量の円買いが入り、155円ぐらいまで戻した後に、ゆるゆるとまた円安に向かっている状態が続いている。

この円買いが入ったポイントは、160円にグーッと円安に向かっていたのが、その手前で一気に円買いが入り、ドーンと下げた。この時間が1時ぐらいだった。これは政府による覆面介入だろうと言われており、覆面介入は役所仕事なところがある。以前に為替トレードをやっていたが、政府の介入の時間が朝の9時か昼の1時。お昼休みが終わった直後が多く、今回の介入もまさにそのタイミングだった。

なぜ一気に円安が進んだのか?日本で暮らす日本人にとって、円安ドル高が進めば輸出企業が儲かるのではないのか、それは一面の事実なのだが、実は日本は内需が8割である。円安で利益が得られる会社はグローバル型の大企業だ。輸出に依存している大企業ばかりは儲かるのだが、その一方で材料等は海外から輸入している。最近は、経団連も急激な円安に根をあげ、日銀の植田総裁にそろそろ円安をなんとかしてくれと要望を出した経緯が、去年の年末ぐらいにあった。

しかし、不思議なことをおっしゃっている。円安が155円から160円に一気に向かった背景には、この日銀の政策決定会合も関係があり、日銀の植田総裁は、物価上昇に円安は大きな影響を与えていないとおっしゃっている。「金融政策の現状維持で円安加速」これは物価上昇に円安が大きな影響を与えていないとは思えない。

円安はやはり関係あると思う。ユニクロも海外で作っているモノが多い。しまむらなどの庶民の味方の洋服屋も、軒並み値段が上がってきている。昔のように1000円以下の服がものすごく少なくなってきており、ユニクロのモノも、知人に聞いたら、着ている人はお金持ちだと言うほどに価格が上がってきている。

この現状を完全に無視して、物価上昇に円安は大きな影響を与えていないという植田さんの発言はどうなのか。もう少しバランス感覚がある人が選ばれたのかと思っていた。日銀の審議委員はハト派とタカ派のバランスのとれた人事なので、こんな事実を無視したことを言う人なのかと思った。我々庶民の肌感覚とは違うことを平気で述べられている。

この金融政策決定会合で、植田総裁は基調的な物価上昇率に円安が今のところ大きな影響を与えていないとした上で、基調的な物価上昇率に無視し得ない影響が発生すれば金融政策上の判断材料となると述べた。市場は事実上の円安容認であると判断し、その不用意な発言の後から一気に売られた。余計な発言により円安が進行して、財務省の役人が円買いオペレーションをする手間が増えた。庶民としては、余計な発言で物価を上げないでいただきたいと願う。どちらを向いているのか分からないが、植田さんは出口戦略を模索している風で、あまり変化がなかったり、そのような意図を匂わせてみたりしている。現実を無視する度合いが結構すごい。

先日も、賃金の上昇が強いという旨の発言を数か月前のニュースで見た。実質賃金が24ヶ月低下しているが、物価上昇に賃金の上昇率が伴ってきたと発言しており、我々一般庶民とは違う感性の持ち主であると思った。

今回の円買い介入で円高に持っていったが、その後も円安基調が変わらず、円安介入よりリパトリ減税をしたらどうかという意見が産経新聞から出ている。

「34年ぶり円安水準で注目される「リパトリ減税」導入、6月の骨太方針に明記の可能性も」というタイトルのニュースによれば、「約34年ぶりとなる円安・ドル高水準が続く中、円安対策として海外資産を本国に送金する日本企業の法人税を減税するリパトリ減税が導入される可能性が出てきた。外貨を国内に還流させて円への交換を促す狙いがあり、6月にまとめる経済財政運営の指針骨太の方針に内容が盛り込まれるか注目される。28日投開票の衆院3補欠選挙に自民党が全敗したこともあり、岸田首相も支持率回復に向け国民受けの良い円安で政策として減税策を打ち出す可能性がある。」

減税をしても、どこかで増税するだろうと疑ってしまうようになったのは、私の性格が悪いからだろうか。

このリパトリ減税は、確かに介入をせずに、円安を是正できるメリットがある。日本企業が海外のドル建て資産を売ってお金を持って帰ってくる。その日本国内に帰ってきたお金が設備投資に回れば、日本の景気を良くする起爆剤になるだろうと期待できる政策だ。ただし、我が国の首相は増税眼鏡というあだ名がつくほど増税が大好きであり、果たして本当にリパトリ減税が実施されるか疑問に思われる。

リパトリ減税とは、リパトリエーションの略で、資金の還流のことである。日本から海外に持って来て、円からドルに替えて投資した資金を持って帰って来ることを資金還流、リパトリエーションという。リパトリエーション減税は、引き揚げた分を減税する政策だ。日本では、略してリパトリ減税と呼ばれている。

ブッシュ政権のときに、ブッシュ前大統領がリパトリ減税を実施し、4年の末に、ドル円相場が103円となっていたところ、118円までドル高円安が進行している。

自分たちの海外投資の資産を売って戻す時に、自国の通貨を買うと、自国の通貨が高くなるのだ。介入為替をすることなく、減税政策だけで、実質的に為替を動かし、企業も儲かって潤って嬉しい政策が、ブッシュ政権の時代に成功を収めている。この政策を日本政府も実施されれば、世の中が良くなると思う。

果てしてリパトリ減税が6月の骨太の方針に入るのか疑問だ。常に財務省はこちらで減税したらあちらで増税して調整している。減税政策を打ち出したら別のところでステルス増税するように、大企業にメリットを与えて一般国民である庶民から搾り取ることを同時にやる政権だ。本当にリパトリ減税で支持率が回復するのか未知数だ。


まずはお知らせ。
 
本日の政経プラットフォームでは、鈴木宣弘先生にご登壇いただいた。見てみたい方、まだ見ていないという方は、こちらの説明欄のリンクから政経プラットフォームをご覧下さい。その前は、森永卓郎先生との対談を配信している。

次にイベントのお知らせ。

5月22日午前9時半に「WHO総会前夜の戦い!パンデミック条約を止めろ!」というテーマの限定380席で集会を開催後、午後1時からは、国会前で街宣を行う。
登壇者は、近藤倫子さん、城戸さわこさん、ジャーナリストの我那覇真子さん、マイケル・ヨンさん、藤江成光さんに、折本龍則さん。今回は、うた桜子先生が登壇できなくなり申し訳ございません。そして私、深田萌絵と、司会吉澤あでお送りする。

翌日5月23日は第二弾、こちらも豪華メンバーだ。かなり席が少なくなってきている。
佐藤和夫さん、山中泉さん、及川幸久さん、吉野敏明さん、山岡鉄秀さん、林千勝先生、岡真樹子さんに深田萌絵、吉澤あかね司会でお送りする。

こちら二つのイベントは、佐藤和夫さんとの共同主催であり、是非とも午前中の集会に参加して、やる気を出して士気を高めて、1時から国会前の街宣にご協力いただきたい。


ITはもはや民間が軍事を超え、IT技術を制する者が世界を制すという国際マフィアと国際政治の世界。
深田萌絵メルマガ「世界とITのヤバい話」では、日米中のニュースを中心に、IT起業家と元アナリストの視点から多角的に解説。
他にも、紙面ではなかなか取り上げられにくい幅広いお話ができればいいなと思っています。
よろしければ、ぜひご購読ください。


■ 深田萌絵ブログ
http://fukadamoe.blog.fc2.com/
■ Twitter
https://twitter.com/Fukadamoe
■ Facebook
https://www.facebook.com/moe.fukada.35
■ youtube
https://www.youtube.com/channel/UCJD2JwJNPzi1qcLizxmxbJA
■ 深田萌絵note
https://note.com/fukadamoet



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?