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日本BLと海外BLのちがい~コミック編~

日本BLと海外BLのちがいについて、前編では映画・ドラマといった映像コンテンツを中心に述べてきましたが後編となる今回はコミックに関してお話しようと思います。

前編はこちら

「海外で日本のコミックスが売れている」と言われることも多い今日この頃ですが、なかなかその実態が掴みきれないのも現状です。
WEBTOONの台頭による影響や各国の同人イベント、ユーザー投稿型サイトの特徴について見ていきましょう。

日本と世界のコミックの状況

上のグラフは日本と世界におけるマンガの売上高の比較です。
電子書籍・紙書籍ともに日本が圧倒的な売上を誇っており、実にアメリカやフランスの10倍以上の市場規模となっています。

ロックダウンの影響から北米市場では日本漫画が爆売れしており、過去最高の売上となっていましたが、そのブームが一旦の落ち着きを見せ始めました。
また、日本に次ぐマンガ大国フランスでは政府が若者の文化活動を支援する目的で18歳の男女に「カルチャーパス」として約4万円を支給し、マンガの売上アップを後押ししました。

こちらの表はアメリカとフランスで売上の高いマンガTOP10の結果となります。
アメリカでは『チェンソーマン』、フランスでは『NARUTO』と少年ジャンプ系のバトル漫画が人気となっており、アジア諸国と比べてヒーロー物やアクションファンタジー物に売れ筋が偏っていました。
また、ランキング外にはなりますが意外にも『地縛少年花子くん』『ゾンビになるまでにしたい100のこと』といったホラー・コメディ作品が人気となっています。
一方で、ロマンス、萌え系、スポーツ漫画などのジャンルはランキング上位になりづらい傾向であることが分かりました。

日本と世界の同人即売会/コミック・アニメイベントの状況

二次創作文化のある国は生産国でもあり消費国でもある……ということで、世界の同人即売会やコミック・アニメイベントの開催状況も見てみましょう。

大規模な同人即売会を行っている国は日本、韓国、台湾、韓国にほぼ限られています。タイやマレーシアなどでも一部見られますが、他の国と比較して規模が小さいもになっているようです。
対して欧米ではマンガコンテンツの人気は高いものの同人文化がないので、しばらくは消費オンリーの立ち位置に留まるでしょう。

一方、コミック・アニメイベントは欧米で活発となっているようです。
これらのイベントは同人即売会というより、企業の展示会やコスプレの会場といった意味合いが強くなっています。
特に台湾の「漫画博覧会」は日本ではあまり話題になることはありませんが、規模の大きさや日本人ゲストの豪華さはアジアのオタクイベントしてトップクラスであるといっても過言ではないかもしれません。

世界のユーザー投稿サイトの状況

日本では「pixiv」や「小説家になろう」をはじめとしたユーザー投稿型サイトが活発ですが、海外にもそのようなサイトはあるのでしょうか?

マンガ・イラスト投稿サイト

韓国・・・postype
日本でいうpixiv的なユーザー投稿サイトです。日本と違って20歳未満は性的なコンテンツは閲覧できません。

中国・・・LOFTER
InstagramやPinterest風味のあるイラストと二次小説の投稿サイトです。シンプルなデザインが好きな方に好まれそうな印象です。

フランス、英語圏のオリジナルBLは「NAVERWEBTOON」に投稿が見られます。

フランス・・・
BLというよりもLGBTQ色の強い作品が多い傾向にあります。
フランス漫画、バンド・デシネの影響もあるせいか、全体的に絵本のようなふんわりとしたテイストです。

英語圏・・・
明るく健康的なBLが多い傾向にあります。
ファーリー・ファンダム(獣好き)の文化を反映した、そのまま獣BLも人気作に挙がっています。

小説投稿サイト

中国・・・晋江文学城
超人気作品『魔道祖師』も投稿された小説投稿サイトで、人気の小説は有料化することができるという特徴をもっています。
中国のネット文学の市場規模は249.8億元、海外市場が30億元とも言われており、その影響力は計り知れません。
細かくタグ付けされており、攻め視点、受け視点などが日本より重要視されています。

英語圏・・・Archive of Our Own
英語圏最大規模の二次創作小説Fanfictionサイトとなっており、ユーザー層は10~30代前半までが80%を占めています。
ユーザーの約26%がSlash(BL)作品、18%がGen(わちゃわちゃ系)を目当てに読んでおり、訪問ユーザーの内訳は北米約62%、欧州約27%だとか。
投稿数の上位は『僕のヒーローアカデミア』(272,843件)、『ハイキュー!!』(147,156件)、『NATUTO』(102,558件)と日本作品の人気の高さが窺えます。(2023年8月1日時点)

まとめ

WEBTOONと日本式の漫画で様式は異なるものの、どちらもアジア諸国を筆頭に世界中で人気となっています。

中国では長らく海賊版作品が溢れていました。決して肯定するつもりはありませんが、それだけユーザーがコンテンツに出会う機会を広めてきたとも考えられます。経済的に豊かになり、公式にお金を支払う場が構築できつつある今、応援する気持ちの強いユーザーは海賊版で視聴できるとしてもコンテンツにお金を落としてくれることが明らかになってきたように思われます。

こうした現象を念頭に入れて、それぞれの地域に適したマーケティングを考えていくべきだと考えます。

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