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意思決定は多数決で決めてはいけない。

こんにちは、富士山@マーケティング発想です。このnoteはもともと消費財メーカーのブランドマネージャーであり、いまはある広告会社でビジネス開発部門のマネージャーをしている私が【マーケティングで未来を拓く】という志を胸に書いているコラムです。

今回は【多数決で決めてはいけない】について説明します。よく会議でおこる、あの多数決です。


1.多数決の問題点

多数決とは、複数の人々の意見を集約して意思決定を行う方法です。総意として決めた意見は合理性が高く、正しい意見に見えがちですが…実は以下のような問題点が存在します。

問題1:少数派の意見が無視される可能性
多数決では、少数派の意見や異なる視点が無視されることがあります。これにより、創造性やイノベーションが抑制され、最善の結果を導くことができない場合があります。

問題2:集団思考の発生
多数決では、個々の意見を一元化しようとする傾向があります。このため、個人の独自の考えやアイデアが抑制され、集団思考が発生する可能性があります。集団思考は、新しいアイデアや視点の発見を妨げることがあります。

問題3:意見の深掘りができない
多数決では、意見を簡潔にまとめる必要があります。そのため、意見の背後にある理由や根拠を詳しく説明することができない場合があります。これにより、意思決定の質が低下し、結果的に効果的な戦略の立案が難しくなることがあります。理由が「多数決で決まったから」になる場合すらあります。

大雑把に言うと、学校のテストのような正解がある問題とは対極にある、社会課題などの正解がない問題になると、多数決は適さない可能性があります。ここからは多数決が出した適切ではない答えを、イケていない答えと表現します。

2.多数決でイケていない答えが出てしまう理由は【自分の欲求を言語化するのは難しい】から。

なぜ多数決ではイケていない答えがでるのでしょう。その根本は自分の欲求を自分の欲求や感情を言語化することは、実際には非常に難しいからです。よく顕在意識/潜在意識の配分を氷山の一角として表現されますが、まさに言語化/非言語化も同じであり、ひとは思っていることの5~10%くらいしか的確に表現できないとされています。

セミナー資料より

自分の欲求やニーズは、意識的に認識できるものだけではありません。潜在意識は、過去の経験や感情、価値観などが影響を与えています。これらの要素は言葉で完全に表現することが難しく、自分自身が自分の欲求を正確に把握することが難しくなります。
そして言語は、複雑な感情や欲求を完全に表現することができません。例えば、幸福や不安、満足感などの感情は、単語や文章だけでは完全に表現することができません。そのため、自分の欲求を的確に伝えることは困難なのです。

本当はこう思っているのに…的確に言葉にできず、誰かが言ったから乗っかって、その意見は自分の意見だと思う。いわば表面だけで意見を決めてしまうことは往々にして起こることなのです。

3.サラダマック事件

多数決で決めてしまい、イケてない答えを出してしまった有名な事例を紹介します。あの有名なマクドナルドです。20年前の話、マクドナルドでは
「ヘルシーなメニューが少ないので導入してほしい」
「サラダが食べたい」
など、健康志向の声が多数ありました。この意見を元に、健康志向のユーザーに対応するためにサラダマックという商品を導入しました(これが、多数決)。このサラダマックは、通常のハンバーガーに代わる健康的な選択肢として位置づけられました。

当時のマクドナルドのリリース

しかし、この試みは失敗に終わりました。支持を得られなかったのです。

理由は簡単で、顧客はハンバーガーやフライドポテトなどの定番メニューを食べにマクドナルドを来店しており、サラダを食べにきてはいなかったのです。つまり、マクドナルドに健康を求めていなかったのです。(マクドナルド以外では求めていたかもしれませんが…。)
マクドナルドのブランドイメージは、ハンバーガー。しかし、サラダマックの導入により、健康志向のブランドイメージを打ち出そうとした結果、顧客からは違和感を抱かれることもありました。結果としてサラダマックは終売となりました。

多数決でヘルシーメニューを出そうとなったのに、これがイケてない答えになってしまった事例です。多くの顧客は自分の気持ちを言語化できておらず、多数決を信じた結果、誤った選択をしてしまったのです。

この話には後日談があり、マクドナルドはサラダマックを終売した後に、肉肉しいハンバーガーであるSAMURAIマックやクォーターパウンダーを発売しました。これらはマクドナルドユーザーの心を捉え、大ヒットしました。


【多数決で決めてはいけない】はすべてに当てはまることではありませんが、【気持ちを言葉にするのがむずかしい】前提のもと、その答えを問い直してみると、よりよい答えに巡り合うのではないでしょうか?

本日はここまで、ほなまたっ!

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