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いざ、2年目のシーズンへ/江良萌香②

高校生活最後の1年を大きなケガと、そのリハビリで過ごした
富士通レッドウェーブの江良萌香選手(コートネーム:ウル)。
しかし、それまでの実績と将来性を買われ、
Wリーグのアイシン・エィ・ダブリュ(現アイシン) ウィングスに入団します。
日本最高峰の舞台は甘いものではありませんでした。
しかし、精神的には苦しんだけれども、
レッドウェーブに移籍するまでの5年間があったからこそ、
Wリーグで戦う基礎は築けたとも言います。

Wリーグ選手としての基礎を築いた5年間

アイシン・エィ・ダブリュではヘッドコーチの意向でポイントガードにコンバートしました。
江良選手の持つ突破力をオフェンスの起点にしようと考えたのかもしれません。
しかし彼女にとっては初めてのポジションです。
どうしていいかわからないし、戸惑いばかりでした。
ポイントガードがそのような心境だと、チームは安定しません。
最初の3年間は出場時間も1試合平均10分から15分。
現在のような得点力も発揮できずに、ときが過ぎていきます。

そんな苦悩の日々を江良選手はこう振り返ります。

「自分の中でうまく消化しきれずにやっていました。4年目にヘッドコーチが替わって、再びシューティングガードになったので、やっと自分らしいプレーができてきて……ただ、そのときはポイントガードの気持ちもわかるし、ポイントガードを助けながら、自分の得意なドライブをより強くできるようになったところはありますね」

ポイントガードにはなれませんでしたが、
シューティングガードに戻ったときに、ポイントガードの気持ちを知ったうえでプレーすることができたのは進歩でもあります。
苦悩の日々も無駄ではなかったのです。


それでも4年目も1試合平均の出場時間は12分ほど。
高校まではスタメンでコートに立つか、まったく出られないかのどちらかでしたが、
Wリーグでは状況によって出られたり、出られなかったり。
不安定なプレータイムに、自らを顧みたと言います。
そして、ひとつの考えに至ります。
「それまでも『ディフェンスはいい』と言われていたんです。それでも出られないのはなぜかと考えたときに、『シュートだ』と。バスケットって得点を取るスポーツなのに、自分には得点力というか、オフェンスに関する力が全然足りていなかったと反省しました。それまでもシュート練習はしていましたが、4年目くらいに『もっとシュートを頑張ろう』と思ってシュート練習に力を入れ出したんです。シュートフォームも直していったら、少しずつ得点にも絡めるようになって、試合にもちょっとずつ出られるようになりました」
もちろん簡単なことではありません。
今でこそシュートフォームを含めたスキルを伸ばすコーチはいます。
しかし当時は同期入団の選手と、お互いのシュートを見合いながら、試行錯誤を繰り返す毎日でした。
もがきながら、それでも前を向いて、進んでいったのです。

変化が訪れたのは5年目。
新しく就任したヘッドコーチから、その着任当日に一言、「(シュートを打つときの)足のバランスがよくない」と指摘されたのです。
それまでは動きながら打つシュートばかりを練習していて、
いつの間にか足が少し浮くようになっていたのです。
それからは、両足をしっかりと接地させた状態で打つ練習を繰り返し、
今のような安定感のあるシュートが得られるようになりました。
そのシーズン、江良選手は出場した20試合すべてでスタメン出場し、
1試合の平均出場時間も32分近くまで伸び、
平均得点も11.45点と、Wリーグでのキャリアとしては最も高い数字を叩き出しています。


そしてシーズンオフ、江良選手は移籍を決断し、レッドウェーブにやってきます。

悔恨を糧にして、強さを解き放つ新シーズンへ

昨2022-2023シーズンからレッドウェーブの一員となった江良選手。
1年目のシーズンをこう振り返ります。
「調子の波が大きいシーズンでした。考えすぎていたと思います。チームが変わればバスケットも全然違うものになりますし、練習ひとつにしろ、オフェンスのフォーメーションにしろ、すぐに頭に入れておかないとできません。周りのチームメイトはもちろん知っていて、レッドウェーブのバスケットをやってきた選手たちばかりです。だからこそみんなの足を引っ張れないし、間違えたことはできないなって思っていたので……」
それでもレギュラーシーズン全26試合のうち25試合でスタメン出場。
プレーオフも2試合ともスタメン出場。
プレータイムも1試合平均で28分近く出ていますし、平均得点も10点近く取っています。
移籍1年目としては上々と言ってもいいでしょう。
考えすぎて、波が大きかったと言いますが、
それでも江良選手のなかにある強い気持ちが彼女を支えたのは間違いありません。
「やはりできないことがあると悔しいんです。悔しくて、それができるようになるまでやり続けたいんです」
そして江良選手はこう続けます。
「できないことができるようになったら、嬉しいですよね。しかも自分がそれをできるようになれば、チームにも好影響を与えられるという考えが常にあるので、自分磨きではないですけど、自分自身が頑張ることはすごく大事だと思っています」

自らの成長に力を注ぎながら、しかしそれはすべてチームの勝利へと昇華していく。
そう考えるからこそ、江良選手は移籍1年目の難しいシーズンを、最後まで走りきることができたのです。

レッドウェーブに移籍して2年目のシーズン、
同じポジションには日本を代表するシューター、林咲希選手が加わります。
「最初にキキさん(林選手のコートネーム)が移籍してくると聞いたときは、素直に嬉しいと思いました。でもやはり同じポジションですし、負けられないという気持ちもあって、だからこそ自分自身もキキさんと一緒に頑張って成長していけたらなと思っています。そのうえで、昨シーズンの課題だった、得点が止まってチームが困ったときに私が得点をして、チームを勝たせられる力を今シーズンはつけていきたい。勝負強い選手になれるように意識していきたいなと思っています」

自分の意見をはっきり言える女性に憧れると言っていた江良選手のはっきりとした意気込み。
さまざまな経験をしたからこその強さを解き放つ瞬間は、もうすぐそこまで来ています。



#27 SG 江良萌香 Moeka Era



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