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生成AIのWebAPI料金を比較してみた ~OpenAI、Anthropic、Google、Cohereの料金体系とコンテキストサイズを解説~

はじめして。WingArc1stで働いているエンジニアの🗻🌸(ふじさくら)と申します。

近年、自然言語処理の分野で大きな注目を集めている生成AI(Generative AI)は、与えられたプロンプトに基づいて、文章、画像、音声などのコンテンツを生成することができます。特に、Large Language Model(LLM)と呼ばれる大規模な言語モデルは、その性能の高さから、様々な業界で活用が進んでいます。LLMを利用することで、自動応答システム、コンテンツ生成、データ分析など、幅広いアプリケーションを開発することが可能です。

しかし、LLMを活用するためには、それぞれのモデルの特性や料金体系を理解することが重要です。特に、API利用料金とコンテキストサイズ(モデルが一度に処理できる最大トークン数)は、サービス開発におけるコストとパフォーマンスに直結する指標です。本記事では、主要なLLMプロバイダーであるOpenAI、Anthropic、Google、Cohereの料金とコンテキストサイズを比較し、解説します。これらの情報を理解することで、プロジェクトや技術選定の参考になるでしょう。

それでは、LLMのAPIの料金とコンテキストサイズについて、詳しく見ていきましょう。


各社のLLMとAPI料金の比較表

以下の表は、OpenAI、Anthropic、Google、Cohereの主要なLLMとそのAPI料金、コンテキストサイズをまとめたものです。

LLM API料金比較 (2024年5月15日時点)

この表では、各社のLLMのAPI料金とコンテキストサイズを比較しています。価格(入力)は、APIにテキストを送信する際のトークン1百万個あたりの料金を示しており、価格(出力)は、APIから返されるテキストのトークン1百万個あたりの料金を表しています。コンテキストサイズは、各モデルが一度に処理できるトークンの最大数を示しています。トークンについては、次のセクションで詳しく説明します。

この表を見ると、Anthropicのclaude-3-haikuが価格性能比で最も優れていることがわかります。また、claude-instant-1.2とclaude-2.1は、性能面でclaude-3シリーズに置き換えられる可能性があります。

OpenAIのgpt-4は、gpt-3.5-turboの約20倍の価格設定となっています。一方、Anthropicのclaude-3-opusは高い性能を持つモデルですが、価格も比較的高めに設定されています。

Googleの Gemini 1.5 Pro は、1,056,768というコンテキストサイズを持っています。これは他のモデルと比較して非常に長い文脈を考慮できることを意味しており、長文の処理や複雑なタスクに適していると考えられます。ただし、現在はプレビュー版であり、価格も比較的高めに設定されています。

これらの情報を踏まえて、開発するサービスの要件と予算に合ったLLMを選択することが重要です。

トークン長とコンテキストサイズの重要性

LLMを利用する上で、トークン長とコンテキストサイズは重要な指標の一つです。トークンとは、テキストを単語や文字などの意味のある単位に分割したものを指します。トークン長は、モデルが一度に処理できるトークンの最大数を表しており、コンテキストサイズと同じ概念です。

コンテキストサイズが大きいほど、モデルはより多くの文脈を考慮して応答を生成できます。これにより、ユーザーの意図をより正確に理解し、適切な応答を返すことができます。また、大きなコンテキストサイズを持つモデルは、要約、翻訳、質疑応答など、より複雑なタスクに適しています。

例えば、GoogleのGemini 1.5 Proは、1,056,768というコンテキストサイズを持っており、長文の処理や複雑なタスクに適していると考えられます。

ただし、コンテキストサイズが大きいモデルは、一般的に価格が高くなる傾向があります。したがって、開発するサービスの要件に合わせて、コンテキストサイズとコストのバランスを考慮する必要があります。

適切なコンテキストサイズを持つモデルを選択することで、サービスの品質を向上させつつ、コストを最適化することができるでしょう。

各社のLLMの特徴

※ 2024年5月13日時点の情報になります

OpenAI (GPTモデル)

  • 最新のGPT-4は、複雑な推論、高度なプログラミング能力、多様なアカデミック試験での習熟度を誇る

  • 自然言語やコードを理解し生成する能力が向上し、セキュリティとプライバシーの強化も図られている

  • 言語モデリング、テキスト生成、分類などのタスクで特に優れ、人間のテキストと区別がつかないほどの高品質なテキストを生成可能

  • 教育、研究、エンターテイメントなど、多岐にわたる分野での応用が可能

  • 複雑な数学問題の解決やプログラミングコードの生成が可能

Anthropic (Claudeモデル)

  • 安全で使いやすく、誤解を招く可能性が低いと評価されている

  • 最新のClaude 3は、高度な推論、画像解析、多言語処理、コード生成などの機能を備え、非常に長い文書や複雑な情報も処理可能

  • ユーザーの要求に応じて、文体やトーンを調整しながら対話することが可能

  • OpenAIのGPT-4と同等か、それを超えるパフォーマンスを多くのAIベンチマークで示している

  • エンタープライズ向けのカスタマイズが可能で、特定の業界やニーズに合わせた応用ができる

  • 多言語対応によるグローバルな展開の容易さ

Google (Geminiモデル)

  • テキスト、画像、コードに対応する多様なタスクで高い性能を発揮すると報告されているが、画像やビデオに関しては改善の余地あり

  • Gemini 1.5 Proモデルは、従来の1.0 Proモデルよりも計算効率が向上し、87%のベンチマークで性能向上

  • Googleのさまざまなプロダクトで利用可能で、特にGemini ProはWeb上で無料で利用可能

  • Googleの各種アプリケーション(Google Docs, Gmailなど)に統合され、文書作成やメール自動生成に利用可能

  • 複数言語に対応したテキスト生成と翻訳能力

Cohere (Command R+モデル)

  • 元Google Brainチームのメンバーが設立したAIスタートアップで、特に企業向けのソリューションを提供

  • 最新のCommand R+モデルは、情報検索と生成を効率的にバランス良く行うことを目的とし、文書や企業データソースからの情報を高精度で抽出

  • 抽出結果に対してクリアな引用を提供することで、生成したコンテンツの信頼性を高めている

  • 多言語に対応し、知識アシスタントやカスタマーサポートチャットボットなど、多様な応用が可能

  • 企業内データに基づくカスタマイズされたAIアプリケーションの開発が可能

  • 文書の自動解析や顧客サポートチャットボットの運用に活用可能

各社のLLMは、それぞれの強みを活かし、様々な分野での活用が期待されています。

まとめ

本記事では、OpenAI、Anthropic、Google、Cohereが提供する主要なLLM(大規模言語モデル)のAPI料金とトークン長について比較し、それぞれの特徴を解説しました。

API料金とトークン長は、LLMを活用したサービス開発において重要な考慮事項です。料金体系を理解することで、コストを最適化し、効率的にLLMを利用できます。また、トークン長(コンテキストサイズ)は、モデルが一度に処理できる情報量を表すため、サービスの要件に合ったモデルを選択する上で重要な指標となります。

各社のLLMは、それぞれ固有の特徴と強みを持っています。OpenAIのGPT-4は高度な言語理解と生成能力を備え、AnthropicのClaude 3は安全性と多言語対応に優れています。GoogleのGeminiはマルチモーダル処理に長けており、CohereのCommand R+は企業向けのカスタマイズに適しています。

LLMを活用する際は、サービスの要件や予算に合ったモデルを選択することが重要です。例えば、カスタマーサポートチャットボットを開発する場合、多言語対応と安全性に優れたClaude 3が適しているかもしれません。一方、長文の要約や分析を行うサービスを開発する場合は、大きなコンテキストサイズを持つ Gemini 1.5 Proが有効でしょう。

LLM技術は急速に発展しており、今後もさらなる性能向上と新しい応用分野の開拓が期待されます。例えば、LLMを活用した自動プログラミングや、音声・画像・テキストを統合したマルチモーダルなアプリケーションの開発などが考えられます。また、LLMのパーソナライズ化や、エッジデバイスでの推論の実現なども、今後の研究課題として注目されています。

LLM技術は急速に発展しており、今後も注目すべき分野です。定期的に最新情報をフォローし、LLMの可能性を探求し続けることが、革新的なサービス開発につながるでしょう

参照情報

ChatGPT

Claude

Gemini

Cohere


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