見出し画像

ショートケーキを食べればお店の実力が分かるってマジっすか?

「ショートケーキを食べればそのお店の実力が分かる」

時々耳にする言葉です。
この言葉を聞くたびに僕は思っていました。


いや、分かんなくねぇ?????


少なくともは僕は分かんないです。

「そのお店の実力が分かる」って多分「ショートケーキが美味しいなら他のお菓子も美味しい」みたいなニュアンスですよね。

そんなにショートケーキって全てのお菓子に共通する基礎が詰まったお菓子ですか?

大雑把に言えば、スポンジを焼いて、クリームとイチゴをサンドして、ナッペするだけのものですよ。ナッペに関してはほぼほぼショートケーキでしか使わない技術でしょう。
クリームとイチゴをサンドするのは難しいことじゃないし、他のお菓子にも共通する技術はスポンジを焼くことくらいですよ。にもかかわらず、ショートケーキで他のお菓子の美味しさまで推し測ろうとするなんておかしな話じゃないでしょうか。

ショートケーキが美味しいことから分かるのは「ショートケーキが美味しい」ということです。
某政治家もそんなことを言っていたような気がします。

以下、ショートケーキではそのお店の実力は分からない理由をダラダラと述べていきます。

1.ショートケーキのコンクールはない

パティシエにはいろんなコンクールがありまして、地方の大会から世界大会、作品の持ち込み式やタイムトライアル形式だったりと多種多様です。そんなコンクールをなんのためにやっているかといえば、仕事で培った技術を発揮したり高めるためです。つまりコンクールでパティシエとしての実力を測っているわけです。
さぁそんなパティシエの実力が発揮されるコンクールの中にショートケーキのコンクールがあるかというと、、、、ありません!!!!
ショートケーキに限定したコンクールはありませんが、ケーキの美味しさを競うコンクールならもちろんたくさんあります。さて、そういったコンクールにショートケーキを出品するパティシエがいるかというと、、、、、いません!!!!!!
ショートケーキを出品したらおそらく怒られると思います。ショートケーキで実力が分かるならショートケーキで競い合えばいいのに、そんなコンクールは存在しないんです。

コンクールに出されるケーキは、複雑な構成のムースケーキがほとんどです。パティシエはそういうケーキで実力を示そうとするんです。
じゃあ、お店でもそういうケーキを食べた方が実力がわかるような気がしませんか?

2.ショートケーキはジャンルが違う

ショートケーキは日本生まれのケーキです。そしてケーキ屋さんに置いてあるショートケーキ以外のお菓子は大体がフランスのお菓子だと思います。
いくら洋菓子がベースにあるとはいえ、日本生まれのショートケーキでフランスのお菓子の美味しさまで分かるということはないんじゃないでしょうか。

例えばナポリタンは日本生まれの料理ですが、「ナポリタンを食べれば、その人が作るイタリアンのレベルが分かる」と言われたらどうでしょう?

わかんねぇよと思いませんか?ナポリタンは美味しくても、他のパスタ料理はイマイチなことなんて十分考えられます。大親友の彼女の連れも美味しいパスタは作れますが、美味しいナポリタンは作れないかもしれません。

もしくは「カリフォルニアロールを食べれば寿司屋のレベルが分かる」と言われたらどうでしょう。これに関しては明確にNOを突きつけるでしょう。
「てやんでぇい!欧米の寿司で江戸っ子の腕前が分かってたまるもんかってんでぇい!TEYANDEI!」と大貧民で負けてマジギレしている親方に怒られること間違いなしです。
ショートケーキについてもこれと同じようなものだと思います。

3.個性・好みであって実力ではない

とあるお店では、口に入れた途端消えてしまうような脅威的な口どけのスポンジを使ったショートケーキがあります。またとあるお店では、モキュモキュとした弾力のあるスポンジを使ったショートケーキがあります。

さて、どちらのお店の方が美味しいでしょうか?

そんなの食べた人の好みによりますよね。人によっては前者の方が美味しいというでしょうし、当然その逆もあります。
こうなってくると、ある人にとっては前者のお店が実力があるし、またある人にとっては後者のお店が実力があるということになって、実力ってなんやねんって感じです。

そもそも論にはなりますが、お店の実力ってそんな単純にわかるものじゃないです。ましてやお客さんのほとんどがケーキの専門知識なんてないわけじゃないですか。パティシエや、ケーキが大好きで狂ったように食べ歩いている人ならショートケーキを食べるだけで分かるのかもしれません。でもそんなの特殊能力と言ってもいいレベルのことだと思います。ほとんどの人は分かりません。ケーキの良し悪しやお店の実力を客観的に評価するなんてなかなかできないんですよ。結局、お店の個性と自分の好みが合うかどうかだけの話だと思います。


4.実力のあるお店ってどうやって見つけたらいいの?

お店の実力とか考えずに、単に自分の好みに合うかだけ気にするのが1番ケーキを楽しめると思うのですが、なかには

「どうしても!どうしても実力のあるケーキ屋さんを見つけたいんです!見つけなきゃ組織に消されてしまう!」

という謎の組織の一員の方がいるかもしれません。そんな人のために実力のあるお店の見つけ方をご紹介します。といってもやっぱり食べる人の好みに合う合わないはあるので、こういう探し方すれば美味しいお店に巡り会える確率が高くなるんだな〜程度に考えてください。

簡単なのはシェフの経歴を調べることです。
例えば、パティシエの世界大会に「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」っていうのがあるんですけど、まずはこれに出場したパティシエのお店に行けば良いと思います。

↓このサイトから確認できます。

他にも「WPTC」や「ワールドチョコレートマスターズ」やら「ジャパンケーキショー」やらいっぱいコンクールがあるので、そこの出場者や入賞者を調べてみてください。

あとはそのお店のスペシャリテを食べることですね。
スペシャリテってそのお店が1番自信を持っているお菓子のことです。そのお店の最大値とも言えます。仮にA店とB店を比べるなら、お互いの最大値を食べ比べて、どちらが自分の好みなのか確認する方がいいと思います。スペシャリテがショートケーキならショートケーキを食べてください。

ないとは思いますが、スペシャリテだけめちゃくちゃ美味しくて他はイマイチなんてことももしかしたらあるかもしれません。なのでベストは生菓子も焼き菓子もチョコレートも全部食べて判断することですね。全部食べて全部「美味しい!」って思えるならそれはもう実力がある、実力が有り余っているお店で間違いないと思います。


とまぁなんやかんや言いましたが、実力のあるお店のショートケーキって美味しいですよね。でも「ショートケーキが美味しいから実力がある」じゃなくて、「実力があるからショートケーキも美味しい」だと思うんですよ。
僕はショートケーキ以外のケーキをもっと知って欲しいので、次にケーキ屋さんに行くときは他のケーキにも目を向けていただけると嬉しいです。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?