4月20日の日経新聞で、「「TATAMI」世界に香る美 魅力拡大へ畳みかけ」というタイトルの記事が掲載されました。海外の家屋で、日本の畳を好んで取り入れられる例が増えていることを取り上げた内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
不動産関連の方からは、賃貸物件の新規入居者募集にあたって、和室を洋室にリフォームする提案をよくすると聞きます。理由は、畳部屋だと若手世代への受けが悪いためです。同じ間取りでも、洋室にリフォームして畳からフローリングに変えるだけで、客付きがよくなり賃料単価も上げやすくなるというわけです。
2014年に350万枚以上あった国内畳生産量は、2023年では154万枚まで減っているそうです。10年間で半分以下への市場縮小です。5年前からの比較でも4割縮小しています。人口減少に加えて、世代交代による畳に対する嗜好の変化が市場縮小要因になっていることが、明らかにうかがえます。
加えて、同記事によると中国産などの安価ないぐさを使って低価格を売り物にする畳店も増えたとあります。一方で、海外の富裕層による買い手は日本文化への関心が高く、本物志向で高品質な畳への一定の需要が期待できる面もありそうです。
本家の日本で畳文化が敬遠され、海外で注目されることで維持を目指していく状況に、なんともいえないもどかしさも感じますが、産業として残り続けることで、時代が変われば日本でも再注目を受けることもあるかもしれません。
嗜好の変化はともかくとして、これから相当期間日本で人口縮小・家屋数縮小が見込まれる以上、日本市場の中で売るだけでは縮小産業になることは間違いありません。日本でも洋風建築を取り入れながら建築や住宅市場が発展したのと同様で、同記事のように海外に和風建築を輸出するのは、可能性として大いにありえる話だと考えます。
類似の例の代表格として、コメがあげられるのではないかと思います。
4月20日の日経新聞で、「コメ産出額、市町村3割で増加 秋田は新ブランドで実り」というタイトルの記事が掲載されました。一部抜粋してみます。
コメの産出額を増やしている市町村が全国の3割弱あるというのは、少し意外に感じますが、背景に付加価値の高い商品ラインナップを増やす、海外の新規顧客を開拓するという、既存ビジネスの拡張の基本を推し進めていることがうかがえます。
私がこれまでに会ったことのある外国人からも、日本のコメはおいしいと、総じて高い評価を受けている印象です。海外の水で調理した場合にどうなるのかは今ひとつわかりませんが、販売拡大の余地はあるのだろうと、上記記事からも想定されます。加えて、食糧の安全保障や国土保全の観点からも、輸出も活用して産業自体を確保するというのは、必要な視点だと考えます。
人口が減る以上、国内消費だけでは縮小均衡は避けられません。世界全体では、人口増は当面続きます。国外の市場の開拓に取り組む視点を改めてもつべきだと考えます。
<まとめ>
改めて、国外市場に買い手がいないか想定する。