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創作とは何かと対話すること
私は一人でいることを全く苦に感じない。道端でご近所さんと世間話したり、干物屋のおじちゃんと話したりで充分満足できる。だから家族も友達もいない街へ移住できたのだろうけど。一人っ子なこともあり、一人の時間を過ごすサバイバル術みたいなものを幼少期のうちに会得したらしく、むしろ友達付き合いは苦手な方だった。ツアーミュージシャンになってからも旅の道中は一人だったし、どこかへ属したいという気持ちも全くない。一
もっとみるゴールのない芸術作品を目指して
藤森愛として活動14年目を迎えた(昨年は間違えて12年目と言ってたみたい)。今でもこうして藤森愛という看板を出して活動できているのは、たくさんの支えがあるからなのだと年月を重ねるごとに強く、深く感じる。
芸術ごとを続けていくのは難しい。なんでもそうだろうけれど、特に芸術は生きていくために必要なものとしての優先順位は圧倒的に低い。生きていくためには絶対に必要だ!という人もいるかもしれないけれど、芸
現実から解き放たれたフォルムと色彩
ポーラ美術館で初めてアンリ・マティスの「リュート」を見た時、正直その良さは分からなかった。パースを無視したダイナミックな線と、大胆に置かれた強烈な色彩に、私は戸惑いさえも覚えた。なんて自由すぎるのかと。自由すぎて脳が追いつかない。でも決して複雑なことはしておらず、むしろ簡略化されたその絵になぜか心が引っ張られる。美術館を見終わったあと、気になって調べたくらいだ。だけど当時の私は、その絵に引っ張られ
もっとみる言葉になる前の音に耳を傾けながら
カーカーカーというカラスの鳴き声で目が覚めた。時計を見ると朝6時前。ここ最近は目覚ましの音ではなく、朝日と共に鳴き始めるカラスの声で起きることが多い。お前はニワトリか!二度寝しようと思っても、スヌーズみたいに何回も繰り返すもんだから目が覚めてしまう。でも、目覚ましの音でびっくりして起きた時のような不快感はない。自然界の音だからかな。伊東に来てからは、自然の音に耳を傾けることが多くなった。特に文章を
もっとみる創作することは体の機能の一部
新しい机を買った。机自体を斜めにすることができるため、姿勢が前かがみにならない。先日、腱鞘炎になってしまったため何かを改善しなければと思い、まずは姿勢を直してみることにした。だから作業部屋には、大きな机が2つ並んでいる。1つは音楽やWEB系の作業をするため、今回買った斜めの机は絵を描くためだ。
ふと、高校生の頃の自分を思い出した。絵も描きたいし、音楽もやりたい。けれども進路は一つに絞らなければな
近づくことのできない自然へ近づこうとするもの
少し近所から離れた場所でのインプットをしたいと思い、熱海にあるMOA美術館へ行くことにした。まさか旅行で来ていた熱海がこんなにも近場になるとは思いもせず、旅行客と共に久しぶりに降り立った熱海駅はなんだか新鮮。観光に来たわけではないため、マクドナルドでちゃちゃっと昼食を済ませ、バスへと飛び乗る。山のふもとにある美術館を目指して、傾斜45度以上はありそうな坂道をぐんぐんと登っていく。駅から近そうだった
もっとみるあるべき場所へと還りゆく心
東京へ来る度に、美術館へ行きたいと思うようになった。歴史的な作品や、第一線で活躍する芸術家たちの作品が集まっている場所としては、やっぱり東京が一番だと思う。伊東という自分的にベストな制作環境と、東京というたくさんのアートに触れられる環境が、電車で約2時間ほどの距離感であるのはとてもほどよいと感じている。
いつしか美術館は私にとって、心を整える場所になった。サウナで整えるような感じだろうか(サウナ
見えている世界への問いかけ
私にとって絵が描けるのは当たり前なことであり、なぜ描けるのか説明できないものでもある。漫画家になりたかったから描く絵はいつも空想上の人物ばかりで、模写をしていた記憶はほぼない。それでもなぜ今、風景画が描けているのか。それは、これまで脳内で映し出される空想上の映像を現実世界へ持ってくることで鍛えられた画力と、私が現実世界で見えるようになった視点が合わさり、風景画という形になっていると予測している。
書くことが好きな理由について
書くことが好きだ。というよりも考えることが好きだ。文章は考えていることを即座に保管するツールに適していると感じる。今日は書くことがなぜ好きなのかについて噛み砕いていきたいと思う。
さっきも言ったように、「書くことが好き=考えることが好き」という方程式が成り立つと思っている。書くことがないと悩んでいる人は、そもそも書きたくなるほど考えていることがないのではないだろうか。書くことが好きな人は日々ぐち
見返りを求めない芸術でありたい
売れたいという気持ちは、アーティストやクリエイターの多くが持つ感情だろう。私も20代前半ではそういう気持ちを持ったことがあるけれど、根本的には違うなと感じていた。だから私の口から、メジャーデビューや紅白歌合戦出場などの夢を語ったことはないと思う。メジャーへ行ったら好きなことをやらせてもらえなさそうだと思っていたからだ。私は皆んながやっていなさそうなことを見つけて、好き勝手にやりたいのがある。言って
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