コロナ禍が地域社会に残した思わぬ傷跡―秩父市での聞き取り調査の記録から―
わが地域振興研究会の「民俗文化研究班」が、秩父を舞台に講や民間信仰について調べるということで、旧吉田町域を中心に聞き取り調査を行ってきた。本当は「念仏講」をはじめとする講の実態について調べる予定であったが、話を聞くうちに軽視できない現実が見えてきたので、備忘録としてここに書き留めておきたい。
調査の中でいくつかの集落を回ったが、ほとんどの地域に共通していたのは、「地域で守られてきたコミュニティがコロナ禍によって少なからぬ変化を迫られている」という点である。筆者の私見が大いに含