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元『men's egg』編集部員の記憶

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渋谷系ファッション&カルチャー雑誌として全国的な「ギャル男」「読者モデル」ブームを生み出しながら、2013年に休刊。まさに伝説となった『men's egg』。これは休刊付近の時期… もっと読む
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寝過ごした朝

「ヤバい!」  やっちまったようだ。枕元のケータイを探す。時刻はすでに午前10時をまわっており、いつの間にかアラームは止められていた。状況がつかめないまま、布団から飛び起きる。 「ヤバい、ヤバい、ヤバい……」  ここはどこなのだろうか。「現場」に遅刻してしまう。どうしたら間に合うのか。寝起きで頭がまわらない。自分は何を焦っているのか。  待てよ。もう、現場に行く必要はなかったんだ——。 初出社の日、編集部の片隅に寝袋が… 現在は、目を覚ました瞬間に「ヤバい!」と焦る

SNSがなかった時代、ストリートスナップに載りたい人たちは…

 繁華街でキャッチ(スカウト)を見かけるたびに、思い出すことがある。かつて僕も渋谷系ファッション&カルチャー雑誌『men’s egg』編集部員として、街中でギャルやギャル男に声を掛けまくっていたのだ。 ストスナに載りたい人たち ファッション雑誌の人気企画と言えば、ストリートスナップ(ストスナ)である。InstagramやWEARなどのSNSがなかった頃は、雑誌のストスナに載ることがステータスだった。掲載されると、クラスで羨望の眼差しを受けるのだ。  週末の渋谷や原宿には、

ハンカチ王子ブームと人知れず消えた「王子」

 今でも世間を賑わせる斎藤佑樹投手。2006年の夏、早稲田実業高校のエースとして甲子園を沸かせた。端正な顔立ち、ハンカチで上品に汗をぬぐう仕草から「ハンカチ王子」と呼ばれた。  流行語大賞にもノミネートされ、巷ではブームに乗っかろうとする「●●王子」が急増。約15年前の出来事にもかかわらず、新しい王子が現在も誕生し続けているのだから、その影響力はすさまじいものだ。  しかしその裏で、人知れず消えてしまった王子も存在する。コーモン王子だ。誰だそれ……僕のことだ。 人知れず