見出し画像

赤字ローカル線は、地球の気候危機の解決策になりうる

赤字ローカル線について国の検討会は、1日当たり乗客が千人未満の路線は、国や地元自治体とJRが存廃について協議するとの指針を示した。廃止ありきではないというものの、いい知恵が出ないと廃止されそうだ。いまの自民党政権が赤字ローカル線を存続の方針とは思えない。自治体側がどれだけ知恵を絞って、存続させるかが焦点になる。

鉄道は存続させるべきだと、私は思う。環境対策として鉄道の効用を見直すべきだ。広島と島根・鳥取を結ぶ芸備線と木次線。今回の協議で一番廃止されそうな路線だ。中国山地の山懐を縫うように走る三次ー木次間はJRにとっては早く廃止してほしいだろう。

でも考えてみてほしい。瀬戸内と日本海を鉄路で結ぶ路線なのだ。もし、島根原発で大事故が起こり、30万人とも想定されている住民を避難させるとき、この路線は大きな働きをするだろう。

原発事故は、フクシマ以降は、常に考えておかなければならない課題である。島根原発2号機を再稼働するのなら、芸備線と木次線は存続させてほしい。経費は中国電力が負担すればいい。結局は電気料金値上げにより、社会全体で負担することになるのだが、そんなの嫌だと言う人は、原発ゼロを本気で考え、行動してほしい。原発はそれだけ費用がかかる代物になったのである。

地球の気候危機対策にとっても鉄道への転換が求められる。ヨーロッパに熱波が襲い、山火事が頻発している。数年前にオーストリア、ドイツを旅行したが、真夏でも30度を超えることはなく、日陰に入れば寒い感じもした。冬の暖房用に各家はセントラルヒーティングだったが、夏の冷房設備はない。そこへ40度を超える熱波が襲来しているのだ。

気候危機はもう誰の目にも明らかだし、すぐに手を打たないと、人類は滅亡する瀬戸際にある。クルマを減らすことに取り組むべきだ。電気自動車(EV)が盛んに宣伝されるが、石油に代わって膨大な電気が必要になり、結局は二酸化炭素を排出する発電所を多く建てねばならない。自然エネルギーによって、今のクルマ社会の必要エネルギーを賄うことは困難だろう。

クルマは気候危機の最大の「犯人」と私は思う。貨物は鉄道輸送を中心にすることを訴えたい。長距離のクルマ輸送は原則禁止する。主要駅に貨物集積所をつくり、そこからクルマで事業所や家庭に配送する。私たちの子ども時代には普通に見られた光景である。これによって相当数のクルマが削減できるのではないか。

人を輸送する鉄道から荷物を運ぶ鉄道に転換する。貨物列車に数両の客車を連結して乗客を運ぶ。人も荷物も一気に運べるからすごく効率的で便利ではないか。自転車で乗れる車両もつけて、駅から仕事場へ自転車で通勤する。
たった一人でマイカー通勤し二酸化炭素をまき散らしている犯罪的行為にはもう終止符を打つべきである。

クルマを減らすのは無理と、はなから思うのでなく、気候危機の犯人であるクルマを減らしていく、そのために折角の財産である鉄道をフルに活用する。そういう発想から、赤字ローカル線問題は論議すべきである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?