2084年(4)クレイジーSを着るために②
ソファーに座りながら、少女は自分が呼ばれるのを待った。
すると、9時57分が過ぎたころ、玄関とは反対側のドアが開き、20代くらいの女性が出てきた。
おそらく自分の前の客だろう、と少女が思ったのは、その体型がやはり細かったからだ。
身長は170センチ近いのに、体重は30キロあるかないか。
購入品が入っているとおぼしき袋を持つ腕が、長袖を着ていてもわかるほど頼りなく、膝丈のスカートから伸びたふくらはぎもまったく肉がついていない。
しかも、顔はそれほどコケてはおらず、10人が10人