会社は面白いと思わせてくれた『ほぼ日』と『サイボウズ』
多感な時期にパンクばっかり聴いていたお陰で、僕は「会社勤めをするようになったらおしまいだ」という考えが染み付いたまま社会に出てしまった。
そのまま何年か海外をほっつき歩いていたら、その経験を面白がってくれた人から運良く文章の仕事をもらうことができて、それから10年以上フリーライターとして生きている。
そんなわけで、僕は今までに1度も就職をしたことがない。
だけど、これまでに2度だけ「会社って面白いんじゃないか?」と、頑なに会社を拒絶していた心を揺さぶられたことがある。
1度目は『ほぼ日の塾』で、社内見学をさせてもらったときだった。
会社組織でありながら、それぞれが個人の動機を大切に仕事をしていて、周りの人もそれを最大限に尊重してくれる。
そんな『ほぼ日』の様子を見て、長きにわたって「会社とは窮屈で息苦しい場所だ」と思い込んでいた僕の中の常識は、気持ちいいほどあっさりと崩れ去った。
そればかりか、生まれて初めて「会社で働いてみたい」と思った。
2度目は、サイボウズという会社のことを知ったときだ。
きっかけは同社のオウンドメディアであるサイボウズ式の編集長・藤村能光さんから著書を作る手伝いをしてほしいとの依頼を受けたことだった。
それまでサイボウズという会社のことはあまりよく知らなかったのだが、藤村さんに取材を続けているうちに、ここもまた自分が毛嫌いしてきた会社という組織とはあまりに違うことがわかってきた。
働く場所や時間は自分の裁量で決め、すべての仕事や問題をチームで共有することで組織内を透明化し、個々人の素直な意見を認め合う。
そういうサイボウズの環境を目の当たりにして、「会社って、やっぱり面白いんじゃないか?」と思った。
単に僕が世間知らずなだけだったのかもしれないけど、少なくともこの2つの会社は窮屈さや息苦しさとは無縁で、ひとりで闘い続けるよりもずっと素直な自分でいられる場所のように感じた。
それでいて個人ではできないような規模や質量の仕事を次々と実現していくのを見ていると、自分はなんて幼稚な意地で世界を狭めていたんだろうと思わされる。
『ほぼ日』と『サイボウズ』は、今までずっと「ひとりが一番自由でいられる」と思っていた僕に、会社というものの面白さを教えてくれた。
そして、ありがたいことに、本当にありがたいことに、今回携わらせてもらった藤村さんの本の帯は、ほぼ日の糸井重里さんが書いてくださった。
僕の歪んだ常識をブッ壊してくれた2人が、自分が携わった本を通じて夢のような景色を見せてくれたのだ。
こんなに嬉しいことはない。
本のタイトルは、「『未来のチーム』の作り方」。
ビジネス書という体裁になってはいますが、中身は様々な挫折を味わった藤村さんが自分の高慢さに気づき、仲間の信頼を得るために苦悩を重ね、自ら率先してありのままの姿を晒すことで個性豊かなチームを形成していくという熱いお話になっています。
チームを率いる立場にある人はもちろん、僕のように会社組織を敬遠してきたフリーランスの人たちにもズシンと響く内容だと思います。
発売は6月28日(金)。
アマゾンではすでに予約が始まっています。
本の発売に伴って、今夜は藤村さんと担当編集の秋山さん、Wasei Salonの長田くんと一緒にトークイベントを行います。
書籍内には書かれていない、この本が作られた経緯や制作の裏側、今後の展開などをお話しようと思っています。
入場チケットは既に完売していますが、ライブ配信もする予定(もしかすると録画で後日配信かも)なので、興味を持ってくれた方は見ていただけると嬉しいです。
(ライブ配信できた場合は)コメントもお待ちしております。
どうぞよろしくお願いします!
▲校了前の最終確認を藤村さん、秋山さん、僕の3人で行った6月5日の夕方
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