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【感想・書評】とある書店員の感想録

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本を読んだ感想を書きます。
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4月に読んだ本をオススメ度でまとめてみた

4月に読んだ本をオススメ度でまとめてみた

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4月! 新生活、新社会人、新しい職場!
ということで新しい環境の人にも役立てられるようにビジネス書を気持ち多めに読みました。もちろんラノベ・小説・コミックもたくさん読みました。

総合部門BEST5小説部門今月はライトノベルが多めです(なんせKADOKAWAの還元祭りがあったものですから……)。けど、以前から気になっていた本を消

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【検証】読者は情報弱者なのか:『土偶を読む』な!

【検証】読者は情報弱者なのか:『土偶を読む』な!

サントリー学芸賞を受賞!!
NHKで取り上げられる!
全国紙で掲載!

このような売り文句で発売された書籍はさぞ”良書”なのでしょう。

しかし、それが大学生の手抜きレポート並だったら…?

そんなことがあるのです。

『土偶を読む』

世間で話題となりベストセラーとして大型書店で展開され、
権威ある新聞=毎日新聞、朝日新聞に掲載され、
権威ある公共放送=NHKで紹介され、
権威ある賞=サントリー

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本には人を救う力がある デート・ア・ライブ感想

本には人を救う力がある デート・ア・ライブ感想

あけましておめでとうございます。
今年もぼちぼち本の記録を増やしていきたいと思います。

新年一発目にはどんな記事がいいだろうかと思いましたが、
原点に立ち返って、本という、人生を変える魔法についてお話したいです。

といっても、
「本は素晴らしい」とか「本は心の薬だ」とか、
そういった薄っぺらい言葉は使いたくありません。

だから極めて個人的な、n=1の
私にかけられた、そして一生とけることのな

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2023年11月の読書

2023年11月の読書

『存在論的、郵便的』

『現代思想』2004年12月号

『現代思想』2015年2月臨時増刊号

『現代思想』1999年3月号

『エロス論集』

『自我論集』

『生きることを学ぶ、終に』

『雄羊』

『歓待について』

『シボレート パウル・ツェランのために』

『有限責任会社』

『メモワール ポール・ド・マンのために』

『人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス』

あとがき
サムネは

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いまこそデリダを読む—生成AI,デマ,分断—

いまこそデリダを読む—生成AI,デマ,分断—



難解なデリダジャック・デリダについて気になって周辺の書籍を漁っていました。

私は原作厨なので最初は彼自身の論文にあたってみます(「差延」、「Fors」、「エクリチュールと差異」etc)。
そして、いたーいしっぺ返し(コウカ ハ バツグンダ!)を受けるのですが…(←これが伏線回収される時が来ようとはこの時思ってもいなかった)

読み始めてひとこと、
「まったく理解できない…」
まず、文章

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2023年8月の文蹟

2023年8月の文蹟

とりあえずタイトルだけ。
それぞれの書籍の感想はぼちぼち書いていきます。

『適職の結論』

『「読む」ってどんなこと?』

『文学のトリセツ』

『ヴァンパイアハンターに優しいギャル』1-2(再読)

『引きこまり吸血鬼の悶々』1-4

『陽キャになった俺の青春至上主義』1-2

泡沫に神は微睡む 1

声優ラジオのウラオモテ 1-3

こんばんは、太陽の塔

透明な夜に駆ける君と、目に見えない

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2023年7月の文蹟

2023年7月の文蹟


文芸

それでも僕は前に進むことにした

【1位】この夏の星を見る

傲慢と善良

東京會舘とわたし

島はぼくらと

闇祓

本日は大安なり

家族シアター(再読)

社畜男はB人お姉さんに助けられて

エリィ・ゴールデンと悪戯な転換1-8(再読)

災害で卵を失ったドラゴンが何故か俺を育てはじめた1-2

最強陰陽師の異世界転生記1-5(再読)

氷の令嬢の溶かし方1-2(再読)

また同じ

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ポストモダンの新しい地平線—『コンビニ人間』から『汝、星のごとく』へ

ポストモダンの新しい地平線—『コンビニ人間』から『汝、星のごとく』へ

読了目安:5分
キーワード:芥川賞、直木賞、村田沙耶香、東日本大震災、ポストモダン、生殖、『コンビニ人間』

丸山眞男曰く、戦後文学とは「肉体文学」でした。
女と寝る。
性の堕落が戦後文学を特徴づけたのです。

一方でポストモダンは、特に東日本大震災後の文学はどうなったのでしょうか?

それを「生殖文学」と藤田直哉はいう。
性というものを肉愛的ではなくて、ドライに、科学的に描く。

その意味で本作

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【進路にまよう人へ贈る】ヴァンパイアハンターに優しいギャル

【進路にまよう人へ贈る】ヴァンパイアハンターに優しいギャル

こういうのでいいんだよ

この一言に尽きます。
GA文庫はtheラノベっていう感じのが多くていいですね〜

ヴァンパイアハンター、それは世に蔓延るヴァンパイアを討つ職業人。無職…! ヴァンパイア掃討作戦で彼らの撲滅を完了した銀華は、まさにお役目をまっとうしたのだ。そして高校に通い「ふつう」を取り戻す…はずだった。しかしながら彼女の前にまた彼らが姿を現す。

主人公は普通のギャルを自称する琉花。そん

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【ゾンビものは人間関係の本質】リトル・ゾンビガール

【ゾンビものは人間関係の本質】リトル・ゾンビガール

ひとことコピー

人付き合いはゾンビから学べ!

書名:リトル・ゾンビガール
著者:徳野有美
版元:NHK出版

表紙に引かれて購入しました。小学~中学生向けの内容です。大人であれば2時間からからずに読み切れるでしょう。

ある町に転校した少年と、その町のはずれにある森でひっそりと暮らすゾンビ少女の、ボーイ・ミーツ・ガール。
人生のエッセンスがぎゅっと凝縮されています。児童書のいいところは、大切な

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【異世界語習得マニュアル】転生したら、いかに言語を学ぶか

【異世界語習得マニュアル】転生したら、いかに言語を学ぶか

クリスマスも終わり、いよいよ年の瀬も目の前です。お忙しい日々をお過ごしのことと存じます。
お正月は、家族と過ごす方、恋人と初詣に参詣する方、さまざまかと思いますが、読書好きならば、一年の幸先として最高の読書をしたいものです。

ところで、赤ちゃんがどのように言語を習得するのかと疑問に思うことがありませんか。物心付いたときから日本語を話していますけど、特に苦労した記憶もありません。しかし考えてみれば

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【あかね噺】そうだ、落語にいこう。

【あかね噺】そうだ、落語にいこう。

え~本日はお寒いなか、わたしのnoteにご来訪いただきありがとうございます。
さて冬になるとどうしてもお風呂を沸かしたくなるものでするものですが、ここで思い浮かぶのが『東海道中膝栗毛』でございます。東海道を旅する北八と弥次郎兵衛のくだらない掛け合いが立板に水。そんな道中のお笑い話が小田原宿での「五右衛門風呂」騒動。五右衛門風呂というのは直接底を火で温めますから、そのまま入ろうものなら足がすっかり茹

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【毒舌注意】ノルウェイの森/つまらないけど、面白く読む方法

【毒舌注意】ノルウェイの森/つまらないけど、面白く読む方法

クリスマスはどのように過ごしますでしょうか。
わたしは本でも読みながらココアを飲みたいと思っておりますが、まだ予定を決められていない方に、『ノルウェイの森』をご提案します。

ノルウェイの森の装丁はクリスマスを意識しているのはご存知でしょうか。
緑と赤を基調としたカバー、ほんの帯は金色。クリスマスツリーを表していますね。このおしゃれな感じが(当時の)若い女性にうけがよくて、大ヒットになったわけです

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東日本大震災と文学【10】君の名は。

東日本大震災と文学【10】君の名は。

震災後文学の一つとして取り上げたいと思います。

実際、木村朗子氏は震災を描いたものだけが震災後文学であるとは述べていません。震災後文学とは、読み手がそこに震災を読み取ってしまうことに始まるということを指摘しています。
それにくわえて、引用に示した通り、新海誠にとって東日本大震災が本作の起点となったからです。直接的に震災を描いているわけではないですが、災害による大量死のイメージは3.11があったか

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