幸いの竜

ただいま盛岡市在住。 フルタイムでテレワークをしながら、ヴァイオリンを弾いたり、自然を…

幸いの竜

ただいま盛岡市在住。 フルタイムでテレワークをしながら、ヴァイオリンを弾いたり、自然を観察したり、読書をしたり、ライターをしたり、自閉症スペクトラムの小6男子を育てたり。

最近の記事

成長は絶対に必要?

企業も事業も成長し続けなくてはならない。 人間も、とにかく成長しなくてはならない。 それは本当だろうか? 昨年よりも大きな利益を生み出すことは 応援してくれている株主が喜ぶこと(もちろんそれだけではないが)。 企業だけでなく、公務に就く人たちもみな 役職者になればなるほど平日と休日の区別がなくなり、 長い休みほど、普段できない業務や勉強のために 自分の時間を費やさなくてはならない。 そんなに成長をする必要があるのか? 地球環境を悪くしながらも。 以前読んだ 『べてるの家

    • タイパ・コスパへの違和感

      先日、サンキュータツオさんがラジオで 辞典は工芸品と同じだと言っていた。 数千円で買えるものだけれど、 それを作るためにどれだけの人たちの長い検討があり、 製作する手間ひまもかかったことか、と。 ヤマザキマリさんは、 スマホでコンマ何秒でスクロールされるマンガのシーンに対し 「そこ描くのに2時間かかったのに…」という世界だとおっしゃっていた。 楽器を奏でるのだって同じで、 ただ楽譜を見て弾くこともできなくはないが、 作曲家の生涯、曲に込めた思い、 スコアリーディングをして

      • 自分に向き合う日

        人の熱い思いを伝える。 いま知ってほしいことを伝える。 自分がやりたいライティングはそれで、 商業的な文章を書くことではない。 自分の地位が脅かされ チャンスを活かしきれなかったことに気づき、 同時に、少し違うのに まあいいかとあぐらをかいていた自分と 向き合うことになった。 文章を書くことは幸せだが、 本当にやるべきことを後回しにしていたら 死んでしまう。 それに気づかされた4月22日。

        • 春色に染まらない私

          福島には「三春」という地名がある。 梅・桃・桜が一斉に咲くから三つの春。 それなら、盛岡は「十春」。 つい先日まで日陰に雪が残り いまだにストーブが手放せないのに、 いきなり梅が咲き、 桃、オオイヌノフグリ、タンポポ、スイセン、ムスカリと花が開き、 今は桜が満開。 去年は盛岡に来たばかりだったのでわからなかったが、 ここでは一気に季節が変わる。 いつの間にか日の出も早くなり、 緯度が高いことを実感する。 桜が咲いてウキウキしたのはいつまでだろう。 もちろん花はきれいだと感

        成長は絶対に必要?

          土地は人を変える

          1月末に演奏会が終わった。 半年もかけて練習したのは 小学校の器楽部以来かもしれない。 コンサートマスターの隣で、 たまには代行もして ほとんど休まずに練習に参加した。 舞台では、他のパートを見ながら 客席やホールの響きを感じて 余裕を持って弾けた。 いままで積み上げてきたもの、 たくさんの方々の表には出ない仕事。 それらに感謝をしたくて、 オーケストラのSlackに長々と書き込みをしてしまった。 また、2月には弦楽合奏をする機会があり コンサートミストレスとしてソロも弾

          土地は人を変える

          「知らない」ということが生み出すもの

          たとえば、あなたがクラシック音楽愛好家だったとする。 Facebookで、友人や知人から演奏会の案内が流れてくる。 それが、有名なホールで著名な演奏家や指揮者だったら きっと興味を持つだろう。 日時は? 曲目は? なんとか都合がつけられないか 計画を変更するかもしれない。 しかしそれが 都会から遠い地方都市で、 ものすごく寒い時期で、 うまいかどうかもわからないアマチュアオーケストラで、 そこまで著名でない指揮者だったら 「いいね」も押さずにスクロールされて終わりだろう。

          「知らない」ということが生み出すもの

          幸せを感じる土地

          盛岡を歩いていると 「ああ幸せだなぁ」と感じる瞬間がよくある。 ちょうどいい気温、頬にあたる風、まばらな人影。 すべてが心地よい。 中津川のせせらぎの音に足を止める。 朝焼け夕焼けも 春や夏でも澄んでいて美しい。 まだ冬の寒さは体験していない。 彼岸が過ぎ、日に日に寒くなっていくことを実感しているので、 冬にどういう気持ちになっているのかはわからない。 それでも、最近思う。 自分は岩手に引き寄せられたような気がする。 大学時代に教えてもらった石川啄木の本がよみがえる。 唯

          幸せを感じる土地

          地球が住み続けられる星であるように

          #未来のためにできること 自然が好き。 子どものころ、道端にしゃがみこんで チョウや花をずっと見ていた。 トンボもたくさん捕まえた。 鳥を飼い始めてからは野鳥にも興味を持った。 幸せな家庭環境ではなかったから 外の世界に逃げていたのかもしれない。 そんなふるさとを捨て、就職で東京に出てきた。 転機が訪れ自分のキャリアに迷ったとき、 思い出したのは甥や姪の姿。 小学校低学年ぐらいまでは生きもの好きなのに、 成長するにつれ、気に留めなくなったり苦手になるのはなぜだろうと。

          地球が住み続けられる星であるように

          岩手の好きなところ

          オーケストラの練習に参加するため、 日曜の朝に車を走らせる。 中心市街地から少し離れた練習会場だった。 信号が青に変わる。 しかし、私の前の左車線の車も、 その隣の右車線の車も動かない。 2台とも信号が変わったことに気づかないのだろう。 私の後ろにも車が続いている。 クラクションを鳴らすべきか、見守るべきか… 15秒ほど経ったのち、ようやく車が動き出した。 ああよかった。 これが都会だったらどうだろうか。 青になっても動かなかったら 即座にクラクションを鳴らされる。 岩

          岩手の好きなところ

          本当においしいもの

          若いころ。 福島県で育ち、茨城県で学生時代を過ごし、 社会人になって東京に出てきた私は、 銀座のデパートが憧れだった。 あの雑誌に載っていた新しいスイーツのお店。 おしゃれだし、おいしそう! ありがたがって食べていた。 しかし歳を重ねるにつれ、 「ん? これあんまりおいしくないかも」と 感じるようになる。 最悪なのは、見栄えだけよくて おいしくない食べ物。 余分なカロリーを摂りたくないのに こんなおやつを食べてしまったなんて! 怒りを覚える。 川崎市麻生区に住むようになり

          本当においしいもの

          生成AIに色めき立つ人たちを横目に見て

          必要に迫られ、生成AIのだいたいの概要を学ぶ。 同僚たちは新しい可能性にワクワクして色めき立っている。 自分でも試してみて、便利であることはわかった。 他部署や派遣スタッフから何度も受ける 同じ問い合わせに回答するときなどには有効だろう。 膨大なデータを学習し、その結果を自然な形で返してくれる。 非常に優秀なブレーンがそばにいてくれるのと一緒だ。 しかし、その結果が必ずしも正しいとは言えない。 参考にする程度ならよいが、それに頼りすぎると 結局は「過去の、大多数の人が言って

          生成AIに色めき立つ人たちを横目に見て

          盛岡市に住んで

          4月から盛岡市で暮らしている。 夫の転勤による転居で、2年後にはまた元の家に戻る予定だ。 いまだに空気が冷たい。 風が強く吹き、傘が役に立たないことがある。 一日のうちに天気と気温が変わり、羽織るものを何度も変えるときもある。 子どもの小学校が学区の最果てで、 送り迎えのときに徒歩で片道25分かかる。 でも、晴れたら星が輝く。 魚、肉、乳製品、海藻類、どれも本当においしくて安い。 高緯度なので、今の時期は日の出が早くて日の入りが遅い。 ゴールデンウイークに2泊3日で元の

          盛岡市に住んで

          子どもに気遣いをさせてしまった日

          子どもの前で親の感情を出してはいけない。 それは正しいのだろうけれど、 自分は感じていることのすべてが 表情や言葉に出てしまう。 夫は仕事が忙しく、土日も対応に追われる。 そればかりか、今年度は小学校のPTAの要職を務めていたせいで 平日夜も休日もPTA、PTA。 大変ながらも新しい人間関係と使命に燃えて充実している。 その結果、子育てと家事のウエイトは ほぼ私が占めることになる。 しかし、私も全社的なプロジェクトの一端を担当しており 末端の本当につらい仕事をお願いする社

          子どもに気遣いをさせてしまった日

          たくさんの人が好きなものへの違和感

          16年前から大きな会社で働いている。 そこで知ったのは、 「お金を出せば未来をつくり出せる」ということ。 大々的に広告を出す、イベントをやって新サービスを発表する。 メディアに対して戦略的に仕掛けていけば話題になるし、 広告の文言・画像などの打ち出し方で興味を持ってもらえ、 結果的に売り上げにつながる。 会社なので収入がないと成り立たないのだから それらは必要なことだ。 株主に対しても、今後成長していくことを説明する必要がある。 そのためにも、たくさんの人がほしいと思ってい

          たくさんの人が好きなものへの違和感

          流れゆくもの

          すべては流れていく。 いまこの時はスナップショットで 永遠に続いていくものではない。 今の住まいは2014年にできあがった一戸建てで、 同じ区間に4棟ある。 2015年4月、4家族が一度に引っ越してきた。 各家庭とも、お子さんはまだ小さかった。 特に、お隣の一家にはお世話になり、 明るい母、人懐っこい子どもたちに 心救われることが多かった。 その一家は、旦那さんが少し前から単身赴任していた大分に 一家で移り住むことになり、 数年後に帰ってくるということで 2年前に引っ越し

          流れゆくもの

          音楽が連れてきた記憶

          車の中で流れてきたのは、マーラーの交響曲第2番「復活」。 その響きは、一瞬のうちに2001年と2006年の自分へと連れて行く。 あの頃の自分と今の自分。 思いの「質」が違うのはなぜだろうと考えたとき、 SNSだと確信した。 常に誰かとつながっているのではない時代、 不安も苦しみも悲しみも自分の中に圧縮されていた。 そこから解き放たれるために 心の底から表現する音楽が必要だったのだ。 義父母のもとへ走らせる車の中は明るい。 暖かい日差しが降り注ぎ、 たまに子どもがどうという

          音楽が連れてきた記憶