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あさのん(浅野敦司)|FLY 017

つながりの中で見つけた輝き「光の箱」のはじまり

あさのん(浅野敦司|総務)自由大学では、「ソーシャルデザイン学」、「東北復興学」を受講。東北復興に関するプロジェクトを次々に企画・運営。勤務先の乃村工藝社の東北支援「みんな つながろう!プロジェクト」の1つ「光の箱」について、自称イレギュラーな総務 あさのんに語っていただきました。

Q:自由大学に来た経緯(いきさつ)は?

WEBマガジン「greenz.jp」を見ていて、自由大学でソーシャルデザイン学という講義がスタートすることを知ったのがきっかけです。

Q:自由大学を受講した感想は?

自由大学があのまま会社になればいいなと。みんなフットワーク軽いし。東北復興学では「東北」という共通のキーワードだけで集まって、それぞれがプレイヤーとして活躍するのはおもしろいなと思います。講義で生まれたプロジェクト「石巻”いすのまぎ”カルタ」では、ぶつかる時もあった。でも、それはすごく健全なぶつかりあい。損得勘定とか抜きでプロジェクトをまっすぐ進めるために全力なんですよね。会社もこうだったらいいな、なんて。

Q:あさのんの勤務先 乃村工藝社の東北支援「みんな つながろう!プロジェクト」はどんな活動なんですか?

2011年から社としては義援金などを送っていました。僕が実際に関わり始めたのは、会社の同僚がクレイアニメーションを使って、東北各地で開催してたワークショップの時。その後、2012年に東北のお母さんたちを招いて東京の子供どもたちとミサンガを作るワークショップを手伝いました。その時のお母さんたちの「1年前には、東京でこんなことができると思いませんでした。」という言葉に心が動いたんです。

Q:ご自身で動き始めたキッカケになったんですね。

うん。そこで自分も何かできないかなと調べました。週間仕事百貨(現・日本仕事百貨)のイベント「想像もできなかったことが、東北ではじまっています」を見つけて参加したんですね。その時に、仕事百貨の中村健太さんにETICの田村真菜さんを紹介してもらって、ETIC主催の復興支援のニーズと人材をマッチングするイベントで、ぐるぐる応援団の鹿島美織さんと出逢いました。そこで、宮城県石巻市で鹿島さんが支援している震災でお店を失ったお母さんたちの働ける場「いしのま★キッチン」を知りました。

津波の被害を受けたままの店舗の内装をリニューアルさせたいということだったので、それならうちの会社でできるぞ!とすぐに社に持ち帰えったんです。

(乃村工藝社は、施設の設計、施工等を行っています)。

Q:社に持ち帰って、どうしたんですか?

会社の同僚に声をかけて仲間を募って、ボランティア休暇制度の導入と、メンバー出張経費のバックアップを会社に打診し、導入してもらいました。3ヶ月言い続けたかな。

Q:3か月!! 会社の仕組みを変えるってすごいなぁ。総務という仕事の範囲を超えている気がします。

総務でもイレギュラーな存在かも(笑)。 入社以来、全国の文化施設の展示デザインに携わってきたけど業務多忙でパンクしたり紆余曲折あって数年前から総務。でも、ベースがデザインだし今から総務のプロを目指せないから。デザインを活かした社内外のコミュニケーションデザインに携わりながら、業務範囲が広がっているねえ。総務はよろず屋だと思う。(笑)「光の箱」はメディアに取り上げていただくことも多いし、広報的な役割も自然と担っているんですよね。

Q:「光の箱」はどんな活動なんですか?

「光の箱」は東北工芸大の村松泰三先生が考案されたワークショップのキットなんです。光をかざすと様々な色と柄が箱の中に浮かびあがります。毎年12月に丸の内で開催されているチャリティイベント「ライティング・オブジェ」で行われていたワークショップで、会社の同僚がイベントに関わっていて、「光の箱」を知りました。

2013年には宮城県石巻市・福島県いわき市で開催した「光の箱」ワークショップでは、500個近く集まり、東京のお台場にある自社を会場に展示をしました。その後、作ってくださった石巻といわきのみなさんにも見ていただきたいと、現地でも展示をしたんです。「いしのま★キッチン」の時にお世話になったり、つながったみなさんのおかげで石巻のワークショップの会場はすぐに見つかり、たくさんの方々に参加していただきました。

Q:「いしのま★キッチン」の時もいろんな人とつながって始まりましたが、今回の「光の箱」もそこでのつながりが活かされたんですね。

「いしのま★キッチン」の時は、その後のことは何も考えていなかったんですよ。「光の箱」も最初のワークショップと東京の展示で終わると思っていたんだけど参加してくださったみなさんに見ていただきたいということで展示をすることになって。

また2014年も2回目を実施することになり、2014年に作った光の箱も東京での展示の後には現地で展示することに決まりました。今回もたくさん石巻のみなさんに参加してもらって、東京では自由大学や復興学の仲間もたくさん参加してくれて490個も集まりました。

Q:プロジェクトを通して社内の人に変化はありしましたか?

東北復興学を受けてくれる人が増えましたね。東北に関心を持ってくれる人が増えて会社と石巻マルシェがつながったり、自由大学と会社がつながったり。

※石巻マルシェ:東京都大田区・大森にある石巻のアンテナショップ。「光の箱」ワークショップや、石巻カルタでもお世話になっている。

Q:これから、ってどんな感じでしょう?

「光の箱」は、直接的な復興や支援ではないけど、会社の生業でもある「空間づくり」や「場づくり」で少しの時間でも東北のみなさんに楽しんでもらえたらと思っています。一方で、仮設住宅がなくなって街や人が活気づくことがを一番の復興だと思っているので「光の箱」もどこかできっと終わりがくるんだろうなと思っていて。

それでも、石巻や東北には行き続けると思う。会いたい人、お世話になった人がたくさんいるから。

【取材後記】何かしたいと思っていても、一人ではモヤモヤして動けない。そんな時に色んな人に出逢うことの大切さを感じました。あさのんの「光の箱」も人とのつながりの中で生まれたプロジェクト。同じ気持ちを持つ仲間との出逢いから始まることってとても大きな力になっていくんですね。「小さい渦が大きくなっていく」という言葉、とても印象的でした。

(インタビュー: #鈴木宏美 )

【関連サイト】
乃村工藝社
「みんな つながろう!プロジェクト」

FLY(フライ)は、自由大学の卒業生が登場するインタビューコーナー。自由大学に通い、新しく見つけた自分の姿。卒業して、踏み出した一歩は小さくても確かな手応えをもって、新しい日常の扉を押し広げます。卒業生&受講生が体験した、自分らしい転換期の話をお届けします。

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