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継続すれば“習慣”になる

ケンタッキーダービーは凄いレースでしたね。
POG直球勝負2024-2025でたくさんお話を伺った、藤田オーナー&矢作調教師のタッグが送り出したフォーエバーヤングは勝ち馬と大接戦の3着。出遅れから外を回り、直線では2着馬と馬体をぶつけ合いながらの追い比べには、魂が震えました。

矢作調教師は、戦前、遠征の疲れが抜けきっていないことをお話されていましたよね。

海外遠征における仕上げの難しさについては、対談の時にも聞いていました。矢作厩舎の馬は出走回数が多いのに故障率が低いので、その辺りの秘訣について聞いてみたのです。大事なのは、疲れを取ることに関してしっかりとメリハリをつけることだそう。例えば、ドバイからサウジ行った馬は翌々日にはドバイに移動しているけれど、その一週間は全く乗らずに疲れを取る。そこからしっかり立ち上げていくそうです。どこまで休ませるかの見極めが絶妙なのでしょう。

完調とはいえないなかでのあの走り。対談時に藤田オーナーにも矢作調教師にも「もう、世界ナンバーワンなのでは?」とお伝えしていたのですが、これから先、ブリーダーズカップやドバイワールドカップで、本当にそれを証明してくれるかもしれません。

5着のテーオーパスワードともども、素晴らしい走りを見せてくれて、感謝しかないですね。

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さて、前回のコラムでローテーションについてのお話を書きました。

日本のプロ野球において中4日やクローザーの回跨ぎが一般的ではなくなったり、日本の中央競馬においてトップホースが年間数走しかしなくなった背景には、競技のレベルアップが関係していると考えます。バッターのレベルが上がれば、それを抑えるためピッチャーの消耗度は上がるし、時計面を含めたレースのレベルが上がれば、一走ごとの消耗度が上がる。これは自明であり、矢作調教師もそういう側面があるのは間違いないとおっしゃっていました。

ただ、その後に、「一番の要因は考え方だと思う」とも。中2週、中3週はキツいローテーションだと思うか、それとも余裕のローテーションだと思うか。右へ倣えで誰もがゆったりしたローテーションを是としていくと、日本のトップホースがタフさに欠ける馬になってしまう可能性があることは懸念されていました。

とあるトップアスリートは、通常、一試合の消耗からの回復にかかる48時間を、考え方を変えることで24時間で始動したいと考えているとか。ある意味、脳を騙すと言いますか。
これが現実的なのかどうかはわかりませんが、私も「意識を変える」というのはアスリートにとって非常に重要なことだと考えています。
著書のタイトルであり、よく講演テーマにもなっているのが継続する心ですが、人間は、物事を頑張って継続してやっていくことで“習慣”に変わります。面白いことに、言葉が変わるんです。勉強でもランニングでも、日課として継続していくうちに面倒臭さがなくなっていく。習慣の強さって、間違いなくありますから。矢作厩舎の馬たちも、中2週、中3週でレースを走ることが“習慣”になっているのかもしれませんね(笑)。

さて、春競馬も佳境を迎え、POGのドラフトシーズンが到来しています。『POG直球勝負2024-2025』の対談でお話を伺った中から、何頭か注目馬を挙げておきましょう。

藤田晋オーナーの所有馬からはゴーマギーゴー22。牧場の評価も高いようですが、半妹も藤田オーナーが落札しているというのもなんとも魅力的ですよね。担当編集者が牧場を取材したところ、本格化はまだ先という印象のようですが、それでも現段階でこれだけ評価が高いのは、能力の証なのではないでしょうか。

矢作調教師の管理馬からはレッドティー22。このコラムでの過去に触れている、ノーザンファーム空港の佐々木厩舎長のところで育成されています。矢作先生も「うちのトップバッター?」なんておっしゃっていたので、先頭打者ホームランをかっ飛ばしてもらいましょう。

それから藤田オーナー&矢作調教師の最強タッグ再び、という意味ではMagic America22にも注目。シンエンペラーと同じセリで、矢作調教師が見初めた馬だそう。こちらは世界レベルの活躍を期待したくなりますね。
(次回更新は5月28日)

やまもとまさ
プロ通算219勝、3度の最多勝、沢村賞、史上最年長でのノーヒットノーラン、50歳での登板など、記録にも記憶にも残る活躍を果たした球界のレジェンド。現在は野球解説者・スポーツコメンテーターとして活動している。ラジコン、クワガタ飼育等、多趣味としても知られる。競馬への造詣も深く、一口馬主としてアルアイン、シャフリヤールに出資する相馬眼の持ち主。
X(ツイッター) @yamamoto34masa

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