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何度も読み返したい素敵な文章の数々 vol.3

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失敗は成功の素というけれど

失敗は成功の素というけれど

失敗すること、ミスをすることが、わたしは怖い。

誰しもある程度の怖さはあると思うけれど、たぶん、わたしのそれは度を超えているのかもしれないな、と思うことがある。

これは今に始まったことではない。わたしは、かなり幼いころから失敗が怖かった。

「やってしまった」と気づいたときの体の冷えかたは尋常ではないし、食欲もなくなるし、呼吸も浅くなってしまう。

そうしたこともあって、わたしははじめての職場

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わかってはいるけど全力疾走できない系

わかってはいるけど全力疾走できない系

何かこう…、今の自分にグッときていない。つかめそうなのにつかみきれていなくて、模索中でモヤモヤしていて、全力疾走できていない。

果たして自分がこれでうまくいっているのか分からなくて自信がなくて、不安でいっぱい。ただ、何をどこまでしたら自信になるのか、自分の納得を感じることができるのか、よく分からないという状態なのが今。

TinderとPairsを、急に今日やってみた。でも、特に今やりたいという

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自分の感性だけは信じてる

自分の感性だけは信じてる

最近の自分の何か物を買うときに考えているルールは、「これがいい」ではなく「これでいい」を選ぶこと。このジャンルでの一生物を買うような気持ちで、物を選んでいます。

きっかけは、「無印良品からのメッセージ」でした。

無印良品が目指しているのは「これがいい」ではなく「これでいい」という理性的な満足感をお客さまに持っていただくこと。つまり「が」ではなく「で」なのです。しかしながら「で」にもレベルがあり

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「あなたのことばはデリカシーがない」

「あなたのことばはデリカシーがない」

昨日夜、「人に向けることばにデリカシーがない」と言われてしまった。

そこまで深い意味はなく返したことに対して言ってくれたのだと思うのだけど、そんなふうに言われるとは思ってもみなくて、あまりのことにびっくりしてしまった。そして、「そう感じたのは初めてのことではない」とも、そのツイートには書かれていた。

それを見たのが、ちょうどお風呂に入る直前。ゆぶねに浸かりながら、水の音だけがする無音の中で、そ

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自分の書くものにはなくて本にはあるもの

自分の書くものにはなくて本にはあるもの

小説を読んでいると、気付くことがあります。それは、「情景」が自分の書くものにはあまりに少ないということ、それに、固有名詞ばかり使っているということ。

ここ最近読んだ作家さんで言うと、恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」はすごかった。個性ということばを説明するのに、こんなに情緒たっぷりに語れるというのが、とてもすごいなぁと思う。

しかも、凄いのは、やっぱりどんな道具を使っても、マーくんの演奏にはマーくんの

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だって人間はそういう風にできているんだ

だって人間はそういう風にできているんだ

・タクロコマさんが、日々「君のいまがより良くなるように。」というマガジンを書いているのを、タイムラインに流れてきたときにふらっと読む。

未来のこどものためにタクロコマさんがどんなことを考えているのかが書かれている。自分が何をしたのかを誰か(読者)に向けて書くのはよくあることだけど、未来の自分のこどもに向けて書く形式はこれまでに見たことがなかったので、なんだか新しいなぁと思って眺めている。

個人

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本当にまずいのは休む元気すらないとき

本当にまずいのは休む元気すらないとき

私は普段、好きな時間に好きな場所で自由にできる仕事をしている。

少し前はその自由を生かして、すきま時間を見つければ映画館に通いたくさんの映画を見て、本屋でぷらぷらと歩いて面白そうな本を探して、新しく入荷した服を買いに行き、それでもちゃんと仕事はまわっていた。

まあ普段気ままに過ごしているので、疲れにも鈍いのだが、どうやら私は疲れていたらしい。疲れていることに気づいたのは、昨日今日の話。

数日

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くり返される「二度とできない」。

くり返される「二度とできない」。

ひさしぶりに『嫌われる勇気』の話を書きます。

明日でちょうど『嫌われる勇気』の刊行から丸4年になるんですね。そして今年も年間ランキングでビジネス書部門の2位に入り(日販・トーハン調べ)、4年連続のベスト3入りとなってこれは史上初のことなのだそうです。また、来年の1月には英国・英連邦版の発売も決定し、ようやく手元に見本が届きました(日本版のAmazonページはこちら)。

これまでは韓国・中国・台

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働くことと、貯金すること。

働くことと、貯金すること。

日本人の貯金好きは、否定的な文脈のなかで語られることが多い。

なんの目的もなく、ぼんやりとした「いざというとき」のため、日本人は貯金をする。そして「いざというとき」は訪れぬまま、その財産は子どもたちに相続される。90代の親が残した財産を、70代の子どもが相続する。70代の子どもはそれを消費に回さず、やはり「いざというとき」のために貯蓄し、やがて90代を迎え、70代の子どもたちに引き渡す。

何度

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心配される、という才能。

心配される、という才能。

きのう、オフィスに今井くんが遊びにきた。

もともとぼくは、年齢に関係なくほぼすべての人を「さん付け」で呼んでいるのだけど、今井くんはなぜか今井くんだ。きっとそれは、彼がもともと星海社という出版社で、カッキー(柿内芳文)のアシスタントみたいなことをやっていたからだろう。担当編集のカッキー経由で「今井さん」と会っているうち、いつしか呼び名が「今井くん」になっていった。

オフィスにやってきた今井くん

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なにを言うか。誰が言うか。それをおれが言ってもいいのか。

なにを言うか。誰が言うか。それをおれが言ってもいいのか。

フェイスブックに、「過去のこの日」という機能がある。

去年のきょう、一昨年のきょう、三年前のきょう、あなたはこんなことを書いていましたよ。あなたはこんな記事をシェアしていましたよ。などを教えてくれる機能だ。これは大した発明というか、ぼくがいまでもフェイスブックになにかを書こうとする動機の半分以上は、この機能のおかげだったりする。来年や再来年の自分に「あのときのお前」を教えてあげたいのだ。

とい

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下を向いて歩こう。

下を向いて歩こう。

自分という人間が、そのダメダメさが、思わぬかたちで露呈した。

豪雪の夜、渋谷駅に向かって、傘もささずにぼくは歩いた。降り積もった雪にざくざくと傘を突き刺しながら、下を向いて、雪を睨んで、ぼくは歩いた。どうしてこんなことになってしまったのだろう。自分のどこが間違っていたのだろう。考えながら、渋谷をめざした。

英語ではそれをビッグスノーと言うのだろうか。きのうの東京地方は、何年かぶりの大雪だった。

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スパイスとしての理不尽。

スパイスとしての理不尽。

平昌オリンピック・パラリンピックがはじまって、きょうが5日目。

開会式のスタジアムが寒すぎるんじゃないかとか、ノロウィルスが発生したらしいとか、ボランティアが大量離脱したらしいとか、ホテルが足りないとか余っているとか、選手村の食事がまずそうだとか、大会前に語られた野次馬的な不安をよそに、いま最大の問題となっているのは「風」であるようだ。

報道ベースで聞きかじった浅い知識でしかないけれど、そもそ

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好き嫌いはあったほうがいい

好き嫌いはあったほうがいい

小さな頃から食べ物の好き嫌いがないと公言している子どもだった。

好き嫌いについて聞かれると、「ないよ!」と得意げに答えていた。すると大概、大人は驚いてわたしを褒める。「えらいわね」に続いて、うちの子なんて野菜を食べなくてね、と言われることもあって、「大変なんだねー」みたいなわかった風の共感を寄せたりする、たぶん変な子どもでもあった。

10〜20代になっても「好き嫌いがない宣言」は続いた。褒めら

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