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未来の想い出の想い出

子どもの頃、とても好きだったドラマがありました。

「君といた未来のために」
2000年になった瞬間に4年前に戻り、人生をやり直すことを繰り返すという話。
二度目の人生ではたまごっちやキャミソールをヒットさせて成功するけれど大事な人が亡くなってしまい、三度目の人生ではやはり2000年に時が巻き戻ってしまい、どうしたらこの繰り返しが終わるのか模索していきます。
今話題の堂本剛さん主演でした。

好き過ぎて、レンタルビデオ屋さんで何度も借りてきて繰り返し見ました。
cobaさんの音楽が収録されたサウンドトラックも買いました。
今は見る手段がないのが寂しい……。

インターネットが使えるようになった頃、Wikipediaで調べてこのドラマには元ネタといえるものがあったことを知りました。

ケン・グリムウッドの『リプレイ』。
購入して読んで、アメリカの過去の文化がわからなくて「??」となった部分もありましたが、この繰り返しの現象がどうなっていくのか、というのはドラマのちょっとファンタジーな理由よりもなるほど感があり、かつとても人生の話で面白かったです。

これでは飽きたらず、いわゆる「ループもの」があると摂取するようになりました。

小説だと北村薫「ターン」、筒井康隆「時をかける少女」、乾くるみ「リピート」。
あとハルヒの「エンドレスエイト」もですね。
映画「バタフライ・エフェクト」と、あと最近の日本映画だと「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」とか「リバー、流れないでよ」があって嬉しかったです。にやにやしながら見に行きました。

さて、今のWikipediaの「君といた未来のために」には記載がなくなっていたのですが、確か以前、このドラマの製作にあたり影響を受けたと考えられる作品として、漫画が載っていました。不正確な情報だから削除されたのかも?
もしかしたら私がいろいろ見ているうちに混同したのかもしれないですが。

それが、藤子・F・不二雄さんの「未来の想い出」です。

この漫画をどうしても読みたい!と思ったのです。

しかし、当時この作品のみの単行本を本屋さんで見つけることはできませんでした。1992年に出ていたようなのですが、既に本屋さんでの取り扱いはなかったのかも。
そして調べていくうちにどうも、藤子・F・不二雄の大全集には載っているようだ、ということがわかります。
ただ大全集のどの巻にどのお話が載っているのかがわからなかったのです。
今はサイトがきちんとしているのでわかるのですが……。

本屋さんで売ってもいないので、表紙を確かめることもできず。
通販や取り寄せを頼むことも考えたのですが、そもそもどれに入っているのかがわからない。なかなかのお値段ですし、博打で買うわけにもいきません。
漫画だから、図書館にもありません。

そんなときに、藤子・F・不二雄ミュージアムのことを知りました。

ここには大全集が全てそろっていて、全部読めるようになっているのです。
もうここしかない!と思いました。

そこで、出張で本州に行った際に、思い切って行くことにしました。

バスもドラえもん仕様
レストランで食べたもの

写真を確認したら、6、7年前くらいのことでした。

展示を見て、お土産を買って……展示に漫画原稿がたくさんあって、夢中で見ていたら全集の部屋にたどり着くのにずいぶんかかってしまいました。

全集を1冊1冊手にとって探していくのですが……ない。
どうも、中編くらいの話のようだから、「SF短編集」などのものに入っているのではないか?という先入観があって、見逃していたみたいなのです。
タイトルに「未来の想い出」が連名で書いてあるものがあって「か、書いてあるじゃん〜!」ってなりました。

飛行機の時間を考えると、急いで読まないとダメだ!と追い詰められ、必死で読みました。
なんとか最後まで読んで、ミュージアムを飛び出したことを覚えています(笑)。
写真ももう少し撮りたかったのですが、全然残ってませんでした。

ちなみにお土産屋さんで現物の本を買おうかとも思ったのですが、売ってなかったのです……。とにかく慌ただしくも読めた!ということに満足して帰りました。

さて、そんな慌ただしい中だったので、最近になってまた読みたいなあと思うようになりました。

そんなときに本屋で見つけたのがこちら!

SF短編が分冊で発売されているようで、見つけたときに6冊くらい出ていました。
わくわくして一冊一冊見ていったのですが、「未来の想い出」はない……。
でももしかして……とちまちま調べたら刊行ラインナップに「未来の想い出」があったのです!

わくわくして買いました。そして、ようやくじっくり読めました。

最初、主人公が自分の仕事場に帰ってきたときの俯瞰で部屋を描いた構図!

ああ、最初に読んだときにもここでびっくりしたよなって思い出しました。
絵柄が全然ブレないのもすごいよなあと思います。

お話自体は最後の方、ぱっと終わった感じもしたのですが、主人公が傲慢なところも少し見えつつも、我が身を振り返って反省したり模索したりするところが好きです。
古い漫画を読むと、たった数年前のものでもジェンダー観に苦しむところもあるのですが、そういうもののバランス感覚がすごく取れているなと。
例えば人生をやり直す前の奥さん、カオリさんについて、主人公がちょっと勝手なふるまいをしているように見えてお互い様だったり、結婚したきっかけはどっちもどっちだったり、なんだかんだうまくやっていたり、最後に残していった言葉だったりがあって……。

でもやっぱり、晶子さんがいないとぐうたらであんまり努力もしなかった主人公はたくさんの文化に触れずに途中でダメになっていただろうから……。

もしかしたら、主人公の理人がしっかりと地に足のついた漫画家となった方が正史だからこそ、突如襲ってきた痛みなども最後にはこの正史に導くためのものだったのかもなどと考えました。

もう少し、晶子さんの方の深掘りも見てみたかったなあ。
ちょっと、カオリさんだって悪くはない人じゃんって気持ちになったので(笑)。

その作品とどう出会うか、みたいなのも「想い出」になるので、書き残しておきたくなりました。

あと、いつか「君といた未来のために」がDVDかBlu-rayになりますように。

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