見出し画像

住宅ローンを組む前に知っておくべきこと

「住宅費用」は「教育費用」「老後費用」と並んで人生3大費用と呼ばれています。
住宅ローンを組んで不動産を購入する前に、必ず知っておきたいことがいくつかあります。


絶対に利用すべき制度:住宅ローン控除

居住目的で住宅を購入すると、住宅ローン控除を受けられます。ただし、無条件で誰でも控除を受けられるわけではないので、自分が住宅ローン控除を受けられるか、事前に調べておくことをおすすめします。

ZEH水準省エネの新築住宅の場合、ローン残高(※上限あり)に対して最大13年間、0.7%を税額控除として所得税から控除することができます。

<限度額>
例:ZEH水準省エネの新築住宅
4500万円(2023年12月31日までに居住したとき)
3500万円(2024年1月1日〜2025年12月31日までに居住したとき)

<要件>
申請者の合計年収が2000万円以下であること、10年以上の分割返済プランになっていること、購入から6ヶ月以内に居住すること、床面積などその他要件もあるので、自分のライフプランと照らし合わせて事前に要件に目を通しておくと良いと思います。

普段、サラリーマンで、年末調整の提出だけで済ませている人も、住宅ローンを組んだ初年度は確定申告が必要です。

参考:国税庁 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm)

買いたい物件を見つけた!毎月のローン返済はいくら?

素敵な物件に巡り会えたとして、自分に手の届く物件なのでしょうか?35年ローンを組んで、キャッシュフローに余裕が出てきたら繰上げ返済してくパターンが多いと思います。
物件の購入価格から、月々のローン返済がいくらになるのか、SUUMOのサイトでローンシミュレーションができます。
実際には販売価格に加えて、手数料、毎年の固定資産税、月々の駐車場代、管理費用、修繕積立金などが別途かかりますので、出費はこれよりも多くなります。ローン以外にも払わなければいけない諸費用があることを念頭に置いて、余裕のあるローン計画をおすすめします。

参考:SUUMO (https://suumo.jp/sp/apps/loansimulator/index.html)

いくらの不動産を買うべき?

「返済負担率」をご存知でしょうか?
返済負担率とは、収入に対してローン返済額がどのくらいかを表すものです。平均は20%と言われているそうで、この数値目安にして考えると良いかもしれません。借入可能額は年収の20%を超えることもあります。しかし、上にも述べたように、固定資産税やその他諸費用が毎年かかりますので、借入できるからといって安易に身の丈に合わない物件に手を出さない方が良いです。

★返済負担率=1年間ローン返済額/年収
★年間ローン返済額の目安=年収✖️20%

ペアローン

近年人気のペアローン。メリットとデメリットを理解し、ペアローン以外のローンという選択肢もあることを知っておくと良いでしょう。
ペアローンとは、夫婦それぞれがローンを契約し債務者となり、お互いが連帯保証人になる借入方法です。夫婦以外にも親子でペアローンを組むケースもあります。
ペアローンを組む場合は、不動産を共有で所有することになります。登記上も共同名義で持分を明記します。通常は頭金・ローンの支払額に対する各自の出資割合に応じて持分を決めます。例えば、夫と妻が半分づつ負担するのであれば持分はそれぞれ50%ずつで登記します。実際の負担割合と持分が違っても問題ありません。親から資金援助を受ける場合は、その金額を自分の負担額として計算して持分を割振ることが多いです。

共有持分を決めるタイミング

タイミングとしては、実際の登記までに持分の割合を合意しておきます。新築を購入する場合は、売買契約から約1ヶ月以内が目安になります。

できれば物件の契約前に、ライフプランに基づいたローン負担の割合、持分などを話し合ってあらかじめ決めておくのが望ましいでしょう。

ペアローンのメリット

ローンを2本契約することになるので、受けられる控除が2倍になります。
・住宅ローン控除
・売却して利益が出たとき非課税になる制度
・親から住宅資金をもらったとき非課税になる制度 (※2023年12月31日終了予定)

それぞれがローンを契約することになるので、2人とも住宅ローン控除をうけることができます。ただし、上に述べたように要件から外れると控除できない可能性もあるので注意が必要です(転勤などで一時的に住まない期間が発生すると、その期間は住宅ローン控除を受けることができません)。

しばらく居住したあと、売却を視野に入れているのであれば、もし売却益が出た際に「マイホームを売った時の特例」を適応することができる可能性があります。不動産売却によって得られた所得の控除を2人ともうけることができます。1人あたり3000万円までの譲渡益が非課税になるので、2人でトータル6000万円非課税になります。こちらも要件があります。そもそも、この特例はバブル期にできたものなので、今の時代に6000万円の譲渡益が出るのは、なかなか稀だとは思います。

もし親から資金援助を受けるのであれば「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」という特例を利用すれば、省エネ住宅だと1000万円までは贈与税がかかりません。2人でトータル2000万円非課税になります。合計所得が2000万円以下で、直系尊属からの贈与であること(自分の親や祖父母から。配偶者の親はだめ)、その他床面積など条件があるので当てはまるかどうか確認する場合は国税庁サイトをチェックしてください。

申請方法
「非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。」※国税庁サイト
※2023年12月31日終了予定。

参考:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

ペアローンのデメリット

まず、ローン全般に共通しますが、債務者がローン返済できなくなった場合、連帯保証人が返済義務を負います。何かしらの理由で夫の収入が減り、ローンを返済できなくなったとしても、妻が夫の分まで返済していくことになります。

また、ペアローンは離婚の際にトラブルとなることが多いようです。

・共有者の同意なしに売却できない。
共有している不動産を売却するには共有者の合意が必要です。自分の持分のみを手放すには共有者の合意は必要ありません。買ってくれる人がいればですが、持分だけ売却することは問題ありません。

・オーバーローン
ローンを完済した後も住み続けるつもりで購入しているため、離婚して早く引っ越したいと思っても、売却益が出ずローンが残ってしまう場合があります。その家に住んでいなくとも、売却後もローンを返済し続けなければいけません。

離婚後、どちらか一方がそのままの住居したい場合、ローンを一本化するために持分を買い取るケースが多いです。そうなると、元々2人分の収入をベースにした購入価格の物件を選んでいるので、1人で多額のローンを背負っていくことになります。

参考:https://kyouyuu-fudousan.com/rikon/manga/03/

共有者が他界した場合のローンと持分はどうなる?

ローンは債務者分のみ免除されます。
通常は団信に入るので、ローン残高がある場合は、他界した債務者のローン残高が免除されます。そして、その持分が相続されます。
例えば夫が先に亡くなった場合、夫の持分のみが財産として遺族に相続されます。相続される相手は遺言で特に指定がなければ遺産分割協議によって遺族間で決めることになります。遺族とは、配偶者と子供です(もし子供がいない場合は、配偶者+父母→父母がいない場合は配偶者+兄弟姉妹、といった優先順位で相続します)。

婚姻関係が20年以上であれば、病気等で先が長くないことが分かった段階で配偶者に持分を贈与しておくことも有効です。贈与税の基礎控除(年間110万円)とは別に不動産評価額のうち2000万円までの金額が配偶者控除として非課税になります。

配偶者以外が相続した場合でも、一緒に住んでいた配偶者が言って期間そのまま住める権利が2つあります。
1)配偶者短期居住権
2)配偶者居住権

ペアローン以外の方法

ペアローンでなくても、共有名義で不動産を所有することができます。夫婦の収入差が激しい場合などは他の借入形態を選択する方法もあります。

連帯保証型

どちらかが債務者で、どちらかが連帯保証人になります。この場合、債務者の持分が大きくなるケースが一般的です。
例)頭金は夫と妻の両方が預貯金から支払った。残りのローンは夫のみが返済していくケース。
収入合算できるので、夫の収入+妻の収入で借入可能額も大きくなります。ただし、債務者しか団信に加入できないため、妻の収入ありきでローンを組んでしまうと、万が一妻が他界した際にはリスクがあります。

連帯債務型

どちらかが債務者、もう片方が連帯債務者になります。連帯保証型と同様に、連帯債務者は団信に加入できないケースが多いそうです。連帯債務型の特徴は、2人とも住宅ローン控除が受けられる点です。

以上、ご参考になれば幸いです。

※団信・・・団体信用生命保険。死亡や高度障害になったら遺族の残高返済は免除される。三大疾病特約などもある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?