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⑧終「けど、知ってた?結局僕の命は僕のものなのにね。」


前回の続きです。


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雪が降っている。

体にも少し積もっていた。

どれだけ時間が過ぎているのだろう。


目の前には普段見る儀式とは比べられない程の大きな薪が組まれ炎が出ていた。


その中に神輿が見える。


那留守(なるかみ)様を乗せていた神輿が。

(那留守様を火葬しているのだろう。)




思考は回らない。

感情が出てこない。



足元には砂利の上に護符の陣が書かれ、十数人の神官たちに囲まれ祝詞を挙げられていた。



どの神官も怖い顔をしている。


そうか…そんなに呪いが怖いか…。




何時間たったであろうか。


祝詞が詠み終わると共に、矢を向けられた。



矢を向けられる意味も分からない。


しかし、ただ分かった。




死ぬんだ。




矢が放たれ身に刺さる。

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打ち込まれた矢に護符が巻かれていた。

それは呪いを封じる為の護符。


その護符が予想外の働きをした。


呪いなど入っていない仁依雅(にいまさ)の肉体・魂に、護符の効果とし仁依雅の式神達がねじ込まれてしまった。

呪いを肉体に封じるはずが、式神を魂にねじこんだ。

そしてまた、仁依雅が心から信仰していた神の一部も共に。



仁依雅には神や式神が視えなかった。

視えなかったゆえ、自分を守護していた式神達がどれだけいるのか分からなかった。



“ままごと遊び”


そう言われていた。





神託の義講(学校のようなもの)では

順に沿って式神をつけていく。





仁依雅は非常に珍しく神託の義講で身につける式神はすべて身につける事ができていた。


視える者にとっては脅威であった。



仁依雅は視えなかったが、沢山の式神や神々が仁依雅を守っていた。


その能力があった為に忌厄祓いに名前が上がったのだ。


年齢や家がという訳ではなかった。



しかし仁依雅は分かっていなかった。







仁依雅の人生を深く見た事で、その仁依雅の魂にねじ込まれていたものが反応した。




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私(現在の私)は急に首や肩の痛みに襲われていた。

接骨院に行ったが痛みは取れない。



ある時「神様も人につく事がある」という話を聞いた。

忘れられた神々が、何とかしてやろうとつく事があると。


(今回の仁依雅(にいまさ)の事とは解釈が違うが、神が人につくという事を知った事で私の潜在意識が書き換わった。)


その話を聞いた瞬間、仁依雅が“何か”と手を繋いで歩いている映像が視えた。

それは小さい、ほわほわとした丸いものから細い手足が出ているようなものに見えた。



仁依雅は「ありがとう、ありがとう、」と言いながらぐすぐすと泣いていた。



温かい何かと手を繋ぎ歩いていた。


少ししてから、それは仁依雅が信仰していた神様という事が分かった。


仁依雅の魂にねじ込まれてしまった神様の一部であった。


仁依雅を見守っていた神様が、いた。

その神様はにこにこと笑いながら、じーっと仁依雅を見つめて歩いていた。



仁依雅は手を繋いて“在るべき場所”へお連れしたように私は感じた。






そしてその後、仁依雅が沢山の式神達に囲まれていた。



初めて仁依雅は視た。

ずっと自分を守っていた存在を。


ずっと泣いていた。



“愛されていた”





その後、嘘のように痛みが引いた。


“想い”が届いたんだと。


痛みは、“願い”の結晶であった。



“物事を深く視る事、知ること。”



前世と今世の関係…。



そして、前世から引き継ぐのは思いだけではない。


使命、天命、任務、命令、責任。



その中には思い込みや、勘違いもある。




やはり私は証明していきたい。



今回改めて強く思った。



“何百年、何千年と時は進んでも想いは永遠”だと。



それが、人であっても。


人でなくとも。


魂が反応するから涙が出る。


魂が思い出したいと叫ぶから涙が出る。


魂が思い出したくないと叫ぶから涙が出る。


様々な感情に向き合いながら…色んな事実や真実を受け止めて抱きしめていきたいです。



どうか、貴方に届きますように…。






『結局僕の命は僕のものだ。

お前の命もお前のものだ。

命には誰も介入できない。

してはいけない。』




『…知ってた?

結局僕の命は僕のものなのにね…。』




人が自然に死んでいける、この恵まれた自分の立ち位置に改めて感謝すると共に、

だからこそ何ができるか…。


それでも…と抗いながら、

生きていこうと思います。



私の“命”を、精一杯。




仁依雅の話は、以上です。












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