トーク番組がおもしろい。西加奈子さん編(1)-結婚について‐
僕はテレビが好きだ。なかでも特に、お笑い芸人を交えたトーク番組が好きだ。
10代のころは、親にテレビを観ることを制限されていたので、その反動もあるのかもしれない。大学生時代から見始めて30年近くたった今も、テレビは息抜きの楽しみとなっている。
今回は、テレビのトーク番組で印象的だった西加奈子さんの発言をお伝えしようと思う。
ボクらの時代
今回はその中から日曜日朝7時から放送の「ボクらの時代」を紹介する。
2018年10月放送の「若林正恭×山里亮太×西加奈子」回は何度観返しても興味深い。
特に直木賞作家の西加奈子さんは、親しみの持てる関西弁で、的を射た発言を次々とするので聴き入ってしまう。印象に残っている西さんの発言をいくつか挙げる。
■「結婚を幸せなものと思いすぎてるんじゃない?」
南海キャンディーズの山里さんが「山ちゃんは結婚して幸せになったら終わりやで」と先輩に言われたという話をしたときの返し。
西さんは「それは呪いの言葉やで」と続けて話した。また、山里さんのことを「結構、ロマンチストなのかもね」と付け加えた。
山里さんは、「怒り」や「妬み」をパワーにして、人の悪口を言って笑いを生み出していた。彼女を作ったり、結婚することは、その感情を減らしてしまう行為だと捉えていたようだ。
芸人は結婚して幸せになったら、笑いのネタが少なくなる。芸人の間では、そんなジンクスもある。「結婚」イコール「幸せ」という一元的な考え方が、その根本にはあったのかもしれない。
西さんは、作家の世界も、「自分のつらかった体験を糧にして書く」という考え方があり、「幸せになったら書けなくなる」という幻想があったという。
(余談だがこの翌年、山里さんと若林さんが立て続けに結婚を発表した。この番組の会話で呪縛から解放されたからかどうかは定かではないが・・)
■「結婚して一番良かったのは、『結婚せえへんの?』って言われなくなって、ストレスフリーになったこと」
「結婚したい」と言わないと周りは安心しない。「結婚しないでいることが、幸せなわけがない」という社会的な観念がまだあると感じたそうだ。
どれもアドリブで出てきた会話なのだけれど、日常生活で感じた気持ちを見つめて、言語化するのが非常に巧みだと感じた。
独特のぶっちゃけトークがおもしろく、ワードセンスに感心させられつつ、ハッとさせられる。自分のことを言われているような指摘が、心に響く。
結婚に関して思うこと諸々
■結婚してない人へのプレッシャー
結婚については(最近はかなり変わりつつあるが)、女性の方が男性の何倍も、まわりからの無言のプレッシャーを感じているのかもしれない。出産についてもそうだろう。
このことは、テレビでハッキリと発言する人は少ない気がする。そこをズバリと言った西加奈子さんにとても共感を憶えた。
僕は未だ独身だけれど、30代、40代で婚活をしたこともある。年上の先輩からは、「早く結婚した方がいい」と言われて、紹介されたこともある。
僕さえ望めば、お付き合いした人と結婚できたかもしれない。
でも、本当に結婚したかったのかというと、そうでもなかったと後で気づいた。両親や先輩、友人などの「まわりの期待に応えたい」という無意識の承認欲求が働いていたのだと思う。
■男は仕事、女は家庭という固定観念
5年ほど前、紹介された結婚願望の強い女性と食事をしたときの話。
「僕は自分の人生を生きてる人が好きなので、家庭に入って料理を作って夫の帰りを待っているような人は、ちょっと引いてしまう」
と話をしたら、ドン引きされて、早々に食事が終わったことがあった。本当にデリカシーのない発言だったと反省する。
「なぜ、結婚したいのか」を明確にせず、流されて会ってしまったのが良くなかったと思う。
■結婚の良いところが分からない
僕は以前、「ロマンチスト」とか「理想が高い」とよく言われた。そう言われると、そう思うところもある。でも、妥協してまで、結婚する意味が分からなかった。
僕の両親は仲が悪く、僕が子供のときからよく喧嘩していた。今も仲が悪く、よく2人の仲を取り持つ役割になる。そんな親に結婚と言われても説得力がない。
まわりの友人や同僚と話していても、子供がかわいいと言う人は多いけれど、奥さんとの関係については、あまりいい話を聞いたことがない。
だから、結婚に憧れが持てないのだ。
■草食系である
結婚については、先日のニュースで「日本男性の1/4弱が生涯未婚」というデータが発表された。
その理由は、「それ以外に自分を満たしてくれるコンテンツがたくさんある」といった意見もある。それも一因とは思う。
僕も結婚しない人の気持ちはすごく分かる。
僕は、映画やドラマをよく観る。ホラー以外はどのジャンルも観るが、恋愛モノも好きだ。観ているだけで、満たされる感がある。
ファンタジーの世界で満足する、草食そのものの感覚だと思う。
■したいふりはやめる
諸々書いてきたが・・・偏見があるのだろうけれど、やはり僕の気持ちは変わらない。
同調圧力に影響されて、「結婚したいふりをする」のはやめようと決めた。そうしないと、相手にも失礼になると思うから・・・。
他人の価値観を知るのが興味深い
このように、笑いを交えながら、自分が気にしていることを正直に吐露してくれると、とても共感する。そこから、自分の考えを見つめ直すきっかけになる。
そんな気づきを与えてくれる人に好感をもつ。以来、西加奈子さんのファンになった。
西加奈子さんについては、別の回でも書きたいと思う。
(続編はこちら)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?