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魔法使い同士で魔法をかけあう素敵な対談~カラフルな魔女 角野栄子 辻仁成さんに会いに行く

児童文学家 角野栄子さんと、小説家 辻仁成さんの対談が放映されると知りワクワクしながら視聴しました。

角野栄子さんは娘のお気に入りの童話『トラベッド』の作者です。

そして誰もが知る『魔女の宅急便』も角野さんの作品です。

辻仁成さんは2022年にとあるきっかけで小説を読むようになり、大ファンになりました。

それから辻さんの公開されている日記を毎日読むようになりました。

作家であり、ミュージシャンであり、料理家であり、そして画家でもあるという多才な方です。

そんなお二人が対談するという素敵な企画でした。

角野栄子さんは辻さんのお母様と同い年であり、辻さんが生まれた1959年にブラジルに渡り2年間過ごしたそうです。

若い頃から自由で活動的だった角野さんですが、当時は女性が外国にいくなんて大変な時代だったと思います。

好奇心と冒険心に満ち溢れ、自分の心に正直な方であり、とても勇気のある方だったのだなと思いました。

角野さんを「栄子さん」と呼ぶ辻さんがとても自然で、やわらかくて、画面越しに対談の和やかな雰囲気が伝わってくるようでした。

そして辻さんの早逝したおじさま・東君平さんが童話作家だったそうで、角野さんとも面識があったとのこと。

人間てどこでどうつながっているのかわからないな、縁て不思議だなと思いました。

角野さんは辻さんの『ボンジュール・辻仁成のパリごはん』という番組が大好きでよく見ていて、辻さんのレシピ本も持っているのだそうです。

辻さんはパリに20年住んでいます。

10年前にシングルファザーとなり、息子さんのために始めたお料理が本になり、やがて映像として日本に住む私たちにも公開されるようになりました。

残念ながらBSが見られない我が家では視聴できませんが、愛情たっぷりのお料理は時々日記にも登場するのでいつもおいしそうだなと思いながら眺めています。

対談の中でお二人の発した言葉の中に、心に刺さる言葉がいくつかありました。

笑顔はすごい大事


辻さんが海外で学んだことのなかでとても大事なことが笑顔だそうです。
笑顔とユーモアで返していくことでピンチを切り抜けたこともあるそうです。
笑顔は自分は敵じゃないと伝えることもできる、とも。
言葉ができなくても、笑顔は万国共通、人の心を和ませます。
辻さんは料理をふるまうことも大好きなのだそうですが、どんなに気難しい顔をした体の大きな人も、美味しいものを食べると笑顔になると言います。
そんなことも辻さんがお料理をする動機の一つなのでしょうね。

思い出は先に行って待っていてくれるもの


思い出は過去のものではなく、先に行って生きる力になってくれるもの。
そう語るのは角野さん。

思い出は生きてくる中でできてくるもの。
毎日があって、未来がある。
だから今日頑張るのが一番いい。

そう語るのは辻さん。

お二人は言葉を生業にする作家だからこそ、過去を今に生かして新しく生き生きとした文章を紡ぎ出せるのかもしれません。
私にはそんな力はないけれど、たしかに過去があって今の自分がいる。
それは紛れもない事実。
言葉にして、文章にして、誰かの心に響くものとして世に生み出すことはできなくても、過去の出来事は今の自分を、今の自分は未来の自分を形作っていく。
それは私の中だけで完結するものかもしれないけれど、映像として風景として胸の中に刻み付けられています。
確かな過去があるから、今の自分を受け入れることができるし、思い出が明日への希望になることもある。
そういうことを身を持って知っている。
だからこそ、次に角野さんが言った言葉がぐっと心に沁みたのかもしれません。

言葉は風景

言葉は絵と連動している。と、角野さんはおっしゃいました。
角野さんは物語を書こうとするときはまず絵を描くそうです。
いつも持ち歩いている手帳(通称「黒川の手帳」)にはたくさんのイラストや文章が詰まっていました。
辻さん曰く、「これはもう作品集」
本当にそうだなと思います。

学校では言葉の意味ばかり教えるけれど、リズムも、風景もある
そう笑顔でおっしゃる角野さんは、とてもキラキラしていました。

「自分が面白いと思って書いている」のだそうです。
子どものためには言葉をひらくけれど、表現を変えれば大人も面白く読めるようになるとおっしゃる角野さん。
きっと角野さんの頭の中には映像が広がっていて、それを紡ぐ言葉を、表現を変えているだけなのでしょう。
だからきっと、おとなとかこどもとかの垣根を越えて、心に届く物語りを描くことができるのだと感じました。
自らをバリアフリーな作家であると言い切る角野さん、かっこよかった。

誰にでも魔法はある

”想像”が魔法
角野さんは笑顔でおっしゃいました。

今を慈しんで生きることに全力を傾けることが、その人の生を豊かにするという魔法なんじゃないか。
そうおしゃるのは辻さん。

ふたりとも魔法使いに違いありません。
それもとびっきりの魔法使い。

体は年老いても、精神はとびっきり若くて自由に飛び回っているようです。
ふたりの魔法使いが、お互いに魔法をかけあっていたような場面をこっそりのぞき見させてもらった気分です。
私にも魔法の粉、ほんの少し振りかけてほしいな。
……なんて贅沢な夢を見てみました。

現実生活の中で、子供の頃見ていた夢や想像力、いつのまにか消えてしまいました。
それともしぼんだのかな。
地に足をつけて、現実を見ろ。
そう言い続けられて、いつのまにか自分でもそれよりほかに道を見つけられなかったなぁ。

お二人の笑顔はとても眩しくて、見ている私まで笑顔になってしまうような対談でした。
そして素敵な言葉の数々に心が揺さぶられ、図らずも目から汗が。

お二人の優しい笑顔に、人柄が表れているように思いました。
こんな風に、素敵に年齢を重ねられたらと思わせてくれた人生の先輩たち。
あしたも頑張ろう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

3連休、なにもせずに過ごしたグータラな私でしたが、この対談をみてなんとかせねばと危機感を感じました。

現実生活ではついつい楽な方に流されてしまう私。

目の前にある出来事に対処していくことは、大変だけれどある意味楽でもあります。

7年前に塗装し直したベランダがひび割れてきて、昨日はその検査で業者さん対応。

あぁ、またメンテナンスしなくちゃいけないのか……と老後の生活資金の心配をする3連休。

これが現実。

でも、束の間ですが夢を見ました。

いえ、魔法をかけられました。

毎日を精いっぱい生きる厳しい現実のなかに、少しだけ希望とか夢を取り入れてみましょうか。

そして今年は、昨年途中で行き詰ってほったらかしにしてしまったものに、もう一度取り組んでみようかなどと思い始めています。

そのために、少しだけ自分を律してみようかと考えています。


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